Todos os capítulos de 僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 続編: Capítulo 71 - Capítulo 80

155 Capítulos

第六十九話

 「えーとですね、石山総合病院は石山の祖父が診療所を始めて、父親が総合病院にしました。年齢は五十歳です。結婚して、息子が一人、犬を一匹飼っています。息子は医大生で今年卒業予定の二十四歳です。妻は元看護婦です。医者の家系の三代目で、父親からは医者になるよう期待されていました。勉強も医者も嫌いではなかったので、医者になることは苦ではなかったです。医者以外にどうしてもやってみたいこともなかったので、やりたいことは余暇でやればいいかと考えていました。」 ナベは役作り用のノートを一枚めくり、一瞬ノートに目を走らせる。合宿所内にページをめくる音だけが響く。「えー、院長の息子ってことで、当然次期院長になることを父親から期待されていました。だから、同僚の医者に比べて優秀でなければならないっていうプレッシャーがありました。ただ、実力が飛び抜けてあるわけではないけど人望はあるタイプだったので、人と人をつなぐタイプのリーダーとして認められる院長になりました。 二十五歳で結婚したんですが、相手は看護婦で、次期院長の可能性が高いってことでぐいぐいこられて押し切られました。妻のことは苦手でも嫌いでもないです。結婚した一年後に息子が生まれて、四十歳で院長になります」 ナベはここまで一気にしゃべり、一息ついた。周りを見回す。「なにか質問とかありますか?」「はーい。結城スズのことはどう思ってますか?」 由美が手を上げるが、ナベは少し顔を曇らせる。「いやー、さっきまではね、信頼できる部下だと思ってたんだけど。いやまあ、いまもそうなんだけど。告白されたって話を聞いたからなあ。微妙にどう思ってるか変わるよね。母子家庭の話とか看護学校の奨学金の話もそうだけど。でもまあ、そうだなあ。そういう家庭の事情とか知ってたら支援は惜しまないかな。正看護婦になってもらったほうが病院としても助かるだろうし。仕事は一生懸命する子だからね」 ガジンがぷっ、と吹き出した。「『一生懸命する子』って……。なんかナベ、おじさんみたい」「しょうがないだろー?混じるんだよ、役と」「それはわかるけど」「はい、他ー。質問ある
Ler mais

第七十話

 十分くらい休憩をした後、理恵が前に出てきた。「はい、それでは小野フミカなんですけど、五歳の時に病気で亡くなってます。うさぎの人形のイセポちゃんはお母さんからもらったものなので、ずっと大事にしてます。お母さんが亡くなってからは父方のおばあちゃんと一緒に住んでます。それから小学二年生のときにフミカ自身の病気が発見されて、それからずっと入院してます。あ、ナベが良ければ白血病にしておきたいな」 理恵がナベの方を向くと、ナベが顔を上げる。「白血病だと、マスクとかしたほうがいいのかな」 白血病は免疫が低下する病気だとテレビドラマかなにかでナベは知識を得ていた。リアルさを追求するなら現実に寄せる努力はしたほうがいい。「舞台上でそれはちょっとなあ。演技に支障でちゃうかも。麻美さん、どう?」「そだねー。まあ、病名は明かされないから、マスクなしでいいんじゃない?」「麻美さんがオッケーなら、俺もそれで大丈夫だよ」 ナベと麻美の了解を得て、理恵は再び話し出す。「了解。それじゃあ、白血病、と。えー、それからお父さんは海外赴任して、年に何回かお見舞いに来てます。学校は嫌いじゃなかったから友達と別れるのは嫌だったけど、入院する以外の選択肢はなかったので病院で生活してます。学校の勉強は好きってわけでもないけどひまだからおばあちゃんが持ってくるドリルとかやってる。看護婦さんとかお医者さんとかに勉強見てもらってるって考えてたけど、それでいいかな?」 理恵はナベと由美の様子をうかがう。「あ、わたしはぜんぜん、忙しくないときなら見るよ」「そうだねぇ、仮にも医大卒だからね、うまく教えられるかどうかは別にして小学生に勉強教えるくらいはなんでもないね」「そういえば石山病院って、院内学級とかないの?」 由美の指摘についてナベはメモを作ってはいなかった。だが役作りの過程で考えていたことを思い出す。この場で思い出せてよかったと思う。「んー、そこまで大きな病院じゃないからないって考えてる。子どもの入院患者が多いわけでもないしね。用意してあげたいなー、とは思うけど、予算が…&he
Ler mais

第七十一話

 呼ばれたみずともは一瞬びくりとして、前に出てくる。「はい、えーと。三上トモコは三人の子どもがいます。三人とも成人して、独立してます。夫とは死別してます。えーと、もともと夫婦でパン屋をやってたんですけど、」「あ、自営業なんだ」 麻美がつぶやくとみずともは少し体を小さくする。「あ、言ってなくてごめんなさい。それで、夫が死んでからはたまに子どもたちに手伝ってもらいながら一人で店を切り盛りして、なんとか三人とも就職するまで育てました。小さいお店なので、ショウの妹と弟が就職するまでは妹弟にたまに店を手伝ってもらってました。ショウはショウで別のアルバイトをして私にお金を渡してくれてたので、申し訳ないなあと思ってました」 みずともはリングプルのついた小さな手帳に目を落とす。小さな手帳だとポケットに入れられるので、今度試してみてもいいかもしれないとナベは頭の片隅で考えた。「三人の子どもたちが就職してからもパン屋は続けてて、みんな仕送りしてくれるのでいまは生活が楽になりました。ショウが婚約して、サトミさんもいい人そうで本当に良かったなって思って、あとは下の二人も結婚したら安心できるかな、と考えてたんですけど。そんな矢先にショウが行方不明になってしまって」「ごめんね、母さん」「軽っ」 山口の軽口に骨折がつっこむと笑いが広がった。この二人は仲がいい。笑いつつみずともが続ける。「サトミさんとショウを探しても見つからなくて、サトミさんにも申し訳ないから私一人で探し続けるつもりだったんですけど、サトミさんがショウを見つけてくれて。そしたら記憶が無くなってるでしょう?本当にどれだけ心配させるのかしらこの子はって」「ゴメンネ、母さん」「心どこ行ったお前」 先ほどよりも軽い調子で謝る山口に骨折が突っ込むと、より大きな笑いが生まれた。これはもうコンビだな、とナベは思う。「でも、最後には記憶を取り戻してくれて、サトミさんとも結婚することになってよかったです」「私は誰とも結ばれないのね」 泣き真似をする由美の頭を裕子がよしよし、と撫でている。「えっと、な
Ler mais

第七十二話

「えーとですね、永瀬シオリは小さい頃から負けず嫌いで、努力していい成績を取る秀才タイプです。高校では学級委員長でした。生徒会長選挙に立候補はしましたが、落選してます。就職のときも、いまが就職氷河期じゃなければもっといい会社に入れたのに、と思ってました。向上心と自分はこんなもんじゃないっていう思いが強いですね」「お前っぽいなー」「え、私っぽい?やっぱり努力がにじみ出てる?」「いや、現状に不満持ってる感じ」「うっせーわ」 ナベは気の置けない麻美と骨折のやり取りを見て、そういえばこの二人は学年と学科が同じだったな、と思い出した。「……それで、営業の先輩がジンイチだったんだけど、シオリの教育係だったんですね。で、ジンイチは優秀に見えたのでなんでこの会社を選んだのか聞いたら、小さい会社の方が自分の力で大きくできるって言ってるのを聞いて、この人を目標にしようって決めます。自分では気づいてないけど、たぶんそのときからジンイチのこと好きだったんでしょうね」「やっとジンイチ報われたー」 ガジンがバンザイしている。「何年か働いてるうちにその気持ちに気づいて、でも対等でいたいからまずは仕事で認められようって頑張ります。そしたらサトミが入社してきて、ジンイチがサトミにちょっかいかけ始めたので、気が気じゃないです。でもショウとサトミが付き合い始めて、婚約もしたのでちょっと安心します」「でも?」 骨折が合いの手を入れるが、麻美にじろりとにらまれる。「邪魔だなーおまえ」「わり!」 片手を縦にチョップしようとするように軽く謝る骨折を見て、この二人もいいコンビだな、とナベは思う。「でも、ショウが行方不明になってからまたジンイチがサトミにちょっかいかけ始めたので、やきもきしてます。出番も少ないし、こんなところですね。えー、質問ある人ー」 瞳が手を上げる。「台本の中では、シオリはサトミにいじわるとかはしてないけど、嫌いではないの?」「んー。嫌いではないね。恋愛でもなんでも自分の都合で人にいじわるするような人間をシオリは
Ler mais

第七十三話

「えー、ちょっと提案なんだけど。みんなの役の深堀りが終わったら、なんかこう、合宿でやるべきことは終わった気がしちゃってね?」 コンビニへ行く用意をしていると、麻美が話し始める。「今日はもう、寝るまで遊んじゃわない?」「はい!」 ズビシっとガジンが勢いよく手を上げる。「全員集まる合宿の機会は非常にまれな、貴重な時間です!こういう時間は、公演までもうないかもしれません!」 ガジンは真剣な表情で語り始める。「その貴重な時間を無為に過ごすというのは、背徳的と言わざるを得ません!ぜひやりましょう!」「ん?」 一瞬、脳がバグってナベの声が漏れた。反対意見を言っていると思っていたが、違ったようだ。これから先、気を抜ける時間があるかどうかわからない。だからできるときに気を抜いておくのは悪くない、とナベは思う。「よく言った、ガジン!正直、ちょっと疲れた!」 山口が同調する。「まあねー、意味があるかどうかわからないけど、こういう時間が一体感を生むこともあるから、やりたければやればいいんじゃない?」 部長のケンも反対はしなかった。「何する?枕投げ?」 裕子が枕を投げるジェスチャーをする。「いいね。けど、もうちょいなんかやりたいね」 麻美が考えて、一同を見渡す。「なんか遊ぶもの持ってきた人いる?」「あ、部室にあるんじゃない?」 理恵は部室で誰かが遊んでいたのを記憶していた。「トランプとかウノとかあったね」 瞳は実際、遊んでいたのを思い出す。「じゃあわたし部室行ってくるよ。理恵ちゃん、ごはんわたしにも同じの買ってきてくれる?」 瞳は財布から千円札を一枚取り出して理恵に渡す。「え、いいけど、いいの?」「うん。今日バイトで疲れたから、合宿所で休んでる」「ん、わかった」 理恵は自分の財布に千円札をしまうと、山口が骨折を呼び止めた。「骨折ー、俺もバイトで疲れ
Ler mais

第七十四話

「おー、おつかれ」 合宿所では山口と瞳が台本を持っていた。二人とも劇の主役なので、話すことがたくさんあるのだろう、とナベは推察した。「理恵ちゃん、ありがとー」「はい、おつりも」 瞳が理恵から弁当の袋とおつりを受け取る。骨折も山口に弁当袋を渡す。「山口」「ん。……あれ?カツカレーは?」「残念ながら売り切れでな……」「なんでオメーがカツカレー持ってんだよ!」「残念ながら急に食いたくなってな。最後の一つが残ってて、ラッキーだった」 山口が骨折の肩を思い切り殴るのを見て、ナベはニヤリとした。「痛って。わかったわかった。早く金よこせ」「サンキュー」 二人はお金と弁当を交換する。この二日間、集中して合宿での稽古が行われていたが、今日はもう稽古をしないことが決まっている。和やかに夕食の時間が過ぎ、それから雑談が交わされていた。「よしじゃあ、遊ぶか」「何する?」 麻美が声をかけると弛緩した空気の温度が少しだけ上がり、裕子はわくわくした表情で周りを見渡した。「十人以上いるからな、大富豪とか?」「それでもちょっと多いから、二チームに分けて最後に決勝戦やるか」 骨折の提案をケンが修正する。「勝ち残り?負け残り?」「やっぱ罰ゲームでしょ」 山口の問いかけにガジンがニヤリとして答える。ナベはこういった勝負事にはあまり強くないので、優しい罰ゲームになることを祈った。「そうだね、じゃあ全員にジュースおごるでいい?」 麻美の提案を全員が受け入れる。全員におごっても二千円くらいで収まるだろう、とナベは安心した。二人ずつに別れ、グーとチョキでチーム分けをする。「同時にやる?観戦する?」「オラ、強ぇやつが見てぇ」「え、戦闘民族いる?」 理恵の問いかけにガジンがモノマネで答え、ナベが突っ込む。全員の意識がすでに遊ぶ方向へ向いていた。一チームずつ勝負
Ler mais

第七十五話

 コロが6を二枚出してゲームが再開する。「うわ、まじかペアかよ」 ガジンもペアを持っていない。次にペアを出すことができたのは山口だった。カードは10。「どうよ」「なっまいき」 勝ち誇った表情の山口に骨折が毒づく。「あ、すいません山口さん。わたし出せますー」 裕子がJのペアを出すと骨折はフッと笑い、山口は顔をしかめる。あとは全員がパスをして二巡目が終わった。 三巡目は裕子が4のペアを出して始まった。「ちょっと、ペアやめてよー!」 ガジンが情けない声を出しているが、他のプレーヤーの残り枚数を見ると追い詰められた状況ではないので、油断を誘っているのかもしれないとナベは考える。ペアはないが、悪い手札でもなかったからだ。 由美が5のペア、みずともが9のペアを出し、三巡目が終わる。 四巡目はみずともが4、5、6の階段出しをすると、裕子と由美がパスをする。「来たっ!」 とガジンが叫びつつ6、7、8を出す。続くコロは7、8、9を出す。「おらぁ!」 山口が出した手はQ、K、Aだった。「つよ!山口さん、いいの来すぎじゃないですかぁ?」 ガジンが愚痴る。その後は全員がパスをして終わる。 五巡目、山口はまた叫びながらカードを出す。「これで終わりぃ!」 出したカードは3が二枚とジョーカーのスリーカードだ。枚数は減ってきているので、ここまでスリーカードを温存できているプレーヤーがいる可能性は低そうだとナベは考える。続くみずともがパスをするが、裕子がニヤリと笑う。「ほんとすいません、山口さん」 勢いよく裕子が出したのは、7が二枚とジョーカーのスリーカードだった。「まーじかよー!」 山口は仰向けにひっくり返る。山口の手札はあと一枚だが、そんなに強くはないのかもしれないとナベは予想する。スリーカードを出せる者はその場にいなかったため、その場は流れた。「お先に上がりまーす」 
Ler mais

第七十六話

 次のゲームは、理恵・骨折・ケン・麻美・ナベ・久美子がプレーヤーだ。『親決めじゃんけん、じゃんけん、ぽん!』 じゃんけんの結果、親は麻美になった。麻美がカードをシャッフルし、順番に配っていく。ナベの前にも9枚のカードが配られ、いいカードが来ることを祈りながらめくる。3、6、7、9、9、10、J、A、2の9枚だった。可もなく不可もなくといった感じだ。欲を言えばジョーカーがあればよかったが、そう都合よくはいかないものだ。「それじゃあ、私から」 麻美が4を二枚場に出す。次のナベは9のペアを出すことができたが、ゲームの終盤で上がりを阻止するために使ったほうがよい。そう判断し、パスすることに決める。「……パス」「ナベ、いきなりパスかぁ?」 ガジンに心配、というよりも煽られている意味合いのほうが強いだろうか。「まだ始まったばかりだよ」 順番を考えなければ最後にパスばかりしてしまうことになる。だからナベは特に焦りを感じることもない。「ラッキー。ナベありがとー」 続く由美が5のペアを出す。ちょっと失敗したかもしれないとナベの頭によぎるが、久美子に親が移ればどのみち同じことだ、と考え直す。 理恵はパス、骨折は8のペアを出した。手番が移るたび、骨折は「頼む、頼む」とぶつぶつつぶやき、山口は「久美子、出せ」などと骨折の負けを願っていた。一巡目は全員パスをして、親が骨折に移った。「っしゃっ!」 と小さく骨折がガッツポーズし、二巡目は骨折の出した6から始まる。続くケンは9、麻美はJを出す。2が残っているのでナベはAを出した。これで親になれればいいが、と祈る。祈りは通じ、全員がパスする。「よし!」 思わずナベの口から声が漏れる。3は上がりのときに出せばよいので、6を出した。続く久美子はいきなり2を出した。「ちょっと、久美子さんやめてくださいよー!」 叫んだ理恵はまだ一枚も減っていない。このあと全員がパスをして、久美子が親になる。「ごめんね、理恵ちゃん」
Ler mais

第七十七話

 骨折が7、ケンが9、麻美がQを出す。「パス」 ナベはまだ2を出すわけにはいかなかった。だが、そろそろカードを減らさないとまずい。このあと全員パスをしたので、麻美が親になる。 九巡目、麻美が3を出して始まる。ナベは7を出す。出せるカードがあってホッとした。理恵が8、骨折が10、ケンがJ、麻美が2を出し、全員パスしたので再び麻美が親になる。 十巡目、麻美が5のペアを出したので、ナベはここしかないと思い、9のペアを出す。親になりたいが、9だと弱いだろうかと不安になる。「勝負!」 理恵はパスしたが、骨折がQとジョーカーのペアを出してしまった。親になりそこねたのは悔しいが、ジョーカーがこれで二枚出たので、2が最強のカードで確定したのは良かった。 十一巡目、骨折が8を出して始まる。続いてケンがKを出すと、麻美はニヤリと笑ってAを出す。「上がり!」「えええ!?まだあったか、くそ」 ケンの悔しがる様子を見て、残りの手札はそれほど強いものではないかもしれない、とナベは予想した。「ケンさーん、がんばれー」 コロがケンを応援している。もし裕子から応援されたら嬉しいが気恥ずかしさのほうが勝ってしまうな、とナベの脳裏に余計な思考が挟まる。ナベは自分の残りのカードを見る。3、10、J、2。2はまだ出せない。全員がパスをする。おそらくだが、全員もうA以下しか持っていないはずだ。麻美が上がったのでナベが親だ。ケンも骨折も残り一枚。勝ち抜けるのは残り二人。ケンはKより弱い手札しか持っていないはずだ。骨折はわからない。なら、Jを出しておくべきだと判断する。 理恵がQを出し、骨折がパスをしたのでQより弱い手札しか持っていないと確定する。全員がパスし、理恵が親になった。理恵が6を出す。「……パス」「あれ?もしかしてもしかして?」 骨折はパスし、山口が煽る。骨折のカードは6以下だとわかり、ナベは少し安心する。「よっしゃ、上がり!」 ケンがJを出して上がってしまった。まずい、とナベは焦る。残り一人し
Ler mais

第七十八話

 由美、山口、理恵、骨折の4人が最終戦に進むことになった。じゃんけんの結果、親は理恵になる。理恵がカードをシャッフルし、順番に配っていく。プレーヤーは四人なので、手札は一人につき十三枚か十四枚だ。プレーヤーが減ると手札が増えるので、使える戦略が多くなる。四人のカードを後ろからざっと眺めたナベは、おもしろい展開になりそうだなと予感した。 親の理恵が5のペアを出す。「最初っからフルスロットルだぜ!」 骨折が場に出したのはQのペアだ。『おおお』と周りから歓声が上がる。「えい!」 骨折が親になるかと思われたが、由美はKのペアを出した。続く山口、理恵がパスをする。「最初っからフルスロットルだぜぇ!!」 骨折は2のペアを出す。『おおおおお!!』と先ほどよりも大きな歓声が上がる。「お前、どんだけ引き強いんだよ!」 山口が驚きの声を上げる。「え、なに骨折。自爆すんの?」 観戦しているケンは適当に声をかける。「俺はここで勝負をかけるんですよお!」 全員がパスをして、骨折が親になる。「おらあ!かくめえぇええ!!」 骨折は9のスリーカードとジョーカーで革命を起こした。『おおおおおおお!』「すげえええ!」「ざけんなてめえええ!」 合宿所は歓声の渦に包まれる。誰もが何かを叫んでいるようだ。「革命返しだれかやってくれよおおお!」 山口が叫ぶが、全員がパスした。「じゃあ、これで」 骨折がAを出して三巡目が始まる。「あ、そっか。革命か」 由美はそうつぶやいて10を出す。続く山口は5、理恵は4を出すと、骨折はパスをした。その後も全員パスをして、理恵が親になる。「んーと、じゃあ」 理恵は10のペアを出すと、骨折はまたパスをする。「あれ?おまえもしかして、ペアもうない?」「いいや?そんなことねえし」 山口が煽ると骨折はシラを切る。わざとら
Ler mais
ANTERIOR
1
...
678910
...
16
ESCANEIE O CÓDIGO PARA LER NO APP
DMCA.com Protection Status