Tous les chapitres de : Chapitre 61 - Chapitre 70

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0068-忘れない

校舎の裏手にある空き地は、いつもと変わらず静かだった。グラウンドの端から風がゆっくりと吹き抜け、草の先をかすめてかすかな音を立てる。空は澄みきっていて、余計な喧騒もない。わざわざここまで来て邪魔をするような人もいない場所だ。洗い流されたように澄んだ空気の中で、呼吸さえもいつもよりはっきりと感じられる。二人は並んで階段に腰を下ろしていた。夕陽が斜めに差し込み、二人の影を長く引き伸ばしている。影は芝生の上で重なり合い、まるでまだ乾ききっていない一枚の絵のようだった。光はやわらかく、夕方特有のぬくもりを帯びて肩に降り注ぐ。そのせいか、沈黙さえもどこか穏やかに感じられた。奥田はリュックを膝の上に置き、中から出来上がったばかりの冊子を取り出した。表紙には控えめな暗い金色の文字が型押しされ、夕焼けの残光の中でほのかに光っている。文化祭のために作られた完成品で、数は多くない。どれも丁寧に選び抜かれた記念品のようだった。紙は厚く、角もきちんと揃えられている。ページをめくると、軽く乾いた音が静かに響いた。航平はその本を見つめ、指先をそっと表紙の端に近づけた。その動きは、彼らしくないほど慎重だった。ページが開かれ、挿絵が静かに内側に現れる。墨の線はすっきりとしていて無駄がなく、人物の横顔が画面の中に立っていた。まるでどこか未知の場所へ歩き出そうとしているかのように。「……本当に、印刷されたんだな」奥田が小さくつぶやいた。その声には、隠しきれない感情が混じっていた。現実を確かめるようでもあり、驚きを含んだ吐息のようでもある。航平
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0070-好き

西川の部屋は、昼間よりもずっと静かだった。カーテンは半分ほど閉じられていて、外の街の灯りが細かく切り取られ、天井に淡い影を落としている。まるで漂う影の欠片のようだった。夜はすでに深く、廊下からも足音は聞こえない。机の上のノートパソコンだけがまだ点いていて、冷たい白い光が小さな円を作り、その中に彼の姿を包み込んでいる。彼は椅子に座ったまま、部屋の灯りはつけていなかった。画面の中では、カーソルがゆっくりと点滅している。一度、また一度。ページには、さっき更新したばかりの内容が表示されていた。タイトルの横には新しく一行が加えられている——「本日の関連投稿」。その下には整理されたインタビューと記録が並んでいた。文章は整然と配置され、何度も確認されたかのように整っている。西川はその数行を、長いこと見つめていた。最近の議論は、彼の想像以上に盛り上がっている。もともとは校内だけで出回っていた挿絵と物語が、今ではもっと多くの人に話題にされている。構図を褒める声もあれば、キャラクターを分析する人もいる。そして、中にはその背後にいる「モデル」を推測する者もいた。モデル。彼は無意識にマウスを握る手に力を入れた。その推測が誰を指しているのか、彼には分かっている。そして、その本人が自ら光の中に立とうとしているわけではないことも。
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