Semua Bab 大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました): Bab 141 - Bab 150

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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 13

 ビアンカはユリウスの差し出したパイをザクッと齧る。「―――っ、これも滅茶苦茶美味しい!!!」(何なんだ~、これ!!! 最上級の林檎を食べた気分……。火を通しているのに食感が死んでない)「生の林檎より林檎……。旨味が凝縮? どうして、こんなに美味しいのだろう……」「特別な蜂蜜を使っていると店頭に書いてありました」「蜂蜜……、―――確かに上品な蜂蜜の味がします!!―――でも、強くはない……」 ビアンカは咀嚼しながら味を確かめて行く。(さすが看板メニューというだけのことはある! 次回はこれを食べるか……。いや、ハンバーグの入ったパイも気になって……。え~、どうしよう!―――この店、ヤバいぞ! どっぷりハマりそうだ!!)「ユリウス、お返しです」 ビアンカはゴールデンカスタードパイをユリウスに差し出す。 ザクッ。 ユリウスは齧った瞬間、大きく目を見開いた。(あ、これ驚いた時の顔だ。うんうん、美味しいから驚いたのだろう?)「やっぱり可愛い……」 ビアンカの口から本音が零れ落ちる。「その可愛いは顔のことですか?」 彼はビアンカをジーッと見た。「はい、驚いた時の顔が可愛いんです」「先ほどの可愛いも?」「あ~、あれはピアスが似合っているという意味の可愛いです」 ビアンカは自分の右耳を指差す。 今、彼女の右耳についているピアスは、先ほど立ち寄ったアクセサリーショップで買ったものだ。恋人らしく、一対のピアスをユリウスと分けてつけている。「ビアンカ、似合っています。綺麗です」 ユリウスも自分の左耳についているピアスを軽く弾いた。二人で相談して購入したのはサラサラと揺れるタイプのピアスだ。
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 14

 ビアンカが通りの突き当りにある大きな広場を眺めた瞬間、チラリと尖塔の先端らしきものが目に入る。 今はまだ木立に邪魔をされて全体像は確認できない。しかし、あの形は……間違いなく見覚えのあるものだ。「ビアンカ、あれは私達が永遠の愛を誓った教会の尖塔です」 彼女が答えを導く前にユリウスが正解を言った。 ビアンカは初めてリシュナ領に降り立った時のことを思い出す。「―――永遠の愛……。あの時は、もう本当に……」(特別任務を受けて、バリードに到着したら、父上が教会の前で仁王立ちしていて、訳も分からないままに結婚式が始まって、なぜか刺客に狙われるし、気を抜いたらドレスが破れて……) あの時、ユリウスはビアンカの元に駆けつけて、彼女へ自分のマントを掛けてくれた。「新郎ユリウスは紳士でしたね。ドレスの破けた花嫁を気遣ってくれて……」「いいえ、あれは(刺客の三人を仕留める)タイミングを見誤った私が悪かったので……。すみませんでした」 ユリウスはビアンカに詫びる。しかし、彼女は首を横に振った。「そこに刺客がいたら仕留める。これは戦士の私にとって当たり前のことです。なので、気にする必要はありません。―――それよりも!! 新郎ユリウスが途轍もない美少年で物凄く驚きました。歳も十五歳くらいに見えたので、私は犯罪者になってしまうのではないかとヒヤヒヤしましたよ~。あとで十七歳と知って本当に安心しました!」「途轍もない?」(あ~、そこに触れて来るのか。で、犯罪者というくだりはスルーしちゃうのね)「はい、髪も肌も美しくて……、お顔も整っていて見惚れてしまいました。あと、穏やかなトーンの声も好きです」 ビアンカは嬉々として彼のことを褒める。 今日は心を育むプログラムを理由に彼の好きなところを思い切り伝えて良いのだ。躊躇する必要はない。
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 15

 ビアンカは通路を前に進みながら、今回は堂々と教会の中を観察していく。「あ、ここは……」 大破した陶板レリーフのあった場所にユリの花が飾られていた。(小さなテーブルを持って来て、花瓶を置いたのか。確かにあの陶板レリーフがないと寂しい感じがするよなぁ~) 事実、絢爛豪華な教会の中で、ここだけが浮いている。他のところは装飾がしっかりと施されているだけに……。「―――(あの陶板レリーフは)立派だったのに……、残念です」「そうですね。大破したレリーフはこの教会が建築された当初からあったそうです」「ということは、千年以上前に作成されたということ?」「はい」(刺客たち、何ということを!!) ビアンカは利き手のこぶしを固く握り込む。「ビアンカ、心配は要りません。復元する予定ですから」「!?」「司祭に頼まれたので、魔塔が請け負います」 ビアンカはクルッと彼の方を向いた。「本当に!?」「ええ、本当です」「―――良かった~!! いや、本当に良かったです!! あの陶板レリーフ、とても素敵でしたから~」 ビアンカは声を弾ませて喜ぶ。「ビアンカは美術品が好きなのですか?」「語れるほど詳しくはないですけど……、見るのは好きです」「では、次回のデートはサルバントーレ王国の王立美術館へ行きましょう」「そんな気軽に……」「あなたが喜んでくれるなら、どこへでも連れて行きます。楽しみにしていて下さい」 ユリウスは目を細める。(うっ、笑顔が眩し……。どこへでも連れて行くという殺し文句も凄いけど……) ビアンカがユリウスの笑顔でクラクラしている間に、一番奥にある祭壇の前へ到着した。「え
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 16

「うっ、うっ、ぐすっ、うっ……」 ユリウスの腕の中で肩を揺らし、嗚咽を漏らすビアンカ。 こんなに涙が溢れ出してくるのは初めてだ。(ダメだ……。止まらない。―――私の勘違いだったと分かったのに……) ビアンカは涙を止めたかった。しかし……、止め方がサッパリ分からない……。(はぁ……、涙を武器にする女性って凄いな。私には無理だ。全くコントロール出来ない)「ビアンカ、私があなたを手放すことなど絶対にありません。だから、そんなに泣かないで下さい。大丈夫ですから」 ユリウスはビアンカの耳元へ優しく語り掛ける。(うううっ、優しい。可愛くもない大女が大泣きしているのに……、ユリウスは優しい……)「うぅ……、ぐすっ」 嗚咽で言葉が出ないビアンカは彼の胸に額を当てて、小さく頷く。「好きです、ビアンカ。―――大好きです。あなたの全てが……」 ユリウスはビアンカを抱き締めている腕にギュッ、ギュギュギュ~ッと力を込めた。(んっ、はっ!? くっ、苦しい……)「ユ、ユリ……ウス、うっ、く、ゔっ、うっ……」 ビアンカは言葉で伝えようとしたが、嗚咽に邪魔されてしまう。(あ、これ、マジでヤバい。下手したら、(意識が)飛ぶ……) トン、トン。 危機を感じたビアンカは彼の背を叩いた。「……」 しかし、ユリウスは何の反応も見せない。(あれ? 無反応……。もしかして、気付かなかったのか? って、ああああ~~~!!) 
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 17

「分かりました。取り敢えず、出来ることから頑張ってみます。なので、くれぐれも捨てるのは無しでお願いします」「はい、絶対にあなたを捨てたりはしません!」 ユリウスはビアンカの紫色の瞳をしっかりと見つめて宣言する。そして……。「ビアンカも私を捨てないで下さい」「はい、私も絶対にユリウスは捨てません!! 嫌がられても、ずっと側に居ます!!―――ところで、捨てませんと宣言し合う恋人同士って……、どうなのでしょう?」 ビアンカはあごに拳を当てて、首を傾ける。「普通ではないかも知れないですね。でも、私達らしくていいのではないでし……、ブッハハッハ……」 ユリウスは我慢の限界だったのか、話している途中で噴き出した。それに釣られて、ビアンカもアハハハ~と笑ってしまう。 改めて教会の中を見渡すと先ほどよりも暗くなっていた。 刻一刻と夕日が沈む時間が近づいているようだ。「移動しましょう」 ユリウスは腕の中にいるビアンカをそのまま持ちあげる。そして、最奥の祭壇の前まで進んで行った。 祭壇の前に到着すると彼はゆっくりと丁寧にビアンカを床へ下す。「ビアンカ、私の誓いを聞いて下さい」「はい」―――二人は祭壇の前で向かい合う。 茜色の夕陽が差し込み始めた大聖堂の中は幻想的な空間と化していく。「コンストラーナ辺境伯爵改め、ローマリア王国の王太子ユリウス・フルゴル・ローマリアはここに誓う。ビアンカ・ルーナ・ピサロ嬢を生涯唯一の妻とし、いかなる時も愛し、敬い、慈しみ、共に支え合い、大陸の平和と繁栄を実現する」(はい? 愛の誓いに大陸の平和と繁栄? ん~、ユリウスはイリィ大陸諸国の面倒まで見るつもりなのか???) ビアンカは彼が最後に付け足した一文が気になってしまう。(しかし、今、質問するのは流石に……。後で聞こう……
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 18

 彼女がまぶたを閉じた瞬間、目尻からポロリと美しいしずくが零れ落ちた。 ユリウスはくちびるでその美しいしずくをすくっていく。左の頬からまぶた、そして、右の頬からまぶたへ。 ユリウスは一度、身を離し、ビアンカと視線を交わした。「ビアンカ、愛しています」 愛の言葉を囁いた後、彼はビアンカの薄いくちびるの上に自分のくちびるをそっと重ねていく。(私もユリウスのことが好きだ。もう、とっくに恋に落ちていた。今頃、気付く己の鈍感さに呆れてしまうが……) 少し長めの口づけ……、くちびるが離れて行くのが、とても寂しかった。「ユリウス、今日の心を育むプログラムは大成功です」「?」「何と説明したらいいのか……。ん~、言葉にするのは難しいのですけど……、昨日までのミッションとは比べ物にならないほどの効果があったように思います」「―――私に抱かれる覚悟が出来たということですか?」 ユリウスはビアンカの顔を覗き込む。「えっ、あ、あ~!? それは……、ここではちょっと答えられません」 ビアンカは顔を両手で覆った。この行動……、もう答えを言っているようなものである。―――彼女の変化をユリウスはしっかりと感じ取った。「城に戻りましょう! 今すぐに!!」「いや、あの、その……、仕事、仕事のことも忘れないで下さい!!」「勿論です」 口とは裏腹にユリウスはビアンカをサッと抱え上げ、馬車が待機している広場の車止めへ素早く転移した。♢♢♢♢♢♢♢ 馬車が走り出したところで、ビアンカは泣いて赤くなったまぶたに治癒魔法を掛けて欲しいとユリウスに頼んだ。「ユリウスの前ならともかく、城の人たちにこの姿を見せるのは少し……」「分かりました」
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愛を育もう!!結婚6日目・意外なつながり 1

 ユリウスとビアンカが城下にデートへ出掛けて、少し時間が経過した頃、魔法使いモルテは王国軍魔法師団リシュナ支部所属サジェと諜報員Xを辺境伯城の執務室に招集した。 領都ハザードの上空にある結界に何度もアタックしている大きな鳥がいるという報告が入ったからだ。「モルテ様、主からの返事はまだッスか?」 Xはモルテを急かす。この中でユリウスと即時の連絡(相互テレパシー)が可能なのはモルテだけだからだ。「―――しばらく様子を見ておけと言っておる」「本当に様子を見るだけでいいのですか!? 何か起こってからでは取り返しが……」 サジェはモルテに詰め寄る。 モルテはすぐにサジェの言葉をユリウスに伝えた。 ところが……。「サジェ、ユリウスはまだ動くなと言っておる。我々に……勝手な行動を取るなと……。ただ、様子は見ておけ……と言っておる」「―――あ~、もう、分かりました!」 サジェはドンと机を叩く。 ユリウスから動くなとクギを刺されて苛立ったのだろう。 モルテはサジェの背中をポンポンと優しく叩いた。彼が少しでも落ち着くように……。「だけどさ~」 今度はXが不服そうな声を上げた。「見ているだけじゃ時間がもったいなくないッスか? 主のいう動くなって、暴れなければセーフっしょ。あの鳥の出所とかを調べるくらいはアリじゃないッスか?」「おお、なんということじゃ! おまえさんとは思えないほど、まともな意見……」 モルテは大げさに驚く。 それを見ていたXはピンと閃いた。「もしかして~、爺さん、あれの正体を知っているんじゃないッスか!?」「ほう、どうしてそう思った?」「いや、セリフが芝居じみてるから……」「&hell
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愛を育もう!!結婚6日目・意外なつながり 2

馬車が辺境伯城の玄関に到着すると執事が待ち構えていた。 ユリウスとビアンカは有無を言わさず、応接室へ連れて行かれる。 「えっ!? これは……、どういう状況?」 ビアンカが本音を声に出してしまったのも無理はない。 魔塔の魔法使いモルテ、王国軍魔法師団・リシュナ支部のサジェ、王国軍魔法師団・諜報部のXと見知らぬ貴婦人、そして、ネーゼ王国の王女コルネリアがテーブルを囲んで、お茶を楽しんでいたのである。 (あの貴婦人は……) ビアンカは脳内の貴族ファイルを開く。 (体格がいい……。栗色巻き毛の髪、白い肌、エメラルド色の瞳……) 「―――メリニーク王国、ガシャラン公爵夫人カメリア様ですね、初めまして、ビアンカです」 「あら、光栄ですわ! ビアンカ様はわたくしのことをご存じでしたのね!!」 カメリアは扇子で口元を隠して、オホホホホ~と高らかに笑う。 (カメリア様と言えば、ネーゼ王国・モリアリア侯爵家のご出身で、ネーゼ王国の現王妃の姉だ。そして、コルネリア王女の伯母でもある。―――そんな御方が、どうしてここに居るんだろう?) 笑い終えたカメリアはスッと立ち上がると堂に入ったカーテシーを披露した。続けて、形式どおりの挨拶を始める。 「ごきげんよう、コンストラーナ辺境伯閣下とご夫人のビアンカ様。わたくしはメリニーク王国の王弟ベルモント・ドゥ・ガシャラン公爵が妻、カメリアと申します。この度はご夫妻宛ての大切なお手紙を義理の息子から預かって参りました」 (義理の息子? ん~と、彼女の娘の名は確かセシリアで、嫁ぎ先は……) 「ターキッシュ帝国の皇太子からか?」 ビアンカが考えている間にユリウスがあっさりと答えてしまう。 (ユリウス、何も考えていないような顔をして、しれ~っと答えたな……) 「左様でございます。わたくしの娘セシリアはターキッシュ帝国・カリーム皇太子殿下、唯一の妃として五年前に嫁ぎました。そして、三年前と昨年に二人の皇子を授かりました」 (唯一の妃!? 皇太子はハーレムを持たない主義なのか? もしそうなら、テオドロスとは毛並みが違うというか……、絶対、気が合わないだろうな……) カメリアは金色の封蝋がついている手紙をユリウスへ手渡す。 ユリウスは手紙に呪いや毒などの危険がないか念のため魔力を通して確認してみたが、特に怪
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愛を育もう!!結婚6日目・意外なつながり 3

 カメリア夫人はティーカップを持ち上げて、紅茶を一口飲み、優雅な所作でソーサーへ置く。―――この場の全員が彼女の一挙一動に注目していた。「辺境伯ご夫妻をお待ちしている間にコルネリアから話を聞きましたの。お二人はとても素敵な出会いだったと……」「閣下とビアンカ様の愛の物語は、本当に運命的で素敵なのですわ!」 コルネリアは胸の前で手を組んで、キラキラと目を輝かせる。(ヤバい。この流れに飲み込まれたら、ロクなことにならない気がする……) ビアンカはユリウスの袖をチョンチョンと引いて、『早くここから逃げたい』と、アピールしてみたのだが……。「今日も妻とバリードの街を歩いて楽しみました。彼女と出会えたことは私の人生で一番の幸運と言えるでしょう」 ユリウスは花笑みを浮かべて語った。(う、嘘~っ、ユリウスが裏切った!?!)「あら、まぁ~~~!!」 カメリアは口元を扇子で隠して微笑んでいる。「これは彼女と一緒に選んだものです」 追い打ちをかけるようにユリウスは自分の左耳についているピアスをさらりと揺らした。 お惚気全開である。「キャ~!? 伯母様っ、見て~!! ビアンカ様のお耳にも、お、お、おおお、お揃いのピアスがぁ~~!!! はぁ~、なんて素敵なの~~~!!」 コルネリアはビアンカの右耳にもユリウスと同じピアスが付いていることに気付いて、悶絶する。(うううっ、恥ずかしい……。ユリウスのおしゃべり~!! 浮かれ過ぎだろ……)「あら~、本当に仲がよろしいのね~~~。コルネリア、あなたも素敵な相手に出会えると良いわね!!」「はい、伯母様!!」 二人からうっとりとした目で見つめられ、ビアンカは居心地が悪くてどうしようもない。 何気なく、視線を逸らして、サジェ、X、モルテの方を見てみると…&hellip
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愛を育もう!!結婚6日目・意外なつながり 4

「えっ!? 無作法?」 コルネリアは目を剥く。 「そうよ。新婚カップルのところに良くもまぁ~、そんなに長居したものね。ナタリア(コルネリアの母)は、あなたに何も注意しなかったのかしら?」 「お母様とは喧嘩中なの……」 コルネリアは小声でボソッという。 「あら、そうだったのね。それにしても、あなたのしたことは、マナー違反よ。わたくしと一緒に帰りましょう」 「えっ……」 ユリウスとXは、カメリアとコルネリアのやりとりを黙って聞いていた。 ―――これでやっと全員帰国……と、ユリウスは安堵する。 一方、Xは『別に連れて帰らなくても、閣下たちは周りを無視して勝手にイチャついてますから、問題ないッス!』と心の中でツッコミを入れていた。 コン、コン、コン。 「ヴィロラーナ公爵令息マリウス様がお見えになられました」 執事セザンヌの声が、ドアの向こうから聞こえてくる。 「入ってくれ」 ユリウスが返事をすると、白シャツにカーキ色のズボンを履いたマリウスがサジェと一緒に部屋へ入って来た。 ―――流石に泥はついてなかったが、畑から連れて来られたのは間違いなさそうだ。 「ユリウス、ビアンカさん、お待たせ!!」 「あっ……、マリウス様」 コルネリアは扇で口元を押さえる。 (あれ? コルネリア王女……、マクシムに対する態度とだいぶん違う気がする……) 「コルネリア王女~!―――あっ! カメリア夫人もお見えになっていたのですね。お二人とも、ごきげんよう!!」 「ごきげんよう、マリウス様。今日は娘婿の使いでこちらへ参りましたの」 「ああ、カリーム(皇太子)の使いだったのですね。彼はお元気ですか?」 「ええ、とても」 「ユリウス、カリームはとてもいい人だよ~」 (マリウス兄上はカリーム皇太子殿下と面識があるのか? しかも、呼び捨て……。ん? ああ~、忘れていた!! この御方の本職は外交官だった……) 「そうですか。皇太子は話が通じる相手なのですね?」 (おっ! ユリウスが直球を投げた……) 「うん、カリームは常識人だから、心配しなくても大丈夫だよ。彼とは色々な国のコンベンションで何回も会って仲良くなったんだ。歳も僕と同じ二十二歳だと思う」 (カリーム皇太子は私より一つ年上なのか……って、
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