◇ 場所は変わって、とある一室。 テレビを観ていた人物は、テレビ画面に映ったもみじを見て、青筋を立てた。 「──はぁ!?」 画面には、もみじの姿と。そしてもみじを紹介する文章が載っていた。 「あの女が、有名デザイナー?はあ?バッカじゃないの!もみじなんか、大したデザイナーじゃないわ!!」 「……胡桃、落ち着きなさい。ストレスはお腹の子供に良くないわ」 「でも……っ、だって、お母さん……!」 「もみじは、TK株式会社と専属契約を結んでいるんでしょ?まぐれだとしても、コンテストで入賞したし、これくらい誇張して紹介文を書かないとTKとしても面子が潰れちゃうでしょ。実力がなくても、しょうがないのよ」 桔梗の言葉を聞いても尚、胡桃はイライラとした感情が収まらない。 (──あんなっ、素敵なドレスを着てっ、髙野辺さんの隣に……っ!それに、あの男の人は誰?何でもみじをそんな目で見てるの!?) 胡桃の目には、坂崎が映っていた。 その坂崎は、もみじを恋焦がれるような目で見つめ、見蕩れている。 (どうしてもみじばかり……!誠司だって、どうしてもみじなんか……っ) 胡桃は、玄関の方をちらりと見やる。 昨夜、誠司は家に帰って来なかった。 きっと中野と一緒にいるのだろう。 (それに、自分の子供を妊娠している妻を放っておいて、中野未来となんて……!誠司はいったい何を考えているのよ!) ぎりっと拳を握り締めていると、胡桃の下腹部にちりっとした痛みが走った。 「──っ?」 胡桃は違和感を覚え、ふと自分の下腹部に視線を落とす。 夕ご飯の支度途中だった桔梗は、今はキッチンに戻っている。 そのため、胡桃の様子には気がついていなかった。 「え、なに……?」 ちりっとした痛みは、どんどん増しているように思える。 「胡桃……?」 胡桃の呟きが聞こえたのだろう。 桔梗が振り返る。 「どうしたの、胡桃。お腹が痛いの?」 「お、お母さん……何だか、お腹が変なの……」 「──何ですって!?」 桔梗はお皿をシンクに落とす。 ガシャン!と皿が割れる音が部屋に響いたが、桔梗は構わず胡桃に駆け寄った。 「お腹がどうしたの!?痛みがあるの!?」 「な、何だか痛いの……ど、どうして……?赤ちゃんは大丈夫なの……?」 顔を真っ青にしておろおろとしだす胡桃。
Última atualização : 2026-10-22 Ler mais