「さて、これで千堂彰が地下に人を閉じ込める、しかも本部の我々を、という事が分かった訳だ」遼大はそう言いながらスマホを取り出し、画面を見る。「うん、地下でも繋がるな」そう遼大に言われて聞く。「誰かに助けを?」そう聞くと遼大は少し笑って言う。「すぐに解決したら面白くないだろう?」そう言いながら遼大は更に、先程フロアマップを表示させたタブレットを操作し始める。「まずは……千堂彰の足止めをして……」遼大はそう言ってタブレットをタップする。その途端に建物中に響く、さっき鳴ったのとは違う警告音。そして持っていたジェラルミンケースを開くと、中から小型のPCを取り出し、コンクリートの床に座り、小型のPCのキーボードを叩き出す。「千堂彰は俺たちが二人だけで視察に来たとしか思ってないんだろう。通常であれば視察は何人もの人間が連なって形式的に行われるものという認識なんだろうな」そう言う遼大の横に私が座ろうとすると、遼大がそれを止める。「あ、待って」そう言って遼大は懐から大判のハンカチを出し、自分の隣にそれを敷く。「どうぞ、俺の姫」そう言われて私は笑い、敷いてくれたハンカチの上に座る。「二人だけで現れた俺たちを千堂彰は愚かだと思っているだろう。でも本当に俺たちは二人だけなのか? というと?」遼大に聞かれて私は笑う。「違うわね」遼大は微笑み頷く。「そういう事」遼大は自分の脇に置いたタブレットを見つつ、PCのキーボードを叩いている。私と遼大はそもそも、EMSO(アイゼンバーグ医療戦略機構)の1チームだ。私は特殊医療戦略局、副局長であり、主席臨床顧問という立場にあり、それこそ本部に居る人間を何人も統括している立場だし、遼大に至ってはその本部丸ごとを統括している立場なのだ。そんな立場の人間が二人だけで動いているのは、私が天才医師Xとして医療行為に携わる為に必要な措置だっただけで、実際のところは今回の聖カトリーナでの藤堂氏の手術においても、何人もの人間が関係各所への手続きや事務連絡などに関わっている。そして、遼大はそれらの人間を持っているスマホ一つで呼び出す事も可能。しかもここはEMSO日本支局の地下なのだ。どうして千堂彰は私たちの協力者が内部に居るとは考えないのだろう。「それは?」私が遼大の脇にあるタブレットを見ながら聞くと、遼大がクスっと笑
Last Updated : 2026-05-21 Read more