教室のざわめきは、いつの間にか少し遠くへ退いていた。人の声はまるで扉の向こう側に閉じ込められたみたいにぼんやりとしていて、ここには二人だけの小さな静けさが残っている。机の上には、本が開かれたまま置かれていた。斜めから差し込む朝の光が、そのページをやわらかく照らしている。挿絵の中の騎士の横顔が、光の縁取りによってくっきりと浮かび上がっていた。長いマントが風を受けて揺れている。抜き放たれた剣。遠くを見据える視線。その表情は静かで、けれど揺るがない意志を宿している。奥田は、すぐには席に座らなかった。机の横に立ったまま、ゆっくりと手を伸ばす。そして指先で、そっとページの端を押さえた。まるで、そこにあるものを確かめるように。紙のわずかな感触。インクのかすかな匂い。その一瞬の静けさの中で、奥田が口を開いた。「君の詩を読んだときさ。」声は静かだった。「この騎士って、たぶん君自身なんだろうなって思った。」言い方はとて
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