湊にそう言われた加山良江は跪き、正座のまま話し出す。「私が知っている事を全部、お話します」小さな声でそう言う加山良江に私は聞いてみる事にした。「どういう風の吹き回しなの?」そう私が聞くと加山良江は私を見上げて言う。「私は久遠家の使用人でした。ずっと久遠家に仕える事が出来ていて、それが私の誇りだったのです。奥様も旦那様も厳格だけれど、使用人思いで、前田さんを筆頭に使用人同士も仲が良かったんです。それが私の、ささやかな誇りだったんです」加山良江はそう言うと、視線を伏せる。「でも私の、ほんの少しの心の隙間にくるみお嬢様……いいえ、愛沢くるみは入り込みました。愛沢くるみが久遠家のお屋敷に来た時、私がその時に何を感じていたか……」そこまで言って加山良江は私をまた見上げる。「燈お嬢様、あなたの美しさに私は嫉妬していたんです」そう言われて驚く。「私の……?」加山良江の顔が羞恥からだろうか、赤くなる。「そうです。あなたのように自分も美しかったら、他の男性に見初めて貰えるかもしれないと、そう思ってしまった。年が近い分、あなたの美しさや洗練された雰囲気や、醸し出す品格が羨ましかった……私のような使用人であっても、燈お嬢様の持っているもののうち、少しでも私に備わっていたら、と」愛沢くるみを動かしている私への嫉妬や略奪したいという欲求と、加山良江の抱いていた願望が重なった瞬間が、あのエステ券に繋がっているという事なのだと思うと、全ての原因は私にあるように感じてしまう。「詭弁だな」そう切り捨てたのは高嶺遼大だ。高嶺遼大は加山良江に向かい、言う。「あたかも燈に非があるような言い方をするな。馬鹿げた嫉妬や羨望で、加山良江、あなたの行動全てに理由付けが出来る訳無いだろう?」高嶺遼大はそう言って、正座している加山良江の前に立ち、しゃがむと加山良江と目線を合わせて言う。「アンタの中には嫉妬や羨望もあったかもしれないが、燈に対する侮辱の感情が無いと説明が付かないんだよ」そう言って高嶺遼大は加山良江の目を見て言う。「羨ましいと感じたから何だ? 妬ましいと感じたから愛沢くるみの言う通りに従ったのか? 薬を盛るなんて犯罪行為じゃないか。燈はそれで大事な命を失っているんだぞ?」高嶺遼大は視線を下げる加山良江に続けて言う。「颯太が死んだ後、抜け殻になっている燈に薬を
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