大量の出血で、呼吸がどんどん弱くなっていく。誰かが慌てて英樹を抱き起こしたが、それでも彼の頭にあったのは、美希を探しに行くことだった。薄れゆく意識の中、過去の出来事が少しずつ目の前に浮かんでくる。美希が事故に遭ったと知った時、英樹は毎日酒に溺れて、家族さえも英樹を見放すぐらいに、すっかり落ちぶれてしまった。そんな英樹に寄り添い、見守ってくれたのが紗良だった。彼が酔いつぶれた時には酔い覚ましの薬を飲ましてくれ、吐血した時には徹夜で看病してくれた。さらには、代わりに会社の仕事まで引き受けてくれ、紗良は一心に支え続けてくれていたのだった。英樹はそのことに気づいていなかったわけではない。ただ、美希の死によるショックが、あまりにも大きすぎたのだ。ある日、紗良を美希と間違えて、無理やり体を重ねてしまった。その時からようやく、紗良との関係を考えざるを得なくなった。あの時、紗良への好きという気持ちはあったのだろうか?その後、責任を取るために紗良と結婚した。そうして少しずつ美希の死から立ち直り、紗良との間に子供まで授かった。このまま一生を終えるのも、悪くない。当時、英樹はそう思っていた。しかし、人生には予期せぬことや後悔がつきものだ。美希が再び目の前に現れた時、英樹の心は過去に引き戻されてしまった。紗良への責任を取る。でも、自分がずっと愛していたのは美希なんだ、と自分に言い聞かせた。しかし、紗良は本当に去ってしまった。何の躊躇いも見せず、自分の世界から姿を消した。その時になってようやく、英樹は自分がとんでもない間違いを犯したことに気づいた。本当はずっと前から、紗良を愛していたのに。数えきれないほどの夜を越す中で、好きになったのは美希ではなく、ずっとそばにいてくれた紗良だったのだ。それなのに、過去への後悔と未練のせいで、紗良を失ってしまった。英樹は目を閉じ、苦しみの涙を流す。もしも、最初から迷わず紗良を選んでいれば……もしも、もっと早く自分の心に気づいていれば……もしも、紗良の言葉を信じていれば……頭の中でありとあらゆる「もしも」が浮かんでは消えていく。しかし、結局全ては手の中の一枚の紙切れが現実だった。【さようなら。探さないでいいからね。だって、あなたたちのことはもういらないから】「紗良!」英樹は、真っ青
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