「さっき教えてもらった区画と違う……。高く売れるからか……?」 そう呟きつつ、髙野辺が問題の車に近付く。 すると、髙野辺の目にもボンネットにステッカーが貼られているのが確認出来た。 「もみじさん、これが……?」 「……ええ、そうです。馬鹿ね、こんなステッカーを貼ったままにしているなんて……」 もみじは呟き、過去に自分が作ったステッカーを手でなぞった。 過去の自分が本当に愚かに思えてきて、もみじはふっと口元を歪めた。 「……本当に、馬鹿みたい」 「もみじ、さん……?」 こんな表情をするもみじが珍しく、髙野辺は驚いた。 まるで、自嘲するような、過去の自分の愚かさを笑うような。 だけど、愚かなのはもみじではない。 永遠の約束をしたのに、裏切った男が愚かなのだ。 なんと言葉をかければいいのか、髙野辺が迷っていると、ふっともみじが髙野辺に顔を向けた。 「──すみません、髙野辺さん。このステッカーの写真と、ステッカーが貼られている車の写真を撮ってしまいましょう!それで、このステッカーをデザインしたのが私だと分かる資料を用意します!」 「え、ええ……分かりました」 「あ、でも……。この車が処分されちゃったら大変です、よね……?どうしたら……」 悩むもみじに、髙野辺は安心させるように笑った。 「それについては大丈夫です。こちらで対応しておきますね」 さらり、となんて事ないように答える髙野辺に、もみじはむむっと眉を寄せた。 「髙野辺さん、もしかしたらお金で解決しようとしていますか?」 「……」 「あっ、やっぱり……!笑って誤魔化そうとしても駄目ですよ。私だって、Seaとして働いてお金を稼いでいますから。ちゃんと自分でお金を出します……!」 「だけど、こういった事は……」 「新島誠司の車です、それに、轢かれたのは私の祖父母です。……私が対応するのが、普通なんです」 もみじの強い意志を感じた髙野辺は、それ以上誤魔化す事はせず「分かりました」と答えた。 「本当なら……こういう事に、もみじさんを関わらせたりしたくないんです」 「……髙野辺さんのご実家が、大財閥……だから、ですか?」 もみじの言葉に、髙野辺ははっとして顔を向ける。 だが、猪谷とのやり取りを聞いていたなら。 もみじにもある程度、髙野辺自身の家の事は推測できてしまうだ
Última atualização : 2026-09-19 Ler mais