楓は焦燥のあまり、無意識に声を張り上げた。「私はいいって言ってるでしょ!湊が先よ!湊の場所はどこ!?今すぐ私が行くから!」彼女の言葉が終わると、電話の向こうは静まり返った。「ちょっと、聞いてるの!?」「そこは危険だ。湊は俺が自分で探しに行く。お前は俺の手下がそっちに着いたら、そいつらと一緒にそこを離れろ」そう言い捨て、雅也は楓に反論の余地も与えず、一方的に電話を切った。雅也がスマホをしまうのを見て、恭平は心配そうに言った。「社長。奴らは拳銃を所持しています。やはり警察を介入させるべきでは?」雅也の瞳は氷のように冷酷だった。「あいつらは後先を考えない連中だ。警察を介入させれば、逆上して湊に危害を加えるかもしれない。お前はここに残れ。何か動きがあればすぐ知らせろ。俺が先に行く」恭平はさらに引き留めようとしたが、雅也の冷え切った表情を見て、これ以上の説得は無意味だと悟り、頷いた。「……分かりました。どうかお気をつけて!」一方、二人のやり取りを一部始終聞いていた大輔の口角に、冷ややかな笑みが浮かんだ。雅也が楓に湊の居場所を教えなかったのは、おそらく犯人たちが銃を持っていることを危惧したからだろう。だが、雅也自身がそこへ向かうのなら、楓もそこへ向かわせた方が確実に面白くなる。ただ、楓が死ぬかもしれないのは少し惜しい。しかし、どうせ彼女が自分と結ばれることはないのだ。死んでくれた方が、このまま雅也と添い遂げられるより余程マシだ。手に入らないなら、いっそ壊してしまえばいい。「楓、湊がどこにいるのか知りたいんだろう?俺が教えてやるよ」間もなく、雅也の手下たちが大輔の邸宅になだれ込んできた。しかし、床に縛り上げられている大輔の姿があるだけで、楓の姿はどこにもなかった。雅也が郊外の廃製粉工場に駆けつけた直後、恭平から電話が入った。「社長。我々の人員が大輔の私邸に到着しましたが、望月さんの姿はありません。十中八九、すでに社長の方へ向かっていると思われます」それを聞くと、雅也の表情がたちまち険しくなった。「役立たずどもめ!」通話を切ると、彼は大輔の番号に電話をかけた。呼び出し音は鳴るものの、誰も出ない。スマホをしまい、彼は険しい顔で廃工場の中へ早足で踏み込んだ。この製粉工場が閉鎖され
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