Tous les chapitres de : Chapitre 71 - Chapitre 80

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0080-違う

空気が、ふいに静まり返った。夕暮れの街には、風が木の葉を揺らす音だけが響いている。遠くでは時おり自転車が通り過ぎ、そのタイヤが地面をかすめる音が、やけにくっきりと耳に届いた。さっきの一言を口にしてから、航平はほとんどその場に固まったように動けなくなっていた。うつむいたまま、奥田の顔を見ることができない。あの言葉は、まるで胸の奥からそのまま零れ落ちてきたみたいだった。自分でも、口にする準備なんてまったくできていなかった。時間が、一秒ずつゆっくりと流れていく。奥田は、すぐには答えなかった。航平の指が、ポケットの中で少しずつ強く握りしめられていく。――やっぱり、言わなければよかった。そんな思いが、遅れて胸の奥からじわじわと広がっていく。ついさっき、誰かが奥田に告白したばかりだというのに、その直後に自分までこんなことを言うなんて……どう考えても、おかしい。場違いで、空気も読めていなくて、ただの衝動だ。「……ごめん」航平は小さな声で言った。喉が少し乾いていて、声がわずかにかすれている。「さっきの……今のは、聞かなかったことにして」ようやく、奥田が口を開いた。「どうして?」その一言に、航平は一瞬言葉を失う。「え……なにが?」奥田は静かにこちらを見ている。夕日の光はすでに弱まり、空はゆっくりと夜の色を帯び始めていた。「どうして、聞かなかったことにしろなんて言うの」その声音に、怒りはなかった。ただ、真剣だった。航平は一瞬、答えに詰まる。「だって……」言いかけて、少しだけ視線を泳がせる。「なんか、変だし」「どこが?」すぐに返ってくる問いに、胸の奥がぎゅっと縮まる。「さっき、誰かが君に告白してたでしょ」航平は小さく言った。「そのあとに、俺まで……」最後までは言えなかった。言葉が、喉の奥で途切れる。奥田はしばらく航平を見つめていた。そして、不意に小さく息をついた。その音は、とても静かで、けれどどこか柔らかかった。「航平」「……うん?」名前を呼ばれて、航平は反射的に顔を上げる。「もしかして、勘違いしてる?」「勘違い?」思わず聞き返す。奥田は後ろ首に手をやり、少しだけ掻くようなしぐさをした。どう言えばいいのか考えているようだった。「さっきの人さ」「うん」「告白しに来たわけじゃないよ」その一言に
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