記憶を取り戻してからというもの、彼女のすべてを何度思い返したか分からない。だからこそ、はっきりと覚えていた。二人は静かに食事を進め、社長室には食器の触れ合う音だけが響いていた。楓は食事をしながら、視界の隅で雅也の様子を窺っていた。彼の食事の所作はとても優雅で、自然と人目を引いた。それに、顔立ちも並外れて整っている。でなければ、あれほど多くの女たちが群がってくるはずもない。楓の視線に気づき、雅也は顔を上げて彼女を見た。不意に目が合い、楓は盗み見がばれたような気まずさを覚え、慌てて目を逸らしてぎこちなく笑った。「あはは……このエビ、美味しいわね……」「美味しいなら、明日も恭平に同じものを注文させよう。他に食べたいものはあるか?」楓は彼を見たが、その漆黒の瞳を正面から見た瞬間、再び視線を逸らした。「エビだけで十分よ。私の好きなものばかりじゃなくて、あなたの好きなものも頼んだら?」雅也は彼女を見つめ、頷いた。「分かった」その後、楓は雅也の顔を見る勇気が出ず、うつむいて静かに食事を続けた。食事が終わると、雅也は彼女に温かいお茶を淹れた。「ありがとう。私のことは気にしないで。自分でやるから」雅也は眉を上げた。「オフィスに入ってからずっと落ち着かない様子だが、本当に喉が渇いたら自分でお茶を淹れに行けるのか?」楓は一瞬こわばった。彼に見透かされていたとは思わなかったのだ。「ごめんなさい、まだ少し慣れなくて」「謝る必要はない。これからゆっくりと慣れていけばいい。そうだ、昼は俺の休憩室で休むといい。俺はまだ書類の処理があるから、午後一時半になったら起こしてやる」楓は反射的に断った。「いいえ、自分のデスクに戻るわ」彼女が頑なに拒むのを見て、雅也も無理強いはしなかった。なにしろ二人は五年間も離れていたのだ。今は湊のために再び一緒に暮らすことになったとはいえ、お互いの存在に慣れるには時間が必要だった。だが、彼はただの芝居で終わらせるつもりは毛頭なかった。必ず、この関係を本物に変えてみせる。「分かった」楓は湯呑みを置いた。「あなたは仕事があるんでしょ。私は食器を片付けたら戻るわ。仕事の邪魔はしないから」「いや、後でアシスタントに片付けさせる」「そう……じゃあ……私はこれで」「
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