「――へぇ、それはすごいですね。如月隼人といえば、あの大手芸能事務所フォーサイドプロモーションではありませんか!有名俳優がたくさんいますよ」「ええ、私もいきなり招待されてとても驚いています」次の日の朝、香織は朝食の席で有真に昨日の出来事を報告していた。元々オタクな有真は、その話に目を輝かせた。「香織さん、もし彼に会ったらサイン貰ってきてくれませんか?私、大ファンなんです!」「ええ、もちろんです。色紙持って行きますね」香織がにこやかな笑顔で答えると、有真はやったーと両手を上げて喜んだ。普段落ち着いている人だけれど、こういうときは何だか子供みたいだ。「そういえば、旦那様が近いうちに香織さんと私と三人で旅行にでも行かないかとおっしゃっていましたよ」「まぁ、お父様が?」それはいいですね、と香織は嬉しそうに笑った。前世では得ることのできなかった家族の温もり。毛嫌いしていた継母とこのような関係になるとは誰が想像できただろうか。前世に比べると、今は本当に幸せだった。あまりにも恵まれすぎていて、未だに夢なのではないかと疑ってしまうときがある。「香織さん、どこかへ出かけるのですか?」服を着替えて外へ出ようとする香織に、有真が声をかけた。香織は玄関で靴を履きながら振り返った。「今日は休みだし……外を散歩でもしようかと思っているんです」「あら、いってらっしゃい、香織さん」有真が笑顔で見送り、香織も手を振って外へ出た。外へ出ると、晴れ渡る青空が香織の視界に入った。吹き抜ける風がとても心地よく感じる。「わぁ、とっても良い天気ね!」香織は軽装のまま、家の近所を歩き回った。すれ違う近隣住民たちが、にこやかに挨拶を返した。以前は色眼鏡で見ていた彼らも、今では他の人たちと同じように接してくれている。羽川邸にいた頃とはどこまでも違う。気持ちの良い太陽の光を浴びながら、彼女は道を歩き続けた。一歩歩み出すたびに、九条邸からはどんどん遠ざかっていく。「……あら、あの子は」公園の近くに差し掛かったそのとき、香織はすぐ傍で泣いている女の子の姿を発見した。もしかして迷子だろうか。どちらにせよ放っておけないと思い、女の子の傍に歩み寄った。声をかけると、はらはらと涙を流す彼女が振り返った。その顔に、香織は見覚えがあった。「も、もしかしてあなたは……」丸く大きな瞳に、肩
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