翌日の昼、真由子はいつも通り、近所を歩いていた。(夜になったらまた仕事へ行かないと……)夜の間は実母が子供の面倒を見てくれている。元夫の両親は当然頼れないし。彼女の味方はもはや母親だけだった。真由子は公園の傍を差し掛かった頃、近所の主婦たちが何やらひそひそと話をしていることに気が付いた。「ねぇ、暁さんに関する面白い噂を聞いたんだけど……」「面白い噂?」彼女は普段このような噂にあまり興味がなかった。しかし、相手が瀬奈となれば話は別だ。真由子はバレないようにそっと聞き耳を立てた。「――暁さんが離婚した理由って、前の旦那の不倫が原因らしいわよ」「……!」真由子は思わず足を止めた。衝撃で体が動かなかった。「それ本当なの?あんな美人でも旦那に不倫されるのねぇ……」「まぁ、神宮司家の社長ならいくらでも若くて綺麗な女が寄ってくるだろうし……暁さんって若く見えるけどもう三十代後半でしょう?その歳になるといくら綺麗でも、若い子には敵わないのよ」信じられなかった。瀬奈が旦那に不倫されていただなんて。(あの人が私と同じだなんて……そんなの信じられない)瀬奈は真由子が嫉妬するくらい綺麗な女性だった。みずぼらしい自分が不倫されたならまだしも。「でもさすがに養育費はもらっているんでしょう?神宮司家の社長なわけだし」「それがね……それすらももらってないんですって!」「えー嘘!?」真由子はさらなる衝撃を受けた。「私の知り合いが黒川区に住んでるんだけど……神宮司夫妻の仲の悪さは有名でね。夫は愛人を作って滅多に家に帰ってこなかったらしいわよ」「社長の奥さんってのも大変なのねぇ……」「帰ったらウチの夫に感謝しないとね」神宮司財閥の社長夫人。女性なら誰しもが喉から手が出るほど欲しがる地位だろう。真由子も最初にその話を聞いたときは、瀬奈を羨ましく思った。暁家の令嬢として生まれたというだけで、大財閥の社長の妻になれたのだから。だから気に入らなかった。彼女は元々貧乏家庭の出身で、大学も奨学金で通っていたからだ。瀬奈を見るたびに、瀬奈と自分の境遇を比べてしまうのだ。「それに加えて、愛人との間に子供までいるんですって。しかも五人も!」「何それ!私だったら耐えられないわ」真由子は胸のチクリとした痛みを感じた。彼女もかつて、夫に不倫されたという経験があったから
Terakhir Diperbarui : 2026-03-14 Baca selengkapnya