気丈に振舞っているが、もみじの肩は震え、唇を悔しそうに噛み締めている。 震えているもみじの姿がとても弱々しく、儚く見えて髙野辺はどう声をかけたらいいのか分からず、ただ黙って車椅子を押す事しか出来なかった。 庭にやって来たもみじと髙野辺2人は、気まずい雰囲気の中、少し開けたスペースにやってくると、そこで車椅子を止めた。 髙野辺が立ち止まった事で、もみじは無意識の内に俯いてしまっていた顔を上げた。 「──髙野辺さん。本当に、ごめんなさい。主人が失礼な事ばかり……」 「いえ、俺は大丈夫です。だから本当に気にしないでください……」 髙野辺はそう告げながら、もみじをちらりと見やる。 悲しそうに微笑みを浮かべているもみじは、本当に消えてしまいそうで──。 髙野辺は、その場にしゃがみこみ、自分の膝の上で爪が白くなってしまう程拳を握りしめているもみじの手に、そっと触れた。 「新島さん……。肌が傷付いてしまいますから、手を開いてください」 「──っ!すみません、ありがとうございます」 髙野辺の言葉に、もみじははっとして苦笑いを浮かべ、ゆっくり手を開いた。 力を入れすぎていて、ぷるぷると震えている。 もみじは落ち着くように何度か深呼吸をすると、ゆっくりと目を開く。 そして、髙野辺を見上げて口を開いた。 「すみません、髙野辺さん。……1つお願いがあるのですが」 「何でしょう?俺に出来る事でしたら、いくらでも」 優しく微笑んで返してくれる髙野辺に、もみじはほっとして強ばっていた体から少しだけ力が抜ける。 髙野辺の優しい言葉に後押しされるように、もみじは言葉を続けた。 「さっき……、主人が迎えに来る、と言っていたのですが……。私が入院している病室の情報を、主人に隠す事って出来ますか……?」 「──!」 「そ、その……っ、すみません、難しいようでしたら、全然大丈夫です!」 髙野辺が驚き、目を見開くともみじははっとして、慌てて頭を下げる。 (今は誠司に会いたくないからと言って、法律上私と誠司は夫婦だものね……。私が会いたくないと言っても、病院は会わせないって事はきっと出来ないわよね……) 変な事を髙野辺に頼んでしまった。 もみじがしゅん、としているともみじのお願いを聞いた髙野辺は、しゃがみ込んでいた体勢から立ち上がると、答えた。 「新島さん
Last Updated : 2026-02-13 Read more