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復讐クエスト2 / LV3 勇者コウダイ 05

 あれから着々と離婚準備を整え、まずは紀美さんの方の最終局面へ。その日は打ち合わせをするために大吉酒場へ集まった。 最近萌絵は実家に迎えを頼み、麗華とはあまり接せないように気を付けている。僕の母がうまく麗華に言ってくれたのだ。老い先短い老人に、孫の世話という楽しみを与えて欲しい、と。 麗華はよそ行きの仮面を被った顔で「お義母さまたちになら、安心して萌絵を任せられます」と言っていた。外面は死ぬほどいいが、僕は彼女の腐った中身を知っている。 僕の方は現状維持のため、特に話すことはなかったので紀美さんの進行具合を聞いた。 どうやら五代建真は北都さんに入れ込んでしまったらしく、愛人とは手を切ったのだとか。こちらの罠とも知らないで、今はせいぜい夢を見てればいいと思う。紀美さんと北都さんは五代建真のクズっぷりに盛り上がっている。「相手の女は自分がフラれるとは思っていなかったみたいで、ケンに復縁まで迫ったんだって」「へええ…北都さん詳しいですね」紀美さんが驚いたように言った。「大吉のバーへよく来るから、ケンの情報は逐一手に入るよ。隣だからケンが来たらこっちに連絡が入るようになってる。バーの方はほとんどお客が来ないから、金ちゃんがしばらく店番手伝ってくれてるんだ。まあ、こっちの居酒屋もあんまりお客がいないけど」「連携プレーというわけですね。ありがたいです」 五代建真も僕たちが水面下で繋がっていることを知ったらさぞ驚くだろう。二重に驚愕し、肝を冷やせばいい。「コウの方は順調?」 北都さんが僕にも聞いてくれた。「はいまあ、おかげさまで」 現状維持だけどね。「そう。そっちも頑張りましょうね」 にっ、と北都さんが笑った。彼女は不思議な女性だ。他人の僕たちになぜ、ここまで加担してくれるのだろう。「北都さんは、見ず知らずの私たちにどうしてここまで親身になってくださるのですか?」 同じように疑問を持った紀美さんが、北都さんに聞いてくれた。「悪者をやっつけたい…ただ、それだけ。
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復讐クエスト2 / LV3 勇者コウダイ 06

 また月日は流れ、打ち合わせをしたいと北都さんから呼び出しがあったので大吉へ向かった。紀美さんは既に店に来ており、カウンターに座っていた。「こんばんは。紀美さん、順調ですか?」声を掛けた。「いやそれが…昨日お給料日だったのですが、建真に新しい口座のお金を取られてしまったんです」「えっ、どういうこと?」「以前の口座にお金が入っていないことを問い詰められたのですが、うまくはぐらかせられなくて、新しい口座のキャッシュカードを私の財布から持って行かれてしまって……お金、全額盗られました」 「はぁぁぁぁ!!?? なんじゃそれぇっ!!!!」  紀美さんの話を聞いて、北都さんがトレイをミシミシさせている。以前壊れた銀トレイではなく鉄製の重いもの(金さんが用意した)だが、これもそのうち壊れてしまいそうな気がした。「ほんとうに許せないですね。制裁は僕に任せてください」 激しい怒りしかわかなかった。麗華も最低だと思うが、五代建真も相当悪で最低だ。葛野もそうだし、世の中ろくでもない人間で溢れすぎなんじゃないか。  僕たちみたいなまともな人間ばかりで世の中を形成したいものだ。  まずは五代建真を地獄へ送る算段を付けよう。  その後、麗華だ。  「あのね、ノリ。そろそろケンにとどめを刺そうと思う。いいかな?」「はい。もちろんです!」「ちょっと早い気もするけれど、アプローチも半端なくなってきたし、夜の方をずっと誘ってくるのよ。近々行うわ。だから覚悟しておいてもらおうと思って」 紀美さんがいるのに、平気で夜の方を別の女性に誘うとか、神経おかしい。「覚悟もなにも、既に腹は括っています。こんなことを北都さんにお願いするのは心苦しいですが、どうか、よろしくお願いします」「ノリの決意表明が聞けてよかった。これで、心置きなく殺(や)れるわ♡」 北都さんの妖艶な微笑みが怖いですが、再起不能なほどに五代建真をコテンパンにして欲しいと願い
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復讐クエスト2 / LV3 勇者コウダイ 07

  「夫に見つかってはいけないので、長居はせずに帰ろうと思います。航大さんはどうされますか?」 紀美さんはもう帰るようだ。「僕も帰ります。あまり萌絵と離れたくないので。離婚が進んだら子供は僕が引き取るつもりでいますから」 実家に頼りっぱなしではなく、僕は萌絵との時間をたくさん持てるように全力を尽くしたい。「じゃあ、帰りましょうか」 マスターの真田さんに会計を頼んで支払い、紀美さんと喋りながら秋葉原の駅まで歩いた。話の流れから北都さんの話になった。「不思議な方ですよね、北都さんって」「今まで私が出会った中でも、あんな女性は初めてです」「きっと、これまでにたくさんの理不尽さに耐えてきた方なんでしょうね」「でしょうね」「僕たちも誰かの助けになれるように、頑張りたいですね」「航大さんはもう既に私の助けになってくださっていますよ。ありがとうございます」「紀美さん…」 サレ仲間として心強い紀美さんにそう言ってもらえると、とても勇気がわく。「僕も紀美さんに助けられていますよ。ありがとうございます」 復讐の舞台を整え、まずは五代建真を仕留める。その後は麗華を。「紀美さんの件が片付いたら、僕の方にもご協力よろしくお願いします」「もちろんです! ひと肌もふた肌も脱ぎますよっ」「頼もしいですね。そういえばアプリの方は順調ですか?」 復讐クエストについて聞いてみた。なんとも面白いRPGゲームを作っているんだろう。エンジニアなんてすごい職業だ。「もう少しで完成しますよ。テストプレイヤーを航大さんにお願いしたいですが、いかがでしょうか?」「なんと光栄な。ぜひ、やりたいです!」「ほんとうですか? 出来上がったらいちばんにお知らせしますね」 紀美さんの開発状況について談笑していると駅に着いた。じゃあ、と別れようと思った時、駅の改札前で不穏な動きを見せる女性がいた。スマートフォンのカメラを僕と紀美さんに向け、とても追い詰め
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復讐クエスト2 / LV3 勇者コウダイ 08

 僕はこそっと紀美さんに耳打ちした。 ――紀美さん、まずいです。僕たちが知り合いだと旦那さんにバレると面倒です。なんとか回避しましょう。  紀美さんは慎重に言葉を選びながら愛人と会話を続け、鞄の中から一冊の通帳と書類を取り出した。「私、お給料を盗られるのが嫌になって、新しい口座に変えたの。でも昨日キャッシュカードを取り上げられて、今朝、建真に全額盗られてしまった。私と復縁しようと思っている男が、こんなことすると思う?」「そ、それは……」 愛人がひるんだ。顔をしかめてまごついている!  戦闘ターンはこちらに回ってきたよぷだ。  よーし、ここからは僕の出番だ! 紀美さんを援護するぞ!! 「失礼。僕はこういう者です」名刺を彼女に渡して続けた。「広告代理店のファイブスターに勤めております。旦那様と奥様は、どちらも僕の取引先なのです。旦那様は食品事業の広告、奥様の方はゲームアプリの広告で打ち合わせをさせていただいております。浮気だなんてとんでもありません。僕は妻と娘を愛しておりますから」 愛妻家アピールしておいた方がいいだろう。『妻に裏切られて捨てられた可哀そうな夫』になった方が、萌絵の親権を獲得しやすいと思うので、これからはこのスタンスを崩さずに行こう。  自分のスマートフォンの画面を開き、待ち受けにしている麗華と萌絵の写真を愛人に見せた。「どうです、可愛いでしょう? こんなに可愛い娘に美人な妻がいるのに、取引先の女性と浮気だなんてとんでもない誤解です。あなたがされていることは立派な名誉棄損です。すぐに今撮影された画像や動画は消していただけませんか。消さないなら訴えます」 訴えるというワードに怯えた彼女が、青ざめた顔でスマートフォンを操作していた。「ほんとうに削除されたかどうか、見せてください」 動画や画像の収容フォルダを確認したが、今先ほど撮影されたと思われるものは消えていた。クラウドなどに連携されていないかも確認したが、どうやら大丈夫のようだ。しかし油断は禁物。  
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 01

 翌日の昼休み。紀美さんから貴重な証拠データが送られてきた。五代建真をやっつける武器だ。これを駆使して爽やかクズモンスターを撃破!  よ~し。腕が鳴るぞ。家に帰って動画編集だ。 プレゼン資料作る時の技術が役に立つ。動画編集はお手のものだし、ライターみたいなこともやるから、僕の手にかかったら一撃で社会的に死んじゃうぞ!! そうと決まれば明日はプレゼン。  僕は五代建真に電話をかけた。「あ、五代さんですか? お疲れ様です」『あ…どうも……お疲れ様です。宇治川さん、どうされました?』 ん。なんだかくたびれた声だなぁ。  あ、そっか。北都さんに瀕死の重傷を負わせられたんだ。昨日仕掛けするって言ってたし。ぷぷっ。きっとひどい目に遭ったに違いない。あとでどんなふうになったか聞いてみよう。「早速で悪いのですが、明日、詰めていたプレゼンをしていただこうと思いまして」『あ…明日ですか!?』「はい。実はマーケティング部の偉い方がこの企画発表を見たいと打診がありまして」 ウソだけど♪『偉い方…ですか』「ただ、明日にしか予定が空けられないというのです。企画を売り込むまたとないチャンスだと思いまして。社内でも優秀なものについては、テレビCM等でも優先的にいい枠へ入れ込んでもらえますので、ここはひとつ明日に間に合わせていただけませんか? 完璧な資料を作ってプレゼンをお願いします!」『やります! 死ぬ気で!!』 声のハリが変わった。でも、ごめんね~。  もともと企画通すつもりなんてないから~w ――かしこさ(悪知恵)が上がった! ――したたかさが上がった!  電話を切った後、すぐ北都さんにメッセージを送った。 ――明日、紀美さんの旦那をやっつけます。プレゼン資料とすり替えて流しますので、証拠画像や動画があればください。――OK。すぐ送るよ。  すぐに返事が来て、ファイル転送のURLが貼ら
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 02

  「パパ おかえり~!!」「ああ萌絵ただいまぁぁぁ」 ぎゅっと愛娘をハグするところから僕の帰宅はスタートする。  萌絵に酷いことをするモンスターがいないことが、どれだけ彼女の心を軽くしているだろうか。考えるだけでガッツポーズをしたくなるが、まだ完全排除したわけじゃないから、気を引き締めたいところだが…。 萌絵を目の前にすると、メロメロになってしまう!!  今まで一緒にいられなかった分、たくさん、たくさん萌絵と一緒にいるんだ!! この子の幸せのためにモンスター討伐なら、喜んで血みどろにでも殺人鬼でもなるつもりだ。でも、殺人鬼になったら萌絵との未来がお先真っ暗だろうから、そこは加減してっと。「パパ苦しいよぉ…」「萌絵に会えて嬉しいんだよ。おかえりって迎えてくれるのも嬉しいの!」 僕は今までの分を取り返すように萌絵を溺愛した。一緒に食事を摂って一緒にお風呂に入って一緒に眠る。食事の時は萌絵の幼稚園の話を聞いて、萌絵にいじわるする悪い奴がいないかどうかを尋ねる。真澄ちゃんという仲良しの友達がいると聞いた。しょっちゅう遊んでいるらしい。「萌絵は真澄ちゃんがほんとに好きなんだな」「うんっ! あしたね、キュアキュアのし~る、とりかえっこするんだ!」「へー。楽しそうだな」「ますみちゃんね、もえのもってない、すごーいし~る、もってるって」 萌絵が欲しいシールなら、金さんのところで手に入れてもらうけど、それはやっちゃいけないやつだよね。  パックラムネのおまけについているシールを、ずっと大事に集めているから。「ね~パパぁ」「ん?」「こんどね、キュアキュアの、えいがするって」「そうか、じゃあ行こう。パパの用事が片付いたら、連れて行ってあげるよ」「ほんと? わーい! ますみちゃんもいっしょにいきたいって!」「いいよ」「ありがとう~パパだいすき」 ニコッと笑う萌絵にパパはメロメロだよ! ――コウダイは『萌
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 03

  『もう嫁とは別れますから! ぜったいっ あなただけ大事にします!!』 服を脱ぐ間も惜しいのか、ヤツは北都さんの黒いワンピースをはぎ取ろうと必死だ。腹立つなぁもう!!『そんなこと言って…うそでしょう。私、今までたくさんの男性に騙されてきたのよ』『俺は違います! あなたのような美しい方に初めて会いました! もうすっかり夢中です。あなたを手に入れたい…』 せめて紀美さんと離婚してから言えよこのドクズが!!!!  握りこぶしを固めるとぎゅうぎゅう爪が掌に食い込んだ。結構痛い…。でもそれくらい腹が立っている。明日、容赦なく叩き潰すこと決定。前から決まっていたけれどもこの事項は覆さないっ!!!! 画面の中で繰り広げられる官能ドラマは北都さんとヤツの上半身を引きで映している。早く北都さんから離れろこのクズ!! ていうかもう「はいこれ全部録画してま~す」って言って終わらせて欲しい!!  じゃないと僕のメンタル持たない!! ――コウダイはさらに10ポイントのダメージ! 『聖子さんっ!! ああもう我慢できないっ』『私だけ愛してくれるって約束してくれる?』『もちろんです! 俺は、聖子さんあなただけ! それにしてもモデルみたいなプロポーションですね。胸のハリが全然ちがうっっ』『褒めてくれてありがとう。それより慰謝料払ってちゃんとお嫁さんと別れてね? 言い値を払ってあげなきゃだめよ? 一緒になるならきちんとしてくれなきゃ嫌だから…』『はい。嫁が言う額、全額払います!!』『ほんと? 誓える?』『はい!! 誓います!!』『じゃあいいわよ。キて。触って――…』 ヤツの手を取り、北都さんが誘導していく。彼女の秘めたる部分へ――  だめだめだめだめ!!  北都さん早まらないでっ!! お嫁に行けなくなっちゃうよ!!?? ――コウダイは瀕死のダメージ!  もう見るに耐えなくてストップボタンを押
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 04

  『すみませんすみません!! 俺、ノーマルなんで男の人とはできませぇん!!』 ヤツが北都さんに謝り倒しているが、そんなもんで赦されるわけないだろ~!『あ”? さっき嫁と別れて私と一緒になるって言ったよね! あれは嘘か! ああコラァ』 北都さんにすごまれ、ひいいと震えあがっている。  んー。しかし画面の向こうのモンスター、内心おしっこちびりそうなくらい焦っているんだろうなぁ。もっと焦れよ、って思う僕って実はサディスト気あったりして…。 ――コウダイの加虐的ステータスが少し上がった! 『いいえ決してそんなつもりでは!』『私のこと弄んでひどい』『いやもう…ごめんなさい』 ごめんですんだらケーサツいりません。『さっき誓ったのに!!』『男性だとは聞いていなくて…』 僕も聞いてなかった。『聞かれなかったし』 聞いたら教えてくれたの?  っていうか見た目で判断しちゃうでしょ…。それをいちいち『あなた女性ですか』って聞いていたらセクハラで捕まっちゃうよ…。『いやそれだけ美人なら女性だと思うでしょ…』 うん、思ってた。『慰謝料請求してやるっ』 どんどんして。『えっ!? そんなバカな! 俺がもらいたいくらい…』 あ???  紀美さんに払えこのクズ!!  この動画が面白すぎて、一人ツッコミが止まらない。 ――コウダイは『ツッコミスキル』を手に入れた!   『へえ。やってみなさいよ。私、本気で訴えるよ。ケンさんの会社に行って、弄ばれて捨てられたって大声で言って叫んでやるから!! 暴行されたって付け加えてやろうか? 私が泣きながら言ったらみんな信じるよ』 そりゃ信じちゃいますね。  会社の様子を想像したら、モンスターが必死で北都さんを止め、収集つかなくて泣いている姿が浮かんで吹き出した。
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 05

 動画を見終え、最高の終焉に笑いが堪えられなかった。僕は実家の冷蔵庫から拝借しておいた缶ビールを開け、渇いた喉を潤した。――コウダイのライフが全快した! ふぅ~。今の動画のお陰でめちゃくちゃ面白い復讐動画思いついちゃった♪ 早速編集、編集~♪ 制作時間2時間ほどであっという間に作り上げた『五代建真の不倫クエスト』。そしてついでに作った葛野討伐用の短い音声付静止画。ふふ。これでクズたちを討伐だ! で、当日。 僕は紀美さんに連絡を入れてスマートウォッチで五代建真の討伐シーンを見せることに。関係者各位を集め、葛野は一課のお偉いさんとして同席、加藤さんもマーケティング課の代表として徴収をかけた。発表したいことがあるからと言って、社長も呼んでおいたし~♪「それでは皆様。お時間となりましたので会議を始めさせていただきます」 アシスタントの僕がノートパソコンを操作をする。 ヤツが徹夜で作ってきた企画を流すんじゃなくて、予めすり替えておいた動画を流す準備はバッチリ! ふふ。早くも笑いが止まらない。にやにやしちゃいそうになるのを必死で堪えた。「まずはこちらをご覧ください」 プロジェクターにスイッチを入れた途端、ぱっと画面が映り、『五代建真の不倫クエスト』の文字が大画面に映し出された! あっははは!! 最高最高きたきた~!!!!――コウダイの会心の一撃!  五代建真は真っ青になっている。僕も焦った顔を見せているが、気を緩ませると大爆笑してしまいそうだった。口元がピクピクするのを抑えるのに必死で表情筋が鍛えられそうだ。恐らく瀕死のダメージを負わせられたに違いない。「なっ…こ、こんな…どうして……!」 最初からくたびれた様子の五代建真だったが、見るも無残に真っ青になっていて倒れそうだった。「ご…五代さん! この動画はいったい…どういうつもりです
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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 06

 「いや…宇治川のせいではないことはわかっているが…」 社長は僕を責めるつもりだったのだろうが、五代建真と直接知り合いでもなく、関係のないものだとばかり思っているから、巻き込まれて気の毒に、とさえ思ってくださっていることだろう。「あの! 社長に聞いていただきたい音声がありますっ!!」 その時突然、武田さんが挙手した。「これです!!」 武田さんは社長の方に向けたスマートフォンを高らかに掲げた。「私のために、宇治川さんがひどい目に遭った画像も一緒に見てください!」 小さな画面に映っていたのは、僕が葛野に向かって土下座するシーン。そして音声が流れる。『葛野さん、少しよろしいでしょうか――…というわけで、加藤さんが武田さんを困らせているので、なんとかしてください』『俺に言われてもなぁ』『付き合っていますよね? 加藤さんと』『付き合う? 冗談はよしてくれ』「ちょ、ちょっと待ってくれっ!! なんで君がそんな音声をっ、で、でででらためなっ」 葛野さんが慌てて止めようと武田さんに向かっていくが、すっと間に割って入った男性に止められていた。「柾谷(まさたに)っ! なんだっ。邪魔するな!!」「見苦しいですよ、葛野さん。続きを聞きましょうよ」 柾谷君は武田さんと同期で仲のいい男性だ。成績がいいので営業一課で頑張っているが、葛野のやり方が気に入らないといつも武田さんに伝えていたそうだ。イケメンで人望も厚く、なにせよモテる男性だ。 それよりも僕は加藤さんの様子が気になった。ここからはよく見えないけれど、肩が震えているように見える。突然やり玉に挙げられ、しかも付き合っているつもりだった男からは『冗談はよしてくれ』発言をもらうなんて、お気の毒に…。  それから僕と葛野のやり取りが少し流れ、問題のシーンだ。『武田さんが困っていたように見えたので…あの、出過ぎた真似をしてしまい、申
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