私たちは湊の案内で、湊のオフィスに入る。私、遼大、湊、そして賀神さんと一条和輝。「加山さんも呼ぼう」湊がそう言って加山さんを呼ぶ。「加山さん?」一条和輝にそう聞かれて私は言う。「元々は愛沢くるみについていた人よ。今は久遠家で湊の助手をしてるの」そう言うと一条和輝はふわっと笑って頷く。「なるほど」これだけの錚々たる面々が揃うなんて事は無いだろうなと思う。「あまり時間が無い、話を進めよう」遼大がそう言ってそれぞれが椅子やソファーに座る。「それで、愛沢くるみの事っていうのは?」一条和輝がそう聞く。「実は色々とあってね」そう言って賀神さんがザっと事情を一条和輝に話す。賀神さんの的確な話を聞き、一条和輝が頷く。「大体の事情は分かった」一条和輝はそう言って少し考えて言う。「僕が診察した時、愛沢くるみの顔面を良く診たけど」一条和輝はそう言って、ほんの少し笑う。「口元に少し症状が出ていたように思うよ」そう言いながら一条和輝が腕を組む。「きちんとした検査をした訳じゃないから、正確な事は言えないが。僕の所見ではわずかだけど、初期の症状は出ていたように思う」愛沢くるみにも症状は出ていた……。「和輝の言う通り、愛沢くるみにも症状が出ていたとするなら、無効化、無力化、相殺、中和、どれも出来ない事になるな」遼大がそう言う。「……という事は特異体質という訳では無さそうですね」賀神さんが続く。「だが、明らかに千堂理とは症状の出方が違うように見えるが……」湊がそう言う。「愛沢くるみの体内にどれだけの薬液が入っているのか、にもよるのか」遼大がそう言って考え込む。「だとするなら……体内に取り込まれる“絶対的な曝露量”と“投与経路”が決定的に違っていたんじゃないかしら?」私がそう指摘すると、賀神さんがハッと目を見張った。「なるほど……愛沢くるみは長年使っていたとはいえ、あくまで“香水”として日常の空間で纏っていたに過ぎない」そう言いながら賀神さんは一同を見渡す。「あぁ、燈の言う通りだ。開放空間での香水としての噴霧なら、肺胞から血中に入る一度の毒素量はごく微量に抑えられる」遼大が深く頷き、私を見て言葉を継ぐ。「俺たちが千堂理を救い出した時、天井から愛欲の女王が散布されると千堂理は言っていたよな?」そう聞かれて私は頷く。「えぇ、
Last Updated : 2026-09-04 Read more