一馬が頭を悩ませていた頃、湊斗は社長室でぼんやりしていた。彼の頭の中は瀬奈と……今はその子供のことでいっぱいだった。 瀬奈に子供がいるという報告は一馬から聞いた。しかし、彼は心のどこかであの子は瀬奈とは血が繋がっていないのではないかと、そう思っていた。 「……そんなこと、あるはずがないのにな」 彼は薄っすらと口元に笑みを浮かべた。まるで自分自身を嘲笑しているかのような笑顔だった。 湊斗は誰とでも寝る男と言われていたが、二十年間の結婚生活の間で本妻の瀬奈とだけは一度たりとも夫婦の営みを行わなかった。性行為無しで子供ができるはずがない。 『何だ?そんな汚らわしいものを俺の前に連れてくるとは』 そのため、彼は瀬奈が連れて来た子供を絶対に自分の子供だとは認めなかった。彼女が他の男との間に子供を作ったことにムカついて、あのときはいつも以上にひどい暴言を吐いてしまった。 そのときの瀬奈の悲しそうな顔は今でも記憶に残っていた。彼女は他の男との間に子供を作ったうえに、その子を湊斗の子だと偽り、彼の気を引こうとした。自業自得で、同情の余地なんてない。だが、しかし―― (ちょっと……言い過ぎたかな……) 今になって、過去の行いを後悔するようになるとは。 彼は仕事も手に付かず、ただ部屋で瀬奈のことを考えていた。瀬奈と過ごした思い出なんてほとんど無かったが、そんな中である朧気な記憶が彼の頭をよぎった。 「そういえば……パーティーに行ったあの日……」 六年ほど前だろうか。湊斗はいつものように沙織を連れてパーティーへ行っていた。彼は瀬奈を妻として扱わなかったため、エスコートするのはいつも沙織だった。あの日は酒を飲みすぎて、記憶がほとんどなくなっていた。いつの間にか家へ帰っていた彼は、沙織の姿を探した。 ――しかし、彼の目の前に姿を現したのは沙織ではなく瀬奈だった。背中の開いた青いドレスを着ていた瀬奈は、これまでにないくらい美しく、セクシーだった。そんな彼女を前に、湊斗は自分自身を制御することができなかった。 その全てが夢だと思っていた彼は、瀬奈の腕を掴み、寝室へ連れ込んだ。一連の行為は、薄っすらと彼の記憶に残っていた。 「夢……なん……だよ、な……?」 今思えば、夢にしては彼女の肌の感触や身体から伝わる熱があまりにも生々しかった。 その翌日、湊斗は本邸で目覚
Terakhir Diperbarui : 2026-03-26 Baca selengkapnya