それからしばらくすると、式が始まった。香織はじっと席に座り、亮太と日菜乃の登場を待ち続けた。ご丁寧に新郎新婦を紹介するオープニングムービーから始まり、香織は冷めた目で二人の動画を眺めた。(とんだ茶番ね……さっさと終わらないかしら)ムービーが終わると、司会者のアナウンスが流れた。「――新郎新婦のご入場です」その一言で、招待客たちが入口に視線を向けた。大きな扉がゆっくりと開いたかと思えば、腕を組んだ二人が入ってきた。真っ白なタキシードに身を包んだ亮太と、その横で微笑む日菜乃。(あらあら、今日の日菜乃は一段と華やかね……あんな事件を起こした張本人だとは思えないほど)白いウエディングドレスを着た今日の日菜乃はとても美しかった。彼女の着ているドレスはスカートの部分に華やかな縦のフリルをあしらっており、大きなパフスリーブの袖部分が印象的な可愛らしいものだった。全体的にレースを施し、髪の毛は低めの位置でシニヨンにまとめている。ふわっとボリューム感を出す髪には、花のベッドドレスが散りばめられている。「わぁ……とっても綺麗な花嫁さんね」招待客からは歓声の声が上がった。男性は主に日菜乃を、女性は亮太をそれぞれ美しいと褒め称えた。香織は自分を差し置いて幸せになろうとしている二人を見ても、今さら何とも思わなかった。ただ、気になる点が一つだけ。(……愛する女が横にいるってのに、どうしてそんな顔をしているのかしら)バージンロードを歩く亮太の表情が、何故か曇っていた。隣で愛らしく微笑む日菜乃とは打って変わって、彼は入場してきてからずっと暗い顔をしている。誰とも目を合わせることなく、視線を伏せたまま歩いている。よく見ると目の下にクマがあり、顔色が良くなかった。しまいには、横にいる日菜乃を全く視界に入れていない。(マリッジブルーってやつ?亮太にもそういう気持ちがあったのね)香織は特に気に留めることもなく、式を見守り続けた。「日菜乃さん、とっても綺麗ですねぇ」「……」横にいるのが新郎の元妻であることに気付いていないのか、隣に座っていた女性がそう声をかけた。香織はニコッと笑って答えた。「ええ、そうですね。女の私でも見惚れてしまいそうです」彼女が答えたその瞬間、すぐ近くを歩いていた亮太の視線が一瞬だけチラと香織に向けられた。「……!」彼と目が合い、彼女はドキ
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