どうやって高嶺遼大に接触するか、考えを巡らせていると、スマホが鳴る。見れば画面には母の名前。愛沢幸子ふと嫌な予感がする。母から連絡が入る事なんて、そうそう無い。電話に出る。「もしもし、くるみちゃん」母が声を潜めている。「どうしたの?」そう聞くと母が言う。「佐伯燈が御屋敷に戻って来てるのよ」そう言われて私は佐伯家の方向を見る。私が今、住んでいる森崎家からは目と鼻の距離。「それで?」そう聞くと母が言う。「久遠湊が佐伯燈に話があるって言ってるそうよ」湊が燈に話がある……そう言われて考える。何についての話なんだろう。湊のあの感じだとよりを戻したいとか、そんな話のような気がする。「今、佐伯燈は自分の部屋で何かを探しているようなの」そう言われても私は全く気にはならなかった。だって佐伯家には何の証拠も置いてないから。「くるみちゃん、私たち、大丈夫かしら」母にそう言われて私は笑う。「大丈夫よ、佐伯家には何にも無いじゃない」その時だった。ガサガサと急に音がして、くぐもった声が聞こえて来る。~誰と話してる?~男の声だ。この声……聞き覚えがある。~いえ、何でも無いです~母の声。緊張している声を出して答えたら、それはそれで疑われてしまうじゃない。私はそこで電話を切る。佐伯家で燈が何かを探していたとしても、問題は無い。佐伯家に何か残している訳じゃ無いもの。そして愛沢幸子が娘の私に電話した事だって、別に親子なんだから問題にはならない筈。いくら大丈夫だと言い聞かせても不安が拭えないのは何故なんだろう。◇◇◇私はかつて自分が使っていた自室に居た。ここで私が探していたもの……それは私が湊と暮らしていたマンションからあの日、持ち帰って実家に残したもの。捨ててしまおうとも思っていたのに、それが出来なかったもの。それでも自分で持ち続けているのは辛くて実家に送ったものだ。「……あった」私は段ボールの中に入っていた、ファイルとアルバムを取り出す。ノックが響く。「……燈」その声は高嶺遼大だ。「入って」私がそう言うと高嶺遼大が部屋に入って来る。「あったかい?」そう聞かれて私は頷く。「えぇ」出来れば見たくなかったもの。けれど私に何も起こらなかったら、存在し得なかったファイルと、私の疑いの点と点とを繋ぐのに必要なアルバムだ。高嶺遼大は私に近付いて
Last Updated : 2026-02-10 Read more