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復讐クエスト2 / LV4 勇者コウダイ 07

 「葛野君、いったいどういうことかな?」 社長は大変な愛妻家。そして僕の発言は最高に愛妻家。社長が葛野の味方をすることは100%無いだろう。「いえいえあのこれはっ、ですからっ、う、ううぅ、宇治川君が、そのっ、僕にあれこれ指図を…あ、いえ、注意を…受けてですね、その…」「社長! 私、葛野さんから何度も食事に誘われたり、嫌だから止めて欲しいとお願いしても、ぜんぜん止めてもらえませんでした! それを庇ってくださった宇治川先輩にこんな酷いことをして…ぜったいに許せません!!」「社長っ、僕はそんなことをした記憶はありません! 確かに食事に誘ったことはありますが、それはあくまでも懇親会の範囲でして…決してそのようなつもりでは……」「すみません、よろしいでしょうか」 葛野と武田さんが揉めている所に割り込む形で挙手をした。「そんなつもりがないというなら、これについてご説明いただけませんか?」 僕は自分のスマートフォンを掲げて流した。紀美さんから送っていただいた動画だ。 葛野と麗華が逢引し、最悪な会話をしていることを――「葛野さんは僕の妻によろしくして下さったのですよね? ほんとうに、どうもありがとうございます。どう償われるおつもりなのか、今ここではっきりと申していただけますでしょうか?」――コウダイの会心の一撃!――モンスター・クズノは瀕死の大ダメージ!!  「あぁぁあの…」 みんなの視線が葛野に向かう。 彼はこの世の全てが終わったかのような顔で、がっくり膝をついた。「ふ、不祥事を起こしてしまいまして、も……もうしわけございませんでした……」 みんなの見ている前で泣き土下座されてもね~。ただ、モンスターの社会的地位が地に落ちただけじゃないか。
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 01

 「萌絵――――っ!」 「パパおかえり~!!」  ぎゅーっと愛娘を抱きしめた。  僕はあれから『麗華と葛野の不倫の証拠』を手に入れ、紀美さんに呼び出されたので彼女の夫へ制裁するお手伝いをして、無事に任務が終わったので帰ってきたところだ。実家に預けていた萌絵と対面し、ハグを交わしたところ。「萌絵、今日はどうだった? パパはモンスターを2匹も退治したんだ」「ええ~カッコいい! どうやって?」「んーと、キュアキュアが悪者をやっつけるみたいに、こう、ズバーっと!」「すごーい!!」 萌絵からの賞賛はなににも勝る。あー、お風呂から上がったらビールで乾杯だね。「萌絵はどうだった、幼稚園」「ふつう」「ふつうか。そうか。なにもないのが一番だ」「ん…でも、もえ、パパにプレゼントがあるの」「えー、なにかくれるの?」 なんだろう。  萌絵がててーっと廊下を走って行き、リビングから丸めた画用紙を取ってきた。「じゃーん。パパをかいたんだ~」 クレヨンでいっぱい人の形に塗りたくり、カラフルな王冠を被った大きな顔が描かれていた。幼児特有のかわいい絵だ。「パパゆうしゃだよ~」「え~嬉しいありがとう! 一生大事にするよ!!」 再び萌絵を抱きしめた。こんな幸せ、僕はどうして今まで見失っていたんだろう。今までの自分をボコボコに殴り倒し、このレベルで転生して3年前からやり直したい。「パパよろこんでくれた…」 萌絵が僕を見上げて瞳を潤ませた。「あのね、えっと、ママは、えをあげてもね、よころんでくれなくて…」 ――コウダイの怒りはマックス限界だったが、怒り度合いが半端なく上限を突き抜けると同時に、萌絵への愛情も上限値を振り切った!!   「萌絵。今まで辛い思いをさせてごめんね。これからはパパと一緒に、ずっと、なにも心配なく暮らそう!」 こーなったら麗華にはトコ
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 02

  「じゃあ、約束して。次、僕を裏切ったら即、離婚だ。離婚の際は慰謝料を支払うこと、萌絵の親権は僕、離婚後の面会は無し、養育費をきちんと支払うこと、夫婦共有財産については受け取る権利が発生するものは放棄すること、この条件に同意ができれば再構築を考える。今回のことはなかったことにして、君のことは許すよ。そのくらいの誠意は見せて――」「ええ誓うわ! もうぜったい、こんなことはしないから!!」 食い気味に同意した。僕のことをATM夫とバカにしていた君のことだ。内心はさぞ『今に見てろよ調子に乗るな』みたいなことを考えているんだろう。「わかった。麗華を信じるよ。よかった…」  でもね、僕はもう決めたんだ。 「じゃあ、この誓約書と離婚届にサインしてくれる?」  萌絵を傷つけるモンスターは、僕の手で始末してやろうって。 「次はないからね、麗華」  君の息の根を、僕が止めてやる!! ――コウダイは『離婚届(記入済)』と『麗華の誓約書』を手に入れた!!  ※  週末。僕は萌絵と麗華と3人で近くの動物園に来た。親子3人で出かけるなんて、もしかしたら初めてかもしれない。萌絵が産まれてから、麗華は高圧的になったし僕のことをぞんさいに扱うようになった。  この3年間はずっと傷ついてきた。僕のなにが悪いのかと考えてきたけれど、どこも悪くなかったんだ。麗華が変わっただけ。いや、もともとこういう人間だったのだろう。義母を見ればわかることなのに。  さあ、僕の復讐クエストは正念場を迎える。今まで培ってきた人脈を総動員させ、麗華を討ち取ってやる!    昨日のこと――場所は居酒屋大吉にて。  仲間3人に集まってもらった。がっぽり慰謝料が手に入る予定の紀美さんにおごってもらいながらの会談。「北都さん! 紀美さんの時のように、ハニートラップ協力してもらえませんか!?」
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 03

 そういうやり取りがあり、作ったコピーを封筒に入れて書類置き場にはさんでおいたら速攻で綺麗になくなっていた。偽物とも知らずに麗華は安心しているはず。これでもう一度浮気をして僕の怒りを買ったとしても、ただ離婚になるだけだと考えただろう。どうせ僕とは離婚したいに違いないし。 だから、北都さんの登場だ。動物園で偶然出会う仕込み。  ドンッ  僕は動物園の休憩スペースに腰を下ろし、売店に向かった麗華を見ていた。予定では飲み物を買った彼女と北都さんがぶつかり、ジュースをこぼさせる。そして―― 「すみません。失礼しました」  いつもはポニーテールの北都さんで、聖子さんになった時は超絶美人だった彼女が今日はメンズ。(ていうかそもそも男性なんだっけ?)  メイクは完全に男性のもので、濃くりりしい眉に長いサラサラヘアは後ろでひとつにルーズアップでまとめ上げ、長髪男子でありながらも美しい。カラコン着けてるから、ハーフに見える。まるでモデルだ。「僕の不注意で…大変失礼しました」 男装(というか元から?)の北都さんは大変麗しく、僕の妻である立場にありながら、麗華は目の前のイケメン北都さんに見とれている。「すみません。お詫びをさせていただけませんか?」 いつも聞いているハスキーな声色とも違う。完全に男性だ。北都さんすげー。「いえ、こちらも不注意だったので…」「レディーに失礼を働いておきながら、そういうわけにはまいりません」 麗華に手を伸ばそうとしたところで、僕が登場。 「あっ! 阿久尾(あくお)くん、奇遇だね」  彼の偽名は阿久尾聖(あくお ひじり)。女性の時は聖子で、男性の時は聖。変装の名人だなぁ。   「あっ、宇治川さん! こんなところでお会いできるなんて」 北都さん(聖さん?)が、ぱっと顔を輝かせた。「ははっ。阿久尾君もデート?」「いやそれが…ちょっとデート中によそ見したら、怒って帰っちゃいま
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 04

 北都さんに自宅まで来てもらった。居酒屋大吉はマスターと紀美さんが店番してくれるから大丈夫で、バー大吉は金さんがいるから大丈夫。持つべきものは仲間♪  麗華が料理できないことは承知の上。多分デパ地下で買ってきた総菜を並べるだろうと思っていたら案の定だった。それを北都さんが『プロみたいな腕前ですね』と平然と褒めたものだから、麗華は舞い上がっていた。北都さんを見る目がどんどん女のそれになっていく。ふふっ、僕の罠とも知らないで。 麗華の料理がすっかり気に入ったという設定で、北都さんに家に頻繁にきてもらった。麗華を落とすのはこの家でいい。カメラいっぱい仕掛けてあるし、わざわざホテルに行くこともないだろう。現行犯逮捕できるし。  そんな状態を暫く続けた。さて、ここでいよいよ葛野の出番だ。早速空き会議室にヤツを呼び出した。 「あのさ、今日、僕のマンション前で麗華のことフってくれる?」「あ、きょ、今日ですか、はい、わかりました!」 例の事件以降、僕と葛野の関係性が完全に変わった。ヤツは会社で孤立しているが、奥さんにはバレていないようで肩身の狭い思いをしながら働いている。僕の顔色を伺いながら仕事をしていて、さぞストレスいっぱい溜まっていることだろう。まあ、その生活も明日終わるよ。内容証明と一緒にアンタが僕にくれた麗華との不倫証拠、奥さんに送り付けたし♪「麗華のこと、こっぴどく振ってね。すごく傷つけてもいいよ。残業ってことにしているから、僕が家に帰って麗華を慰めるよ。時間は19時ね。麗華をちゃんと呼び出して、マンション前で罵詈雑言浴びせてフッて欲しい。アンタは残業入れるなよ?」「はい! なんでもやります!!」「じゃ、よろしく」「う、宇治川さん!! 言うことをきいたら、僕の処遇考えてくれるんですよねっ」 クズの今後の未来なんて、僕が考えるわけないだろ。「それは君次第だよ」 どう転んでも明日修羅場だろうけどね。  でもそれは言えないからにこやかな笑顔を向けておいた。  さあ、賽は投げられた。  僕は大急
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 05

  「麗華さんにこれ以上酷いことを言うなら、僕が相手になってやるけど?」 北都さんはバキバキと指を鳴らした。あの一撃でも相当なダメージだよね。痛そう~。「ひぃぃ、とにかくお前とは別れるからなっ」「二度と面見せんなこのクズ野郎」 後ろを向いて逃げようとするクズに北都さんのキックがさく裂! ――ホクトのさらなる一撃! 「kw!?@xe…」 北都さんの鬼キックを受けた葛野は声にならない叫びをあげ、マンション前に倒れ込んだ。 ――ホクトがモンスター・クズノを撃破! ――コウダイたちはレベルが上がった! 「行きましょう」  北都さんはさらりとリードして麗華の肩を組み、マンションに入って行った。慣れていてスマートだ。正体を知らなかったら、漫画のヒーローみたいに思える。僕もこっそり後を追った。  麗華はしおらしく泣いていた。普通だったら怒鳴り散らしているところだろうが、どうせ北都さんに慰めてもらおうとか思っているんだろうな。は~、ホントクズ。キングオブクズだね、僕の嫁は。  夫としてクズ嫁の行く末を見届け、引導を渡してあげましょう。 「失礼します」  北都さんがリビングに入る。僕は時間差を置いて入るつもりだから、北都さんが撮影してくれているスマートウォッチのデータを、僕のスマートフォンに連携したものを見ている。北都さんが身に着けているものは、紀美さんが貸してくれた(レンタル代はタダ!)スマートウォッチだ。「それにしても酷い男でしたね。こんなに美しい麗華さんに暴言を吐くなんて!」 北都さんが怒っている。麗華はわっと泣き出した。大きな声を出している時がチャンスだ。玄関の音を極力立てないようにして、僕は自宅に滑り込んだ。潜入成功~。 僕は自分のスマートウォッチでも撮影を開始した。見守りカメラいっぱいあるから、どの位置でもイケるとは思うけど。リビングで押し倒すつもりだって北都さんは言っていたし。  家に来た時、入念にカメラの位置
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 06

  「麗華さん。僕はあなたが好きです。こんなに綺麗で料理も上手で、家庭的な奥さん…羨ましいです。正直、宇治川さんに嫉妬しています」「そ、そんな、私なんか…」「何度も家にお邪魔させてもらったのは…麗華さん、あなたに会いたかったからなんです。僕はあなたと出会い、運命を感じてしまった! 宇治川さんには悪いけれど…別れてもらえませんか?」「聖さんっ」 麗華は自ら北都さんを抱きしめた。「私も…あなたを、お慕いしていました。でも、主人がいるから…」「宇治川さんがいるのに、あの男と付き合っていたんですよね?」「そ、それは、主人が私を構ってくれないから…それにっ、さっき追い払ってくれた彼の方から誘ってきたんです。淋しいだろうって…バカでした。あんな男の口車に乗ってしまって…」 麗華はぽろぽろと涙をこぼした。はい、名演技賞!  いや、北都さんの方が名演技か。すごいよね。「じゃあ、僕が奪ってもいいってことですか?」 麗華は戸惑うしぐさを見せながらも、いじらしく頷いた。あざといな~。「僕のこと、好きになってくれましたか?」「はい。主人とは別れます。どうか、奪ってください」「僕と一緒になりましょう。麗華さん――」 そのまま北都さんは麗華をソファーへ押し倒した。ふわぁ、こんな明るいところで…!  まあ、証拠は明るい方がわかりやすくていいけれど。 「あっ、聖さん……」  麗華の甘い女性の声を聞いて、僕はもっとショックを受けると思っていたけれど、どうやら違っていたようだ。ぜんぜん、まったく、なにも感じなかった。萌絵に酷いことをしていると知り、許せない気持ちが強いからだと思うけれど、もう彼女のことは愛していないのだと再確認した。  うん、これで容赦なく、寸分の迷いもなく、地獄へ連れていける。  北都さんが麗華の上半身の衣服を乱した。続いてご自身が脱ぎにかかる。  黒のポロシャツを脱ぎ、サラシ姿になる。それを取ると――  「えっ…ひじ…り
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 07

  「ゆ…ゆ”る”じで…」 顎を圧迫されているので、うまく喋れない。小さな画面だからわからないと思うけれど、その顔は恐怖でひきつっていることだろう。「許す? なんで? 僕たちこれからだよ」「ひっ…い”や”ぁぁ」「じゃあ、許しを乞いなよ。旦那と別れて僕と添い遂げるって。ね? だったらこんなに怖くしない。優しくするから。でも、断るなら今すぐ…ふふっ、わかるよね? さあ、画面の前で誓って」「ひっ…ひっく…」「泣いてないでさっさと言えよ!!」 北都さんが恫喝した。こわぁぁぁぁぁ!「はっ、はいっ!」「ん、じゃあ言って。僕が満足するように、旦那と離婚すること、慰謝料払って別れて一生宇治川さんや子供に関わらないこと、僕と一生添い遂げるてこと、全部誓って?」 麗華はカタカタ震えながら北都さんが向けたカメラの前で、涙声でぼそぼそ話し始めた。「わ…私はっ、お、夫の航大と、り、離婚して、い、慰謝料…払います。わ、別れて、一生、航大や、も…萌絵にも、関わりません。そ、それから…阿久尾さんと、い、一生、添い遂げることを……ち、誓います」 ――コウダイは『離婚宣言の証拠』を手に入れた!  さあ、最高の証拠を手に入れた。モンスター・麗華を倒しに行くぞ!    「なにやっているの?」 僕はリビングに足を踏み入れた。あられもない恰好で誓いを立てる麗華に向けて自分のスマートフォンを向けると麗華は僕を見た。助けを乞うような目の色に変化している。役目を終えた北都さんはすっと麗華から離れて乱れた衣類を整えた。「次はないって言ったよね、麗華。誓約通りの離婚にしよう」「ま、待って。ち、違うのっ、これはぁっ…」「違わないよね? 今、誓いを立てていたじゃないか。彼と一緒になるんだろ?」 麗華の顔色が変わった。「き…いてたの」「うん、最初からぜんぶ聞いてた。葛野にフラれるとこ
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 08

   画像には通帳関連が映っている。麗華と萌絵名義の、僕の知らない通帳だった。「僕に隠していた通帳、あるよね? これ、僕の通帳から全部引き出して、萌絵名義と麗華の名義の通帳を作って、お金を移しているよね。僕がATMってこういうことだったんだ」「あ、ち、違うの! これはぁっ…!」「これ、もともと僕の財産だからね? 返してもらうよ」「いやあ待って! 離婚はするって言ったじゃん! これはもう私のだから返せないし、萌絵も渡せない!」 責め立てると急に態度が急変した。「萌絵は私が育てるから!」「は? 寝言は寝て言ってくれる? 今まで散々萌絵を虐待しておいて、よくそんなことが言えるね」 さすが天下一品のクズモンスターだ。ラスボスだもんね。一筋縄ではいかないか。「この世は母親に優位になっているの! 萌絵の親権は私だからっ。通帳も渡さない!!」「でも君はこの前書類にサインしただろ。『離婚の際は慰謝料を支払うこと、萌絵の親権は僕、離婚後の面会は無し、養育費をきちんと支払うこと、夫婦共有財産については受け取る権利が発生するものは放棄すること』って」「そんな書類書いてない」「なに言ってんだよ。書いただろ」「書いてない!!」「あっそ。じゃあ、書いてもらった書類出すから待ってて」 僕は立ち上がって棚の書類から封筒を取り出した。ニヤリと麗華は笑っている。つかの間の勝利を味わえよ。僕が今から、とどめ、刺してあげるから。 ――コウダイの攻撃!  僕は棚から取り出した封筒には目もくれず、自分で持ってきた書類の封筒を鞄から取り出した。金さんが預かってくれていた誓約書の原本だ。完成した離婚届は既にもう出してきたので、後は慰謝料もらうだけ。 「これ、見覚えあるよね?」  中身を出して見せた。 「なんで、そんなっ…この前処分したのに……っ」  麗華の顔がみるみる青ざめていく。唇は真っ青で震えている。
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復讐クエスト2 / LV5 勇者コウダイ 09

 僕は早速金さんに連絡した。「あ、金さん、すぐ僕の家に来てください。出張買取お願いします」 出張買取、高くつくんだろうな。でもまあ、いっか。他に持ち込んで面倒なやり取りするのも大変だし、なんだかんだで書類作成代が高すぎるってゴネたら原本預かってくれる料金も含んでくれたし、ぼったくりでがめつい割にはいいところがあるんだよね。  麗華はあまりのショックで床に伏せたまましくしく泣いている。すぐさま飛んできた金さんは、毎度あり~、と言いながらめぼしいブランド品をクローゼットから根こそぎ持ち出して行った。 ――『麗華のブランド品一式(なんでも屋で査定中)』を手に入れた! ――『麗華と萌絵名義の通帳(コウダイの財産)』とキャッシュカードを取り返した! ――出張買取費、1万円を失った!   やっぱり…出張買取費、高っ。  家からブランド品を運び出すと共に麗華を追い出し、僕自身も家を出た。今日くらい大吉で飲みたい。「よかったな、航大」 にっと北都さんが笑ってくれた。「北都さんや仲間のお陰です。ありがとうございました」「航大が頑張ったからだよ。自分の人生、自分が頑張らなきゃ幸せになれないからね」 北都さんの言葉はずんと僕の心に響いた。  そうだ。僕のクエストは僕が頑張って幸せなエンドに導かなきゃいけない。萌絵のクエストもそうだ。今までは僕が不甲斐ないせいで大事な萌絵を苦しめてしまった。 これからはめいっぱい頑張って、どんな困難でも僕が前に立って、自分の命よりも大切な萌絵という存在を守って行こう。「さ、大吉でノリも待ってるよ。戻ろう」「はい!」 仲間も待ってくれているなんて、最高だ。  今日は飲むぞ!!  北都さんと大吉に戻ると紀美や金さんだけじゃなく、武田さんも駆けつけてくれた。彼女にはお礼の連絡を入れたら、飲みに来たいと言ったから誘ったんだ。「宇治川さん、おめでとうございます! 
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