大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました) のすべてのチャプター: チャプター 91 - チャプター 100

164 チャプター

囮になってみた!!結婚4日目・囮 3

 何かが崩れ落ちる音がした。(ユリウス……?) ビアンカの視界はテオドロスに遮られているため、今一つ状況が掴めない。 しかし、数秒後、彼女に覆い被さっていたテオドロスの身体が物凄い速さで、浮き上がったと思ったら……。 ドォーン! テオドロスの身体は力強く横の壁へ叩きつけられ、重力に従ってドサッと床へ落ちた。 彼がぶつかった壁には大きなひびが入っている。(え、死んだ?)「ビアンカ!!」(この声!!! ユリウスだ!!) ビアンカは即座に魔法の拘束を解いて飛び起きた。――――と、ここで彼女のシャツの残骸が、ヒラヒラと床へ落ちていく……。「あわわわっ!!」 彼女は慌てて露わになった胸を両腕で隠す。 ビアンカの状況を目の当たりにして、ユリウスは身体の中から怒りのマグマが噴き出し、業火の柱を立ち昇らせる。(真っ赤な炎? いや、あれは炎じゃない……。もしかして、魔力?)――――程なく、ユリウスはプツンと切れて、暴走し始めた。 ゴン! ――――バン!!  ドン、ドシン!  カン……。 床に落ちていたテオドロスの身体はユリウスの暴走で宙を舞う。 天井や絵画の飾っている壁に衝突しては、また違う方向へと弾き飛ばされていく。それはまるで人形劇の人形が大げさに踊っている場面の如く……。(あ~、これ、テオドロスがバラバラになるまで終わらないかも知れない。――正直、あいつを助けたいなんて微塵も思わないのだが……。ここは止めるべき? う~ん、どうしようかな~???―――しかし、いくらムカついたといっても、犯人を勝手に殺したらダメだよな~~~)  偉そうなテオドロスに腹が立っていたビアンカだったが、正義を愛する戦士として、仕方なく最低限の声掛けをすることにした。「―――ユリウス?」 彼女の声でハッと我に返る、ユリウス。 既に意識どころか魂も抜けていそうなテオドロスを遠慮
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囮になってみた!!結婚4日目・囮 4

(ん~、経緯の説明だけでは伝わらないか。実は逃げようと思えば逃げられたという話もしておいた方が良いかも知れない) ビアンカはユリウスの耳元へくちびるを寄せて、テオドロスの魔法による拘束が甘かったため、ワザと逃げられないフリをして犯行目的を探ったという話をした。 「―――だから、本当に大丈夫だったのです」と、最後に一言付け加えて。 (これで安心してくれるかな……) ビアンカはユリウスの顔を覗き込んだ。 ところが、ユリウスは安心するどころか……、いつもの柔らかなライトグレーではなく、研ぎ澄ました刃物のようにギラギラとした銀色の瞳で彼女へ鋭い視線を向けた。 (えっ、目の色がいつもと違う。これ本気で怒っているのでは? ヤバ……) 「ビアンカ!!!!」 ユリウスの怒号が半壊した部屋へ響き渡った。 (あ、殴られるかも……) ビアンカは覚悟を決めて奥歯を噛みしめる。 しかし、いつまで待っても衝撃は来なかった。 「―――魔法使いを相手に……、何故、大丈夫だと言い切れる?」 ユリウスは彼女を抱き締めたまま、苦しそうに言葉を紡いでいく。 「あなたは甘過ぎる。―――私が少しでも遅れていたら……。ビアンカ、―――もう、二度と囮になるなんて、―――止めてくれ……」 最後まで言い終えると彼の目尻から一粒の涙が零れ、ビアンカの胸元へポタリと落ちた。 (嘘っ!? これ……。―――ユリウスの目から涙が……) ―――彼はビアンカの肩へ顔をうずめる。 ビアンカは胸がギューッと締め付けられた。目の奥もジ~ンと熱くなってくる。 (飛んでもないことをしてしまった……。常に冷静沈着なユリウスが涙を溢すなんて……。姿を消した私の身をどれだけ案じてくれていたのだろう。―――なのに、こんな姿を晒して、呑気に大丈夫と言い続けた私は本当に……、馬鹿だ) ビアンカはユリウスにきちんと謝りたいと思った。 「―――ユリウス、心配を掛けて申し訳ありませんでした。次からは絶対、勝手な行動はしません。だから……」 (―――いや、そうじゃない。こういう時は決まりきった言葉を並べるのではなく、本心を伝えないとダメだ……) ビアンカは気持ちを切り替えるために一度、深呼吸をした。そして、戦士モードの口調で本音を語り始める。 「テオドロスに腕をつかまれた時、ユリウスなら絶対
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囮になってみた!!結婚4日目・囮 5

 ビアンカに皇族の血が入っていると聞いても、ユリウスはたいして驚かなかった。 なぜなら、ユリウス自身も直系で唯一の王子という身分を隠して、ヴィロラーナ公爵家の次男と世間に公表されているからだ。 もっと本音を言えば、ビアンカが旧イリィ皇家の血を引いているなら、王子(ユリウス)の結婚相手としてピッタリなのではないだろうかと楽観的に受け止めていた。―――しかし、続けて、宰相が語った『イリィ帝国の皇帝には神の力が与えられる』、『過去に後継者(次期皇帝候補者)の証を持つ者たちが玉座を巡って過去に熾烈な争いを繰り広げた』、『この時代の後継者の証を持つ者の一人がビアンカである』いう三つの話を聞いて、彼は己の甘さを知る。―――ビアンカの背負う運命は想像以上に重かった。 ユリウスは自分の心に問う。『どうするべきか?』と。 ユリウスがビアンカに惹かれたきっかけは、彼女が正体も分からない子供(ユリウス)を命がけで守ろうとしたからだ。 彼には常に護衛がついている。それはユリウスが王子だから。 でも、あの日のユリウスは素性の分からないただの通りすがりの子供だった。 そんな良く分からない子供を命懸けて守ろうとしてくれたビアンカの強い正義感と優しさにユリウスは胸を射抜かれたのだ。 この二年で、ユリウスは彼女の隣に堂々と立てるよう、高度な防御魔法や回復魔法もマスターした。そして、後はピサロ侯爵から結婚の許可を貰うだけと甘く考えていた……。 ピサロ侯爵の話によると、ビアンカは常に他国の後継者から、命を狙われているのだという。 彼女を守りたい。だが、十二歳のユリウスには彼女を守り抜くような力がない。―――苦悶の表情を浮かべているユリウスへ、宰相は一つの提案をした。「ユリウス王子殿下、これからビアンカを守れるだけの力を手に入れて下さい。そうすれば、私は喜んで殿下へ娘を差し上げます』と。 ユリウスはハッとする。 宰相は『これから』といった。 都合の良い解釈をするならば、ユリウスが今後、力をつければ、ビアンカとの縁談を
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囮になってみた!!結婚4日目・囮 6

「牢に送った?」 「ええ、ここで目覚められたら面倒なので……」 「目覚める? あいつ、生きているのか!?」  ビアンカは興奮して、つい戦士モードの口調になってしまう。 (あいつ、ボロボロで、ピクリとも動かなかったぞ……) 「多分」  ビアンカの首筋に顔を埋めながら、ぶっきらぼうに言い捨てる、ユリウス。 「多分って、適当過ぎないか?」 「そうかも知れないですね」 (何だか投げやり……。夜更けにこんな騒ぎを起こされて、疲れているのかも。―――って、ええええ!) 「うわ~!」  ユリウスはビアンカを片腕で抱き上げた。そして、そのままベッドの上から軽やかな身のこなしで降りる。 「いや、これ、抱っこ……」 (抱っこしてもらうなんて、いつ以来だ!?) 「ケガをしたらいけないので……」 (あ~、靴が無いからか~)  とはいえ、今のビアンカは立派な大人でユリウスと背格好も似通っている。幼児を抱きかかえるのとはわけが違う。 「ユリウス、重いでしょう?」 「いいえ、軽いです」 「―――そう?」 「はい、力はある方なので心配しなくても大丈夫です」  そうは言われても、体格の良いビアンカは気になってしまう。 (私の靴~、どこに行った~!)  がれきの山を見回してみたが、それらしきものは見当たらない。 (凄まじい光景だな。窓側の壁は完全に破壊されているし、他の壁もヒビだらけ……)  あきらめて、床から視線を上げると……。 ―――壁が無くなったところから、美しい月が見えた。 「部屋は悲惨な状態ですけど……、月は綺麗ですね」 「確かに……、綺麗ですね」  ユリウスはビアンカを腕にのせたまま、月が良く見える場所へ歩いて行く。 「ここは上の階だったのですね」  ビアンカは身を乗り出して下を覗き込む。 「あれは……、温室? やはり、この部屋は辺境伯城の一室!」 「はい、ここは別館です」 「カーテンに見覚えがあったんです。テオドロスはどうして、こんな近くに転移したのでしょう? 本気で連れ去るつもりなら、もっと遠くに逃げないとダメですよね」  ビアンカは首を傾げる。 「それは誤算が生じたからでしょう。この城には特殊な結界を張っていますので、侵入者が転移魔法を使って外に出ようとすると無効化されます。彼はそれに気付いて、フォンデの滞在して
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囮になってみた!!結婚4日目・側防塔・1

 書斎に入ると、Xがユリウスを待っていた。執務机の上に両手をついて、前のめりで……。「閣下、やり過ぎですって~!」 開口一番、Xはユリウスに『アレはマズイ!』と訴える。予想していた通り、彼の用件はフォンデのことだった。 しかし、何と言われようとフォンデがテオドロスをこの城に招き入れたのが、今回の事件の引き金となったのである。ユリウスはフォンデを許すつもりはない。「外交問題になるんじゃないッスか!?」「それはない。今回の件が表沙汰になったら、困るのはサルバントーレ王国の方だ」「んんん、どういうことッスか?」 先ほど発生した事件の詳細をXはまだ知らない。 Xは前のめりになっていた姿勢を正して、ユリウスの話に耳を傾ける。「フォンデはこの城にターキッシュ帝国の第四皇子テオドロスを自国への留学生と信じ込んで連れて来た。テオドロスはビアンカを誘拐しようと目論んでいたようだ。略奪婚をするために」「はぁ~? 嘘でしょ!」「本当だ。しかも、あいつ(テオドロス)は魔法を使える」「マジで!?」 Xは驚愕する。 騙されていたとはいえ、一国の王子(フォンデ)が他国の王族の妃を誘拐するための手引きをしてしまったという事実に……。 これは公になれば大スキャンダルだ。 そして、彼は魔法を使えるというターキッシュ帝国の第四皇子のことも気になった。――――Xはビアンカの強さを知っている。 彼女がそんな簡単に誘拐されることなどあるのだろうか……、と。「ビアンカは囮捜査を試みたらしい」「はい?―――魔法使い相手に?」「ああ、危機感が無さ過ぎて、血の気が引いた」「ですよね~!? ケガとかは?」「幸い怪我はなかった。ただ……」 ユリウスは言い淀む。 部下と情報を共有しなければならないのは分かっている。
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囮になってみた!!結婚4日目・側防塔 2

 ユリウスは椅子から素早く立ち上がって、ドアを開く。「あれっ? Xはもう帰ったのですか?」「ええ、彼の用事は終わりましたから」「―――テオロドスのことですか?」「いいえ、フォンデのことです」 ユリウスはビアンカから視線を外し、壁に掛けてある絵画へ視線を向ける。そこにはローマリア王国の軍旗を大地に突き立てる勇ましい女神が描かれていた。(ユリウス、壁の絵をじっと見つめて……、どうかしたのか?)「フォンデ王子殿下に何か問題でも?」「―――側防塔に吊るしました」「は?」「ビアンカが連れ去られたと他人事のように叫んでいたので、腹が立って側防塔に吊るしました」(ユリウス、真面目な表情で何を言い出すのかと思えば……。側防塔って、城の四隅にある丸い塔のことだよな? あれ、かなり高さがあるぞ……) ビアンカは側防塔にフォンデが吊るされている姿をつい想像してしまう。「ついでにいうなら、川の上に吊るしました」(あの急流の上に!?)「ブッ、クックック。すみません。想像してしまいました。フフフフフッ」「残念ながら、直ぐに気を失ったようで、効果がイマイチでした」「アハハハッ……、フォンデ王子殿下は運が良いですね」 ユリウスは無表情でコクンと頷く。(ユリウス、不服そうだな。フォンデ王子殿下がテオドロスを連れて来たから怒っているのだろうけど……) ビアンカはここでひとつ気になった点を聞いてみた。「―――外交問題になりませんか?」「Xにも同じ指摘を受けました。大丈夫です。悪いのはあちらですから」「それは……、その通りですね」(あ、ユリウスはやっぱり、まだ……というか、かなり怒っているな……。よし、話題を変えよう……)「ええっと、ユリウス、お願いがあるのですけど……」 ビアンカは自分の頭を指差す。 タオルで拭いたものの、彼女の黒髪はまだ水気を帯びていた。乾かして欲しいということだろうと察したユリウスは返事代わりに風魔法を発動する。 ブワッと暖かい風がビアンカをクルクルと包み込んだ。(おおっ! 一瞬で乾いた!! やはり、ユリウスの風魔法は便利だ~)「ありがとう、ユリウス」「どういたしまして。私もシャワーを浴びて来ます。ビアンカは明日の朝訓練に備えて、遠慮なく先に休んで下さい」「分かりました」 ユリウスは書斎から寝室に繋がるドアを開け、更に
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囮になってみた!!結婚4日目・夢の一片 1

「陛下、王妃様の主治医がお時間をいただきたいとのことです」(ん? この声は……) ビアンカは聞き覚えのある声を聞いて、目を開けた。 王宮の一室らしき部屋にいるのは、国王と宰相ことピサロ侯爵(ビアンカの父)だった。(父上たちが若い……。これは夢?)「王妃の主治医が?――――分かった、すぐに時間を作ってくれ」「かしこまりました」 二人のやり取りが終わったところで、場面が変わる。 次は豪華な家具と絵画が飾られている部屋になった。(王宮のサロン……?) 国王と白衣の男がソファーに向かい合わせで座っている。宰相は国王の斜め後ろに立っていた。(あの白衣の男性が主治医か? わざわざ、時間を取って話をしたいというのだから、王妃様に何かあったに違いない) ビアンカは話の内容を聞くため、三人へ近づいていく。(夢であるはずなのに現実のようにも感じる。起きた時に覚えていたら、夢ではないということなのだろうか?――――それはそれで奇妙だ。時を遡っているということだろう? 魔法もつかえないのに……。もしかして、神力のせいか? いや、違う。幼いユリウスの夢を見たのは神力を得ていない時だった。う~ん、何なんだろうなぁ~。さっぱり分からない……)「ベンジー医師、王妃の体調に何か問題でも起きたのか?」「はい、お伝えしておかなければならないことが、少々……」 ベンジー医師は言葉を選びながら、ゆっくりと話し始める。「昨夜から、王妃様が微熱を出されているとのことでしたので、今朝方、診察いたしました。―――ご懐妊でございます」「なっ!? それはまことか!?」 国王は両手でこぶしを握って、立ち上がる。「ああ、何ということだ!! 神に感謝を……」 感極まった国王の頬に涙がつたう。
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囮になってみた!!結婚4日目・夢の一片 2

「ビアンカ、風邪を引きます」(ああ~、もう……少し……待って、まだ……最後まで見てない……)「ビアンカ!!」「わぁ!!」 耳元で大きな声を出され、ビアンカは一気に覚醒する。(視界が横向き……? あ、やっぱり、ユリウスだ!!) いつの間にか、ビアンカはソファーの上で横倒れになって眠っていたらしい。ユリウスは床に跪いて、心配そうにビアンカの顔を覗き込んでいる。「こんなところで眠るなんて……、かなり疲れていたのですね」「分かっているなら、わざわざ起こさなくても……。ベッドに運んでくれたらいいのに……」 彼女の口からポロリと本音がこぼれる。夢の続きが見られなくて残念だったからだ。「―――気が利かなくてすみません」 元気のない声を返されてしまう。(マズイ! 無神経な発言で凹ませてしまった……)「いえ、こちらこそ、横着なことを言ってすみませんでした」 ユリウスは首を横に振る。「いいえ、配慮が足りなかったのは事実なので気にしないで下さい。ところで…………」「ところで?」「ビアンカ、気になることはありませんか?」「気になること?」「ええ、手足を拘束されたり、服を破かれたり、今日は嫌なことばかりだったでしょう。こういう場合、どこかに不調が出たり……」「あります!!! 変な感じがして困っていたんです。凄い! ユリウスは何でも分かるのですね!! 流石です!」 ビアンカは嬉しくなって、ユリウスに飛びつく。「!!」 ドサッ。 床に跪いていたユリウスは彼女を受け止め切れず、一緒に後
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課題が厳しい!!結婚5日目・一口食べてみませんか? 1

「雲一つない快晴!! 爽やかな風! 最高の訓練日和だ~~~~!!」 ビアンカは窓辺に立ち、両手を上げて気持ちよさそうに伸びをする。(昨夜はテオドロスのせいで嫌な気分だったが、夜遅くまでユリウスと楽しく語り明かしたら、どうでも良くなった。で、私はいつの間にか床の上で眠ってしまったようだが、目覚めたのはフカフカなベッドの上。きっとユリウスが移動させてくれたのだろう。優しい夫に感謝だな) 彼女の弾んだ声を聞いて、ユリウスはクスッと笑う。 二人はこれから朝食を取り、その後の朝訓練ではビアンカと兵士たちの対戦試合が行われる。「楽しそうですね、ビアンカ」「はい、訓練は殺し合いではないので~」「――――なるほど」 現実的な理由を述べる、ビアンカ。 ユリウスは苦笑いで相槌を打つ。(今日の対戦は三十名。リシュナ領軍の兵士たちはどういう攻撃をしてくるのだろうか。ここは戦闘の多い地域だから、国軍の精鋭たちと同じくらいの実力者もいるはず……。うむ、不謹慎かもしれないが。ワクワクしてしまう) ビアンカは窓辺からユリウスの座っているソファーの方へ移動した。テーブルの上にはアンナが用意してくれたサンドイッチとフルーツが並んでいる。「美味しそうですね~。ユリウス、食べましょう」「はい」 ユリウスの隣に座るなり、ビアンカはサンドイッチへ手をのばした。(このハムはサラミだ! リーフレタスと……、ん? マッシュポテトも入っている。おおっ!? 黒コショウのアクセントが絶妙っ!!―――この城の料理は本当に手が込んでいる。国軍の宿舎では絶対に出ない料理だ……) サンドイッチを咀嚼しながら、幸せそうな表情を浮かべているビアンカを、ユリウスは隣から静かに見つめていた。「ユリウス、これ凄く美味しいですよ。一口食べてみます?」―――突然、差し出されるかじり掛けのサンドイッチ。ユリウスは一瞬、戸惑ったが……。
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課題が難しい!!結婚5日目・一口食べてみませんか? 2

「はい、どうぞ」 ビアンカは両手首の内側を合わせて、ユリウスの前に差し出す。(自分からしておいていうのも何だが、これ、お縄になるみたいで嫌だな……)「では、早速」 彼は杖を取り出すこともなく、手のひらを上に向けて、白い光を放つ鎖を出した。 鎖は勝手に動いて、ビアンカの手首へグルグルと巻き付いていく。「―――拘束しました。ビアンカ、解いてみてください」「やってみます」(この鎖、見た目はエレガントだが、かなり強力そうだ……) 彼はビアンカの手元をジーッと見つめる。どういう風に魔法が解けていくのか興味津々だったからだ。 ビアンカは手首に神経を集中させ、昨夜のように『解けろ』と心の中で願ってみた。(んんんっ? 今日は手首だけではなく指も動かせない。テオドロスの拘束魔法は見た目がロープだったから、直ぐに切れる場面を想像出来たのだが、これは……)「―――あっ!」 声を上げたのはユリウスだ。 彼はビアンカの手首に巻き付いている鎖の変化に一早く気付いた。「ビアンカ、鎖に小さなヒビが入りました。今、何かしましたか?」「『解けろ』と願いました。ただ、これ以上は……。いえ、もう少し抗ってみます。―――んんん、―――うおおおっ~~~~、くう~っ!! ―――はぁ~~~、限界です。ビクともしません!!」 ビアンカは降参を宣言する。 ヒビが入ったとはいえ、手首も指先も動かすことが出来ないのだ。(この鎖は私の力では解けない。魔塔主(ユリウス)の魔法はレベルが違う!!)「ユリウス、神の力のお蔭というより、あいつの魔法がショボかったという可能性もあるのでは?」「私に何の反撃もして来ませんでしたから、その可能性(ショボかった)もゼロではないですね」(いや、反撃どころか、あいつ、ユリウスの一撃で気を失ってたじゃないか…&helli
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