そう聞かれて私は頷く。「えぇ、あなたの癌は焼きました」そう言うと、新田豊の瞳から涙が落ちる。「……死ぬんだって……俺、もう死ぬって……そう、思って……」泣きながらそう言う新田豊に私は微笑む。「とりあえず、今のところは死なないですね」私がそう言うと私の後ろで鼻をすすって泣いている人がもう一人居た。「新田さん……」波多野優斗がそう言う。新田豊の視線が波多野優斗を捉える。「優斗……」私は身を引いて、優斗くんを前に出す。優斗くんは泣きながら新田豊の手を握る。「良かったです……本当に良かった……僕、新田さんが血を吐いたのを見て……どうしようって……」新田豊は鼻をすすって言う。「心配かけた、悪かったな」そう言って新田豊が私を見る。「佐伯先生が治してくれたんだ、だから大丈夫……ですよね?」そう聞かれて私はクスっと笑う。「えぇ、大丈夫です」遼大が私に寄り添い、微笑む。こういう瞬間、本当に医師をやっていて良かったと思う。もちろん経過観察は必要だけれど。「燈先生、ありがとうございました」波多野優斗がそう言って私に頭を下げる。何だかいつの間にか波多野優斗と新田豊の間には絆が生まれていたようだ。波多野優斗の搾取されるだけだった人生に、初めて手を差し伸べてくれたのが新田豊だとするならば、それは頷ける話だ。「あかり……先生?」そう言った新田豊が私をまた見る。(そういえば新田豊は私の事を知らないのよね)そう思い言う。「私の名は佐伯燈です、聞き覚えが?」そう聞くと新田豊が苦笑する。「えぇ、知人から良く聞かされてました」“知人”……それは愛沢くるみの事だろう。「燈先生はくるみ姉さんの事も、今までの事もご存知だよ」波多野優斗がそう言う。新田豊が苦笑したまま何かを話そうとして顔を歪める。「今はまだ手術したばかりなの、だからまずは回復する方が先よ」私はそう言って湊を見る。「湊、ちょっと良い?」そう言って私はその場を離れる。遼大も一緒に付いて来る。少し離れた場所で言う。「聖カトリーナには愛沢くるみが来る可能性があるわ。だから出来れば新田豊を隔離した方が良いと思うの」そう言うと湊が頷く。「そうだな。最近は俺を訪ねて来る事も減ったが……いかんせん、金の事があるからな」そう言われて頷く。「えぇ、万が一にも新田豊が入院しているなんて
Last Updated : 2026-06-28 Read more