あれから着々と離婚準備を整え、まずは紀美さんの方の最終局面へ。その日は打ち合わせをするために大吉酒場へ集まった。 最近萌絵は実家に迎えを頼み、麗華とはあまり接せないように気を付けている。僕の母がうまく麗華に言ってくれたのだ。老い先短い老人に、孫の世話という楽しみを与えて欲しい、と。 麗華はよそ行きの仮面を被った顔で「お義母さまたちになら、安心して萌絵を任せられます」と言っていた。外面は死ぬほどいいが、僕は彼女の腐った中身を知っている。 僕の方は現状維持のため、特に話すことはなかったので紀美さんの進行具合を聞いた。 どうやら五代建真は北都さんに入れ込んでしまったらしく、愛人とは手を切ったのだとか。こちらの罠とも知らないで、今はせいぜい夢を見てればいいと思う。紀美さんと北都さんは五代建真のクズっぷりに盛り上がっている。「相手の女は自分がフラれるとは思っていなかったみたいで、ケンに復縁まで迫ったんだって」「へええ…北都さん詳しいですね」紀美さんが驚いたように言った。「大吉のバーへよく来るから、ケンの情報は逐一手に入るよ。隣だからケンが来たらこっちに連絡が入るようになってる。バーの方はほとんどお客が来ないから、金ちゃんがしばらく店番手伝ってくれてるんだ。まあ、こっちの居酒屋もあんまりお客がいないけど」「連携プレーというわけですね。ありがたいです」 五代建真も僕たちが水面下で繋がっていることを知ったらさぞ驚くだろう。二重に驚愕し、肝を冷やせばいい。「コウの方は順調?」 北都さんが僕にも聞いてくれた。「はいまあ、おかげさまで」 現状維持だけどね。「そう。そっちも頑張りましょうね」 にっ、と北都さんが笑った。彼女は不思議な女性だ。他人の僕たちになぜ、ここまで加担してくれるのだろう。「北都さんは、見ず知らずの私たちにどうしてここまで親身になってくださるのですか?」 同じように疑問を持った紀美さんが、北都さんに聞いてくれた。「悪者をやっつけたい…ただ、それだけ。
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