リビングに入ったもみじは、胡桃の格好に目を見開く。 誠司のシャツだけを身に纏った胡桃。 そして、そんな胡桃を抱き締める誠司──。 その姿を見た瞬間、もみじの瞳が苦しみや悲しみに歪む。 「──もみじ!?いつからそこに居た……!?」 誠司は焦ったように胡桃を突き放し、真っ青な顔でもみじを見やる。 誠司に突き放された胡桃は、悲しそうに瞳を潤ませて「きゃあ!」と声を上げた。 「──胡桃!」 バランスを崩し、その場に倒れそうになってしまった胡桃を、誠司が慌てて抱き留める。 誠司の胸に縋り付く胡桃と、胡桃を大事そうに抱き締める誠司。 その2人の姿は、どこからどう見ても「お似合い」の2人で。 もみじの胸は、見えない刃物で幾度も切り裂かれるように痛んだ。 「す、すまない胡桃……!大丈夫か!?」 「う、うん……大丈夫よ、誠司さん。……あっ、足がっ」 「すまない!捻ったか!?」 よろ、とよろめく胡桃に、誠司は慌てて胡桃を抱き上げてソファに座らせる。 胡桃の足を確認していた誠司は、リビングの扉で立ち尽くしているもみじに顔を向けて怒声を上げた。 「もみじ!何をぼうっと突っ立ってる!胡桃が足を挫いた!さっさと救急箱を持ってこい!」 物凄い形相で睨まれ、怒声を上げられたもみじは、びくり、と肩を震わせる。 もみじのそんな態度を見た誠司は、そこでようやくはっとした表情になり、自分の口元を手のひらで覆った。 「いや……、すまない……もみじも怪我をしていたんだったな……。お前も、ソファに座っていろ。救急箱の場所だけ教えてくれ……」 もみじは、ぼうっとしたままふらり、と踵を返すとそのまま玄関に体の向きを変えて引き返した。 背を向けてゆっくり歩き出すもみじに、誠司はぎょっとして慌てて立ち上がると、もみじを追った。 「お、おいもみじ!そんな怪我でどこに……!」 誠司がそう叫びながら、もみじの手首を掴む。 動かしていた足が止められてしまい、もみじはぼんやりと自分の手首を掴む誠司の腕を辿り、誠司の顔に自分の顔を向けた。 憔悴しきった、もみじの顔。 それに、もみじの顔色も青白く、悪い。 流石に自分の行いが後ろめたくなったのか、誠司は言い訳するように口を開いた。 「もみじ、変な勘違いをするな。胡桃は、
最終更新日 : 2026-02-23 続きを読む