「た、叩いた……?叩いたのか、俺を……?」 誠司は唖然とし、もみじに叩かれた頬を手のひらで覆った。 「……これ以上、もみじさんに関わらないでください、新島社長。これ以上付き纏い行為をすると言うなら、こちらもそれ相応の対処をする」 「……」 髙野辺の言葉に誠司は唖然としたまま、もみじを見つめている。 これ以上誠司との会話は不要だ。 そう判断した髙野辺は、もみじと蘭を促してその場を離れた。 誠司との距離をある程度とれた事を確認した髙野辺は、足を止めてもみじに話しかけた。 「もみじさん、手は大丈夫ですか?痛みはないですか?」 「大丈夫です髙野辺さん。助けてくださってありがとうございます」 「いえ、とんでもない。……だけど、1度ちゃんと医者に診てもらいましょう。家に帰っても、あまり動かさないようにして。今日の家事は俺がやるので……」 「だけど、髙野辺さん……」 それは申し訳なさ過ぎる。 もみじは断ろうとしたが、髙野辺は頷いてくれそうにない。 それどころか、髙野辺は蘭に視線を向けて話しかけた。 「一ノ瀬社長も、もしよろしければ今日は家で飲みませんか?もみじさんの親友である一ノ瀬社長がしっかり見張ってくれていれば、もみじさんも無理に動かないような気がします」 そして、そんな提案を蘭にしてしまう。 もみじが親友の蘭を大切にしている事、そして、2人の仲がとてもいい事を既に髙野辺は知っているのだ。 だから、蘭からも安静にしてて、と言われたらもみじはきっと動かないでいてくれる。 髙野辺のそんな気持ちを正しく理解した蘭はにんまり、と笑んだ。 「──お誘いありがとうございます。私がしっかりともみじを見張ります」 ◇ パーティーも、もうそろそろ終わる頃合い。 髙野辺はもみじと蘭に「先に帰っていてください」と告げ、取引先のもとへ向かって行く。 その背中を見送っていたもみじと蘭は、髙野辺が取引先の人間と話すのを見た後、向き直った。 「──じゃあ、私たちもそろそろ会場を出ようか、もみじ?」 「ええ、そうしましょう」 「お酒とか、軽くつまめる物とか、帰りに買って行く?」 「そうね。近くにコンビニがあるからそこに寄ってから帰りましょう」 もみじの言葉に、蘭は嬉しそうに頷く。 髙野辺の自宅に招かれたのだ。 蘭に取って、これ以上のチャンスは
最終更新日 : 2026-06-23 続きを読む