Semua Bab 大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました): Bab 71 - Bab 80

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囮になってみた!!結婚4日目・リシュナ領軍 3

それにユリウスはビアンカがしたいと言いそうな事をわざわざ止めようとは思わない。(ガッツリ訓練に参加してもいいという雰囲気を醸し出しているが、本当にいいのか? それはそれで私は嬉しいのだが……、辺境伯夫人の仕事がおざなりになって、ユリウスの負担が増えるなんてことになったらダメだろう? この件は後で話し合いが必要だな……)「よっしゃ~!! 閣下から許可が出た~!! 早速、順番を決めるよ~! お~い、レリック、紙とペンを持ってきて。ホーネット、あんたはどうする?」「俺は後で構わない。それより……、ルイーズ、見てみろ! ほぼ全員が対戦を希望しますという顔をしてるぞ。一日当たりの対戦人数を決めておいた方が良いんじゃないか」「そうだね。ビアンカ一日何名くらいにしようか?」 ルイーズはビアンカへ尋ねる。(総勢八十名くらいか……。念のため一日分、多く答えておこう)「三日」「へっ? 人数じゃなくて三日!? まさか三日で、こいつら全員と戦う気?」「ああ、問題ない。それから武器は大斧ではなく練習用の木剣を使う。大斧は命を奪ってしまう可能性があるから」 ビアンカは右手で首をスパッと切る仕草をした。 テンションが上がって、少しザワついていた修練場が途端にシンと静まる。(手合わせとはいえ真剣勝負だ。実力が違い過ぎたら、大けがをさせてしまう可能性だってある。相棒を使えないのは残念だが、仲間を傷つけるわけにはいかない) その後、対戦表が作成されビアンカとの手合わせは翌朝からスタートするということになった。 本日はビアンカ式の訓練メニューを皆で体験して、午前七時に解散。 なお、日常訓練は毎日、午後一時から修練場で行われているのだが、この日は欠席者が続出し、ユリウスの笑いのツボを酷く刺激したとのこと。♢♢♢♢♢♢♢「想像していたよりも兵士の動きが良くて驚きました。地方の軍として、リシュナ領軍は最強かも知れません」 ビアンカは訓練を終え、少し
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囮になってみた!!結婚4日目・聖地イリィ

かつて『聖地イリィ』と呼ばれていたイリィ大陸。――――この大陸には古き時代に建てられた神殿が点在している。 しかし『この大陸は神々が暮らす聖地なのです』と言われても、ビアンカは神を見たことも感じたこともないし、特別な信仰心も持っていないので、全くピンと来ない。 ただ、この大陸の大半の者は神の存在を信じている。その理由の一つとして、旧イリィ帝国の建国神話が神の存在を認めているということが挙げられるだろう。 この建国神話は神の子と人間の娘が恋に落ちるところから話が始まる。しかしながら、二人は多くの問題に阻まれ、一緒になりたいという夢は叶わない。 二人の仲が引き裂かれた後、娘は妊娠に気付く。 娘は我が身に宿った小さな命のことを神の子には知らせなかった。愛する人の子を人間の世界で育てていく覚悟したからである。 やがて、その愛し子はイリィ帝国を築いた……。「あの建国神話、イリィ帝国の皇族は神の血を引いていると宣言していますよね。かなり眉唾な話だと……」「ええ、本当に嘘のような話ですが……」 ユリウスは言葉を一旦止めて、一口サイズに切ったベーコンを口へ運んだ。(え~、モグモグ食べてる~!? しかも『おっ、これ美味しい!』というような顔をしてるし……)「あのう、ユリウス、続きが気になるのですけど~」 ビアンカはユリウスを急かしつつ、オレンジジュースの入っているグラスを手に取って、一口飲んだ。―――甘酸っぱさが訓練後の身体に染み渡っていく。(これ、旨い! もう一口……)「―――真実です」 ゴホッ、ゴホゴホッ……。(うううっ、ユリウス! 発言のタイミングが悪過ぎる!! あわわっ、変なところにオレンジジュースが……、ゴホッ、ゴホッ。―――というか、真実って!? え~っと、聞き間違えてないよな??)「真実?」「はい、建国神話は真実です。間違いありません」 神の存在を肯定する発言をした後、
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囮になってみた!!結婚4日目・証 1

「分かりました。では、もう少し分かり易く、イリィ皇家の子孫の話をしましょう」「はい、お願いします」 ビアンカは前のめりになって、ユリウスの話に耳を傾ける。「先ず、子孫の中に神の血を引き継いでいる者と普通の人間がいることについて説明します。―――イリィ皇家の血を持つ者の中で、神から力を分け与えてもらえるのは一代に付き一名だけです。要するに後継者のみが神の力を得るということです」「神の力を得るのは一代に一人、その他の子孫は普通の人間……」 ビアンカはブツブツとユリウス聞いたことを復唱し、頭に入れていく。「そうです。後継者はイリィ皇家の血の子孫で『証』を持つ者の中から選ばれます」「後継者になるには『証』が必要……」(―――何もかも初めて聞く話だ……)「そして、ネーゼ王国の国王と一人娘のコルネリア王女は『証』を持っていません」(だから、ユリウスは二人のことをただの人間と言ったのか~)「後継者候補がいないのなら、神の力を引き継げませんよね。いよいよ血が途絶えてしまうのでしょうか」「いいえ、血縁者はあの二人だけではありません。五百年前の争いをあなたもご存じでしょう?」「ええ、まぁ……、はい」(イリィ帝国が滅びた時のことは歴史の授業でも学ぶから、勿論、知っているけど……。ネーゼ王家以外の血縁者なんて、私は知らないぞ) 五百年前、イリィ大陸を治めていたイリィ帝国で後継者争いが勃発し、激しい戦いに発展した。 しかしながら、後継者は最後まで決まらず、イリィ帝国は滅びてしまう。 その後、イリィ大陸には五つの新しい国が誕生した。「四人の皇子が皇帝の座を巡って争い始め、最終的に激しい内乱に発展して、帝国の滅亡に繋がったという話ですよね」(んっ? 次の皇帝の席を四人で争ったということは、四人とも『証』を持っていたということか!) ビアンカはピンと閃く。(同じ時代に四人も後継者
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囮になってみた!!結婚4日目・証 2

「遠慮なく行って下さい。もう一人は誰ですか!!」 「……」 数十秒ほど二人で見つめ合った後、ユリウスは重い口を開いた。 「―――あなたです」 「……?」 「ビアンカ、あなたです」 「はぁ? ユリウス、何を言っているのですか? 私と旧イリィ帝国に接点なんてありませんよ?」 ビアンカはユリウスに食って掛かる。 彼女の父はこの国の建国時から代々続いている侯爵家の一人っ子で、母もこの国に古くからある伯爵家の出身だ。 そのため、ネーゼ王国の王家と繋がる可能性など全くないという確信がビアンカにはあった。 「ビアンカ……」 「はい」 「イリィ皇家の後継者の『証』はその紫の瞳です」 「目が『証』!? 確かに紫色の瞳は少し珍しいかも知れませんけど……、かの国と私の間には何の繋がりもないのですよ?」 (目の色だけで決めつけるのは流石に……) 「ビアンカ、宰相(ピサロ侯爵・ビアンカの父)のお母上は、ネーゼ王国のご出身でしょう?」 (父の母? 私の祖母のことか) 「父方の祖母マーシャは現在、フーリー領(ピサロ侯爵家の領地)で隠居していますが、彼女の実家はこの国のクラン伯爵家です」 「ビアンカ、イリィ皇家の血を引いているのは前妻のサヴァンヌ殿です。彼女はネーゼ王国フローレンス公爵家の出身で父親は王弟のヴィンセントです。あなたの祖父、モルト殿の元へ嫁いで来ましたが、あなたのお父上を出産する際に命を落とされました。マーシャ殿は後妻です」 「嘘!? 前妻、後妻とか、全然、知らない……」 ビアンカはテーブルの上でこぶしを握り込む。 (私の知らない祖母がいて、その祖母がネーゼ王国の王弟の娘!? そんな話は初めて聞いた! 母上や兄上はこのことを知っているのか? こんな重要なことを何故、私に隠していたんだ! 父上~!!!) ドン。ドン。 ビアンカはテーブルをこぶしで二回叩いた。破壊してしまわないよう、一応、力加減はしている。 ユリウスはカトラリーを皿の上に置いてから、ビアンカの横へ移動した。そして、膝を折って、彼女に目線を合わせる。 「ビアンカ、驚かせてしまいましたね。大丈夫ですか?」 ユリウスはビアンカの両頬を手のひらで包み込む。 (―――ユリウス……) 彼のてのひらから、伝わってくる優しいぬくもりが心地良かった。 ビアンカの固く握り込んでいた拳
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囮になってみた!!結婚4日目・曲者

「ねぇ、ユール見なかった?」 ふらりと現れたのはサルバントーレ王国のフォンデ王子だった。 温室の前で休憩しているフリをして、辺境伯夫婦の警備をしていた庭師グラードは気を引き締める。「ごきげんよう、フォンデ王子殿下。申し訳ございませんが、わたしは閣下を見かけておりません。お探しでしたら、執事に聞いて参りましょうか」「うううん、大丈夫だよ。急ぎの用事じゃないから」「左様でございますか」 グラードはほっとした。この様子ならいつもより簡単に引き下がってくれそうだ。しかし……。「ああ、そうだなぁ~。それなら、ビアンカでもいいや。―――ねぇ、ビアンカは何処にいるの?」 フォンデ王子はグラードに笑顔を張り付けて詰め寄る。 グラードは彼が辺境伯夫人の名を呼び捨てにしたことを咎めたかった。だが、フォンデ王子はグラードを挑発するためにワザと言ったのかも知れない。 ここで相手の罠に掛かったら、長くなりそうだと判断したグラードはフォンデ王子の軽口を聞き流すことにした。「ビアンカ様は私室にいらっしゃいます。ここのところ、スケジュールが詰まっていらっしゃいましたから、午後はゆっくりなさるのではないかと……」 グラードは顔色一つ変えずに、あらかじめ用意していた文言をフォンデ王子に伝える。 ここで嘘を吐いているとフォンデ王子に悟られたら面倒なことになってしまう。 背後の温室に二人が居ると知ったら、相手の都合などお構いなしに飛び込んで行くと分かっているからだ。―――フォンデ王子というのはそういう人物なのである。「そっか~、疲れているのか~。うん、新婚さんだもんね。ユールはいいなぁ~」「閣下が楽しそうにしていらっしゃる姿を見るのは使用人として嬉しい限りです」 グラードは心からそう思っている。 当初、辺境伯としてリシュナ領を治めることになったユリウスは城の使用人たちやリシュナ領軍の兵士たちに厳しく正しく無駄のない態度を貫き、少し近寄りがたい雰囲気だった。 ある日のこと、我が国の英雄ビアンカがユリウスの元へ嫁いでくるという極秘情報が辺境伯城の職員たちへ知らされる。それと同時に結婚式当日まで絶対に情報を漏らさないようにと全員、書面にサインをさせられた。 程なく、職員たちはピリピリとした雰囲気に……。 ところが、その日からユリウスの態度に変化が現れた。 使用人や兵士
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囮になってみた!!結婚4日目・成長期

 温室の外でグラードが必死にフォンデを追い払っていたということなど知らない二人は……。 世間に公表出来ない秘密の話を続けていた。「何故にいきなり儀式!? 勝手にそんなことをしたらマズいのではないですか?」(優しく笑ったと思ったら突然、飛んでもないことを言い出す……。この瞳がイリィ皇家の後継者の『証』だとしても、私は今までただの人間として生きてきた。それに今でも私は十分強い。だから、神の力など必要としていない。――というか、この大陸の国々に了承を取らなくていいのか? イリィ帝国は滅びた国とはいえこの大陸を治めていて、各国のルーツとなっている。私が後継者の儀式を強行して、何かしらの影響が他国に出たらどうするつもりだ?)「ビアンカ、あなたが後継者の儀式を終えたら、ターキッシュ帝国の侵攻を防ぐことが出来ます」「―――侵攻を防ぐ?」「はい、あちらは第四皇子が神の力を得ることを見込んで、この大陸を狙っているわけですから、あなたが儀式をして神の力を継承してしまえば、余程のバカじゃない限りこの大陸には今後、手を出さない筈です」「『余程のバカじゃない限り』ですか……」「ええ、そうです」(そうか……。私は神の力やこの大陸の国々のことばかり考えていたが、ユリウスはこの大陸を守る方法を考えていたのか!! あ~、視野が違い過ぎたな……。しかし……)「だとしても、せめてイリィ大陸の各国から了解をもらった方がいいのではないですか?」「了解なんて要りませんよ。どうせバレませんから」 サラッと恐ろしいことを言うユリウス。(迷いのない男の迷いのない発言!!でも~~~、バレないって、本当?) ビアンカはジト目でユリウスを窺う。彼はこんなに重要なことを話しているのに、バナナジュースを美味しそうに飲んでいる。(はっ!? ユリウスは十七歳……。もしかして、今、成長期なのか? 
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囮になってみた!!結婚4日目・神だろうと何だろうと 1

「……ッ」 荘厳で巨大な神殿が突如、目の前に現れた。ビアンカはビックリして言葉を失う。(数秒前まで、たわわに実った麦の穂が風で気持ちよさそうに揺れていたのに!?)――――遡ること二十分。「ユリウス、二人で城の正面から堂々と出て行ったら騒ぎになりませんか」 今二人は、神殿で旧イリィ帝国の後継者の儀式を行うため、城の正面玄関から少し下ったところにある正門へ向かって歩いている。 共にリシュナ領軍の真っ黒な軍服を着用し、ビアンカは相棒の大斧を担いでいた。 この城は切り立った崖の上という地形的な理由と要塞都市の心臓部としての機能面から、出入り口はこの正門だけだ。 当然の如く、通常の城よりも門番は多いし、通り抜ける際には厳重なチェックを受ける必要がある。「―――騒ぎにはならないでしょう。城の前は農園ですから」「まぁ、そう言われてみれば……、そうですね。ただ、神殿まで歩いて行くとは思いませんでした。ここから近いのですか?」(神殿に行くというから、魔法を使って飛んでいくのだと思っていたのだが……)「はい、すぐに着く距離です。魔法を使っていくほどではないですね」「そうですか……」 ビアンカは空を見上げた。今日は雲一つなく晴れ渡っている。(教会で式を挙げた後、ここへ馬車で来るときに見えた景色の中に、神殿らしき建物など一つも見当たらなかったのだが……。―――ユリウスのいう『直ぐに』とは、一体どのくらいの距離を指すのだろうか。少なくとも、この領都内ではなさそうな気が……) ビアンカがキョロキョロと辺りを見回している間、ユリウスは他の考え事をしていた。 温室を出た時に庭師のグラードから『フォンデ王子殿下がビアンカ様の紫色の瞳のことを友達に伝えなければと話していらっしゃいました』という報告を受けたのである。 もし、フォンデが紫の瞳の本当の意
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囮になってみた!!結婚4日目・神だろうと何だろうと 2

(この規模の畑が城壁の中側にあるというのは本当に珍しい。領都バリードはやはり桁違いの要塞都市だな。―――その上、こんなに険しい峡谷が領都を守るように包み込んでいるのだから……、これは簡単に落とさせないだろう。ただ、魔法使いが仲間内に居れば、かなり違ってくるかもしれない。―――しかしながら、魔法使いは深刻な人手不足で……) ビアンカはバリー峡谷を眺めながら、領都バリードを陥落する方法を考えている。『何故?』と聞かれたら『職業病です』としか言えない。「―――権限させます」「へっ?」(ケンゲン!? えっ、どういう意味……) ユリウスは大地に両手を付いて、何かをブツブツと唱え始めた。―――小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、麦の穂のサワサワという騒めきなどの音が、一気に遠ざかっていく。(何だ!?これ……? 変な感覚……。音が奪われていく。鳥の声が……って、ん?)「なっ! 巨大な神殿だ!! ユリウス、これは一体どういう仕組み!?」(広大な畑を覆ってしまうくらい大きな神殿……。しかも、神殿はガラスのように透き通っているじゃないか。美しい……) 農園の上に透明な神殿が浮かび上がって来た。ビアンカは陽の光を浴びて、神々しく光っている神殿に目が釘づけになってしまう。「仕組み?―――そうですね~。同じ場所にある別次元と言ったら分かりますか?」「別次元?」 ユリウスは自分たちの暮らしている世界とは異なる世界が無限に存在しているという話を始めた。 物の重さや時間などの概念がそれぞれの世界で異なるということ、生命体もそれぞれの世界で異なる姿や能力を持っているということ、そして、それを創り出しているのは神々であるということをビアンカへ説明していく。 最初はチンプンカンプンだったビアンカも、彼の丁寧な説明を聞いて、何となく
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囮になってみた!!結婚4日目・神だろうと何だろうと 3

 神聖な空気に包まれた祭壇をまじまじと眺める、ビアンカ。 等間隔に並んだ柱と磨き上げられた白い石の床、壁、そして、調度品。――――当然のことながら、生活感など皆無の空間である。 生命体の気配もなく、神殿内には植物も見当たらない。(幻想のように浮かんでいる畑の風景は除いて……) 本当にこの神殿に神はいるのだろうか? ビアンカは疑う。(神は人間と違い、食事をしたり、誰かとお喋りをしたり、運動をしたりしないのか? それに使用人のような者もいないようだ。澄み切った空気は清々しくて気持ちいいが、少し殺風景過ぎるような気もする……) 神殿の静寂も少し不気味に感じる。ユリウスの話の通りなら、時の概念もビアンカ達のいる次元と違うのかも知れない。(既に『はい』と返事してしまったが、後継者の儀式とはどういったものなのだろう。もし、冒険物語のように『ドラゴンを倒してこい!』というような課題を与えられたら……。炎を防ぐ鎧くらい着用しておくべきだったか!? この軍服では防御力が……) 分からないことだらけで、ビアンカはとうとう防具の心配までし始めてしまう。 彼女が隣のユリウスをチラリと見ると、彼もビアンカの方を見ていて、パチッと目が合った。 胸にぬくもりを感じ、ビアンカの表情筋が少し緩む。「ユリウス、儀式は(難しいのですか)?」 ビアンカは誰に聞かれてもいいように控えめな発言を心がけ、本心は目で訴える。「いいえ、そんなに心配しなくても大丈夫……、ブッ、クククッ……」 真面目な質問をしただけなのに、なぜか、ユリウスは下を向いて笑い出した。(今の会話に笑うポイントなんて無かったと思うのだが?) ビアンカは眉を顰める。「―――ユリウス?」「ア、ハハッハ……、失礼しました。では、ここの主を呼びましょう」
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囮になってみた!!結婚4日目・神だろうと何だろうと 4

ユリウスはキッパリと言い切る。 ビアンカは彼の発言の意味が全く分からない。 (主神にため口を聞いていい力関係って、どういうこと? ユリウスと主神は同等、もしくは……。いや~、流石にそれは無いだろう。相手は世界を創造した主神だぞ! もしかして、ユリウスは何か主神の弱みでも握っているのか? そうだ! きっと、そういうことだ!! それなら、あり得る!!) 「ビアンカ、そなたは何故、女戦士になった」 心の中の整理がついた瞬間、主神ダイアから急に問いかけられた。 ビアンカはその質問を投げかけられた時はいつも同じ回答をする。 「弱い立場の人々を守るためです」 ビアンカは凛として言い放つ。 主神ダイアは大きく頷いて彼女の言葉を受け止めた。 有言実行で成し遂げて、英雄と呼ばれるようになった彼女の努力を称えるように……。 (この想いは国軍にスカウトされて、宿舎で生活するようになった頃から変わらない。大斧一つで出来ることは何でもしてきた。そして、英雄と呼ばれるようになった。だが、英雄とは単なる誉め言葉の一つでしかない。名誉?―――そんなもので大切な人は守れない。だから、私は毎日鍛錬を積んで、いつでもこの大斧を振り回せるようにしているんだ) 「そうか。では、私の血を引くお前に力を分け与えよう」 「質問はたったそれだけですか?」 余りにもあっさりと後継者の儀式を行うことを了承されて、ビアンカはつい口から本音が出てしまう。 「今、お前の記憶を見せてもらったから、特に質問することは……」 「はぁ!? 嘘!! 何を勝手に!!」 ビアンカは烈火の如く、怒りを沸き上がらせて、主神ダイアの話を遮った。 (記憶を覗いただと! 私に一言の断りもなく?―――主神よ、どこまで見たんだ? まさか、今朝、ユリウスとキ……。もし、プライベートなことまで見ていたら、ぶっ殺す!!) 「主神、いつの記憶を見たのですか?」 「そなたが生まれてから、この神殿へ至るまでを」 (最悪!!) ビアンカの中で何かがブチッと切れる。この音は、なぜか隣に居たユリウスにも聞こえた。 「―――主神、プライバシーという言葉をご存じではないのですか?」 至近距離から獲物を仕留めるような視線で、トゲトゲしさ満載の言葉を主神ダイアにぶつけるビアンカ。 ―――間近でその様子を見ていた
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