ビアンカは読書が大好きだ。 任務でいろいろな場所に赴くときも、つねにカバンの中へ本を忍ばせているくらいに……。 しかし、身一つでやって来た辺境伯城には当然、彼女の本も本棚も棚はない。 その代わり、ユリウスの書斎や城の図書館にある書物を自由に読むことが出来るようになった。「なんて幸せな環境~!! ユリウス、今日も書斎の本を借りて良いですか?」 昼食を終え、午後の予定がないビアンカは嬉々として彼に尋ねる。「ええ、お好きなものをどうぞ。私は王宮に行ってきます」 彼はソファーから立ち上がって、ビアンカの頬とくちびるにチュッ、チュッと軽く触れるだけのキスを落とした後、もう一度、くちびるを重ねた。(わ、わわ! 今日も甘い~! 慣れな~い!!) 顔を真っ赤にしているビアンカの頬をユリウスは楽しげな表情を浮かべて、指先でなぞる。「なっ! くすぐったいです!!」 ビアンカは彼の指先をつかんで止めさせた。「フフフッ……、遅くならないように帰ってきます。夕食は一緒に食べましょう」「はい、はい、お気をつけて!」 ビアンカはユリウスを見送ってから、彼の書斎へ入る。 書斎は寝室とドア一枚で繋がっているため、二十歩くらいで本棚の前に着いた。「最高の環境だな……」 本棚の背表紙を眺めて今日の一冊を選ぶ。「あ~、あの本……、イマイチだったな~」 つい先日、この本棚から拝借したターキッシュ帝国の歴史書をビアンカは読んだのだが、あからさまに著者が身内贔屓をしていて、うんざりとしてしまった。 何が一番嫌だったかというと、皇族のことを神のように崇め奉っているところが痛々しくて耐えられなかったのだ。 ここでビアンカはふと想像してみる。(あの歴史書にアホ皇子・テオドロスのことをのせるとしたら、どんな風に褒め称える? いや~、アレは最初から居なかっ
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