ドアをノックする。「はい」短い返事。俺がドアを開けると、加山良江が立ち上がる。「あぁ、そのままで」俺がそう言っても加山良江は立ち上がり、俺に深々と一礼する。俺は加山良江が居るデスク前に立ち、加山良江に言う。「今日は助かった」そう言うと加山良江が微笑む。「燈お嬢様も高嶺さんもご無事だったと聞きました……本当に良かったです」加山良江がそう言って椅子に座る。「GPSの事をすっかり忘れていたよ」俺が苦笑しながらそう言うと、加山良江が言う。「万が一の事を想定して、高嶺さんが自分たちのGPS情報を追うように、と私に」そう言われて改めて、高嶺遼大が有能である事を実感する。「本当に、あの人は……」そう言って笑う俺に加山良江が言う。「湊坊ちゃん」呼ばれて加山良江を見る。「何だ?」そう聞くと加山良江が言う。「愛沢くるみに仕掛けたPCとスマホのバックドアから情報が絶え間なく入って来ているんですが」そう言いながら加山良江がカタカタとPCのキーボードを叩く。「五年前と七年前にフォーカスして探してみたんです」そう言って加山良江はPCの画面に何かを表示する。「まずは七年前」そう言って加山良江が俺に画面を見るよう、促す。俺はPCの画面を見る為に加山良江の椅子側へ移動し、画面を見る。「愛沢くるみはかなり前から千堂彰と繋がっていました……もう10年は付き合いがあるようです」画面には愛沢くるみと千堂彰のメッセージのやり取りが抽出されている。「10年か……」俺がそう呟くと加山良江がワード検索を掛ける。“レプリトール” “事故” “車”抽出されたメッセージを開く。~渡されたものは車のエアコンに吹き付ければ良いんですよね?~~そうだよ、何回かに分けて、エアコンの奥に吹き付けるんだ~~本当に事故が起こるなんて、千堂先生、天才だわ~~この後はレプリトールの出番!~そこまで読んで俺は疑問が浮かぶ。「何だ? 渡されたもの……?」そう言って加山良江を見る。「何か、分かるか?」そう聞くと加山良江が少し考える。「あの当時、愛沢くるみは千堂彰と二人きりで会う事が多かったんです。誰も部屋に入れなかったんです。だから何の事かは……」そこまで言って加山良江がハッとする。「ちょっと待ってください」加山良江はそう言って検索ワードを変える。“新薬”
Last Updated : 2026-06-18 Read more