「おじい様、ゆっくり立って、俺に掴まってください」 「おお……すまないね、髙野辺さん……」 「いえ、大丈夫ですよ、気をつけてください」 髙野辺の家。 リビングにやって来たもみじ達。 髙野辺は祖父の耕三に手を貸し、リビングの椅子に座らせた。 もみじはキッチンでお湯を沸かし、お茶を用意している。 秘書の蒔田と田島は、荷物を運び入れると帰宅してしまい、今は家の中に4人だけだ。 祖母のルリは珍しそうに周囲をキョロキョロと見ていた。 「家は日本家屋だから、何だか新鮮ねぇ」 「勝手が違い、最初は違和感があるかもしれません。もし不便があれば、気軽に言ってくださいね」 「何から何までありがとう、髙野辺さん」 髙野辺とルリが話していると、お茶を淹れ終えたもみじが戻ってくる。 「聖さん、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋は1階でどうでしょう?」 「ええ、階段を上がらないで済む1階の方が勝手が良いと思います」 「そうしたら、私も1階にある空き部屋をお借りしてもいいですか?2人の手伝いをするのに良さそうなので」 もみじの申し出に、髙野辺は一瞬寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに消して頷こうとした。 だが、髙野辺の表情を見逃さなかったルリが先に口を開く。 「そこまでもみじちゃんにしてもらわなくても大丈夫よ。おじいさんの世話は私1人で十分だもの。ここに住まわせてもらえるだけで助かっているし、もみじちゃんもお仕事があるでしょう?」 ルリの言葉に賛同するように耕三も頷く。 「ああ。わしの怪我も骨折だけだ。ある程度は自分で出来るから、大丈夫だ」 「おじいちゃん、おばあちゃん……。分かった。2人が大丈夫って言うなら……。だけど、手助けが必要になったら遠慮なく言ってね?私は家で仕事をする事も多いから」 心配そうに言葉を紡ぐもみじに、ルリも耕三も笑顔で「分かった」と答えた。 話が纏まったようだ、と髙野辺は時計を確認した後、もみじ達に顔を向ける。 「時間もちょうどいいし、昼食にしましょうか。出前を取ろうと思うんですが、お蕎麦とか、和食とか……あと、うな重の出前もありますがどうします?」 「まあ、髙野辺さんそんな、出前なんて……。もしキッチンに入って大丈夫でしたら、何か作りますよ?」 ルリの言葉に、もみじと髙野辺は顔を見合わせた後、眉を下げつつ苦笑する。
Last Updated : 2026-10-29 Read more