Semua Bab 大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました): Bab 121 - Bab 130

164 Bab

愛を育もう!!結婚6日目・ユリウスの居ない朝 1

 コン、コン、コン。 ビアンカはパチッと目を開けた。(音がしたような、しなかったような……) いつも寝室のドアをノックされた時はユリウスが返事をする。 しかし、今はしんとしていて……。(ユリウス、もしかして、まだ寝ているのか?) 寝起きの悪い彼なら十分在り得る。 ビアンカは身を起こし、天蓋のカーテンを少し開いて、部屋の様子をうかがう。 外はまだ日が昇っていないようだ。 室内も就寝時は小さなランプを一つ灯しているだけなので薄暗い。そのまま、窓際に置かれたベッドの方へ視線を動かしてみると……。(えっ、あれれれ!? ユリウスがいない!!! だから、ノックに反応しなかったのか~。ということは……) ビアンカは自分が返事をしなければならない状況にあると気付く。「ドアの前に居るのは、アンナか?」「はい、その通りでございます。ビアンカ様、お部屋へ入っても宜しいでしょうか?」「どうぞ」 ビアンカは天蓋のカーテンを開け放って、ベッドから降りる。 アンナはワゴンを押して、部屋へ入って来た。――――ふわりと香ってくるバターの香り。 ビアンカの素直なお腹はグゥ~と可愛らしい音を立てた。 アンナはニッコリと微笑み、ビアンカは照れ笑いを浮かべる。(空腹といえば、昨夜……、ユリウスは夜食でステーキを二枚も平らげて……。あの時間にステーキ……。いや、本当に若いよなぁ~) ビアンカは『一緒に食べませんか?』と彼に誘われたが、寝る前にステーキを食べるほど、お腹は空いてなかった。(丁重に断ったら、ちょっと寂しそうな顔をして……。少し胸が痛んだというか、何というか……。でも、真夜中にステーキは流石にキツイ!
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愛を育もう!!結婚6日目・ユリウスの居ない朝 2

 ビアンカはパストラミビーフの挟まったクロワッサンサンドを手に取る。 先ほどから漂っているバターの香り、手触りだけで分かる生地のパリパリ感、深紅のジューシーな肉、鮮やかなグリーンのレタス……。 何もかもがビアンカの食欲を誘う。(食べやすい朝食にして欲しいとリクエストしただけなのに!! こんなに豪華なサンドイッチが出てくるなんて……、最高だ!!) パクッと噛り付くとクロワッサンのパリパリッという音が耳を擽る。 次に来るのは柔らかなパストラミビーフの柔らかな食感と旨味タップリの肉汁。最後にホースラディッシュが鼻の奥をツンと刺激して逃げていく。「うっま~~~~!!」 ビアンカは一口、一口、美味しさを噛みしめる。「ユリウスと結婚して良かった~~~~!!!」(朝訓練の前にこんなに美味しい食事を食べられるなんて、幸せ過ぎる!!) ユリウスが不在で寂しさを感じていたビアンカだったが、クロワッサンサンドのおかげで少しずついつもの調子を取り戻していく。(―――リシュナ領軍との対戦試合もあと半分か~。今日はどんな兵士が出てくるのだろう……。面白い戦い方をする奴が居たらいいなぁ~~) ふと、ビアンカはユリウスから『リシュナ領軍の司令官になりませんか?』と言われた時のことを思い返す。 現在のリシュナ領軍の司令官は辺境伯爵のユリウスだ。 彼の仕事をビアンカに任せてもらえるのはとても光栄なこと。ただ、安易に引き受けたくはない。司令官という仕事と一度、真剣に向き合って答えを出したい。(折角、ユリウスがチャンスを与えてくれたのだから、私もその期待に応えられるように頑張ろう。先ずは兵士たちをしっかりと観察するぞ!!) ビアンカは二つ目のサンドイッチに手をのばした。♢♢♢♢♢♢♢♢ リシュナ領軍との対戦試合、二日目。 本日は司令官ユリウスが不在のままスタートすることに。 そこで、ユリウスの代わりに王国軍魔法師団リシュナ領支部のサジェと魔塔のモルテという魔法使いが本日の対戦試合の見届
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愛を育もう!!結婚6日目・ユリウスの居ない朝 3

 本日の対戦相手はA班とC班の兵士だ。 彼らは辺境伯がビアンカと結婚すると知ってから、今日までこの対戦を目標にして日々鍛錬を積んで来た。 少しでも高みに登りたいという一心で……。 しかし、現実は甘くなかった。 指揮官ルイーズが『始め!」と合図した後、ほとんどの兵士が一手目で武器を遠くに飛ばされてしまう。 この状況を昨日から見続けているもう一人の指揮官、ホーネットは悶々としていた。―――『国軍のレベルが猛烈に高いのか?』或いは『リシュナ領軍が弱過ぎるのか?』と。「ルイーズ、ビアンカ様は国軍の中でどのくらいの強さだ?」 彼は試合の合間に隣にいるルイーズへ質問する。「ん? どうしたんだいホーネット?? 国軍の中のビアンカの強さ?―――バカな質問だねぇ~」 ホーネットを一瞥して、再び前を向いたルイーズは苛立ちをあらわにしたまま、話を続ける。「あいつは己の武功で英雄って呼ばれるようになったんだ。どのくらいなんて聞くまでもないだろう。―――もしかして、あんたも女が強いのは気に入らないタイプなのかい?―――いるんだよね~~~、そういう男……」「い、いや、そういうつもりでは……」「そうかい。ならば、この目で見たものが真実だ! あたしはあの子以上に強い戦士を見たことがない。それでも順位が必要だというのなら断言してやる。あいつの強さはこの国、いや、この大陸で一番だ!!」「そ、そうか……」 ルイーズの鋭い指摘で、ホーネットは己の奥深くにあった差別意識を自覚する。 今の今まで、ホーネットは国軍にビアンカよりも強い男たちがいると信じていたのだ。だから、彼女の強さを無視して、国軍のレベル云々ということばかり考えていたのである。 ホーネットはルイーズのアドバイス通り、偏見を捨て、この目で見たものを信じてみることにした。 すると、立て続けに五人の兵士が、一手目で武器を遠くへ飛ばされてしまう。
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愛を育もう!!結婚6日目・ユリウスの居ない朝 4

「ビアンカ様、少しは攻撃して下さ~~~い!」「おおおお! その強気、嫌いじゃないぞ!!」 プラドはビアンカを挑発して来た。これは今回の対戦で初めての出来事だ。(やはり、この子は面白い。よし、君の願い通り、攻めてやろうじゃないか!) ビアンカは利き手ではない左手で木剣を握り、剣先を彼の鼻の高さまで上げる。 プラドもビアンカの木剣の先と触れそうな位置まで右手で握っている木剣の剣先を上げた。(よし、剣先の動きをそのまましっかりと見ていろ。集中、集中だ! プラド!!) 次の瞬間、ビアンカは持っていた木剣を大きな動きで後方へ下げ、同時に右足で大きく前に踏み込み、彼の右手首を掴んだ。「えっ!!!」 ビアンカの行動が理解出来ず、プラドは右手に木剣を握ったまま茫然としてしまう。 ビアンカは膝を落としながら、つかんだ彼の手首を自分の肩に乗せ、右回りに担ぎ上げて……。(東洋の体術、背負い技の応用編だ!) ドッシーン!!! プラドは美しい軌道を描いて地面に叩きつけられた。「勝負あり!」 ルイーズの声が響き渡る。 修練場に歓声が沸き上がった。これはビアンカを相手に粘ったプラドを称える声も含まれている。(ここまでの対戦でこの軍の問題点はだいたい分かった。まず出身地や男女で分けているこの班分けは大失敗だ。年齢性別に関係なく運動能力に合わせて分け直し、各々の能力を伸ばす訓練プログラムを作った方が良い。そして、座学も取り入れ、多種多様な武術、武器、戦法などの知識をしっかりと学ばせる。二、三か月もすれば、かなり良くなるだろう)「おや、ビアンカ、いい顔をしているねぇ~。あと三人で終わりだよ!!」 ルイーズはビアンカに近づいて、肩を叩く。「体術を使って良いというルールは決めて無かったよね~~~~?」 それ反則ギリギリだぞ……と暗に指摘する、ルイーズ。「ルイーズ、くだらないことを言うな。これがもし実戦だったら……」「あ~~~、はいはい、分かりました~。ということで、プラド! お疲れ様!!」「―――うっ、んんん~、はぁ……、はぁ、ありがとうございました……」 地面に横たわっているプラドはうめき声交じりで礼を言った。「いや~、私も楽しませてもらった。あんた、東洋の剣士から剣術を習ったことがあるだろう?」「ふぅ~、あ、いえ、剣士ではなくて……、僕は祖父から剣
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愛を育もう!!結婚6日目・ユリウスの居ない朝 5

 話題が思いつかなくて、笑顔を張り付けて黙り込んだビアンカへ公子が話し掛けた。「すみません、ビアンカ様、実は急遽帰国することになりまして、辺境伯や王太子殿下にご挨拶をするためにこちらへ足を運んだのです。ところが、執事殿からお二人ともご用事でお留守にされていると伺いまして……。花を見ながら『どうしようか~?』と話していたところでした」「―――そうでしたか。宜しければ、私から二人に伝えておきましょうか?」「はい、そうしていただけると助かります。この二週間、こちらの離宮でとても快適に過ごさせていただきました。今度は是非、辺境伯とお二人で私たちの国へ遊びにいらして下さい。妻が少々、―――いえ、かなり騒いでしまうかもしれませんが、プッ、フフフフッ……」 話している途中で、公子は笑い出してしまう。(公子は本当に優しいお方だな……。公子妃が暴走しても笑顔で見守るのだから。それにしても、二週間!? この二人はそんなに長くここに滞在していたのか!! 私はまだ六日目なのに……)「はい、機会がありましたら、是非……」(返事は濁しておこう。ユリウスへの確認なしに約束は出来ないから!)「きゃ~~~!! 嘘! 本当に!? ビアンカ様、絶対! 絶対に我が国へ遊びに来て下さいませ!! お待ちしております!!」 公子妃は嬉しさを表現するように、その場でピョンピョン飛び跳ねた。ビアンカは公子と一緒に微笑んでしまう。―――ポリナン公国はこの大陸の南西にある国で、ネーゼ王国と同じくらいの大きさだ。温暖な気候で長い海岸線には美しいビーチが続いており、それを上手くリゾート化した結果、大陸の人々が多く訪れるようになったのだという。 また、カジノという享楽施設には、世界中からギャンブラーが集まってくるらしい。 近年は軍部が力を持ち国内情勢が不安定になっていたが、黒幕も逮捕されたので少しずつ落ち着きを取り戻していくだろう。 ビアンカはユリウスとバカンスを楽しむ様子を想
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愛を育もう!!結婚6日目・心を育もう

ガチャ。 ノックもなくドアが開いた。ビアンカは文字から視線を外し、部屋の入口を見る。 「あ、ユリウス!! お帰りなさい」 「―――ただいま……」 覇気のない声で答える、ユリウス。 (ん、んんん~? 調子が悪いのか?) ビアンカは本をテーブルに伏せ、彼の元へ駆け寄った。 ユリウスはビアンカを抱き寄せて、ボソボソと呟く。 「―――眠い……、凄く眠い……」 (あ~、徹夜したからか~!) 状況を察したビアンカはユリウスの手を引いてソファーへ連れて行った。 ササッと彼を座らせて、自分もその隣へ腰掛ける。 「お腹は?」 「空いています。だけど、とにかく眠くて……」 「なるほど、空腹よりも眠気が強いということですね」 ビアンカが相槌を打ったところで、ユリウスは燃料が切れたように寝落ちした。 ―――彼女の膝の上に倒れ込んで……。 (はっ!? 嘘っ!! もう寝たのか!? いや、それよりも、このパターン……。手順を間違えたら危ないのでは?) ビアンカはユリウスから投げ飛ばされた時のことを思い出す。 あの時はビアンカが彼のテリトリーで余計な行動をしたことがきっかけとなり、彼の下敷きになった挙句、ベッドの外へ飛ばされてしまった。 (下手に動かさない方がいいだろうな~。しかし、コレはどうしたら……) ユリウスは今、ビアンカの生足の上に倒れ込んでいる。 要するにバスローブがはだけている状態ということだ。 「足を隠すために布を引っ張ったりしたら、蹴られたり、どこかに飛ばされたりするのだろうか?」 幸いユリウスはしっかりと眠っていてピクリとも動かない。 ビアンカは取り敢えず、胸元だけは整えた。両足は完全に晒してしまっているが、恥ずかしいと考えだしたら止まらなくなりそうなので、気にしないようにする。 「ユリウスが起きるまではどうしようもない。本の続きでも読もう……」 ビアンカはフーッと息を吐き、再び、本を手に取った。 ♢♢♢♢♢♢♢♢ ガサッ。 突然、ユリウスが身じろぎをした。ビアンカの膝に倒れ込んでから、一時間半ほど経過している。 ビアンカは本をテーブルにそっと置く。 「ユリウス、ユリウス?」 (前回のように魔法を食らって気を失うのは嫌だ。ここは慎重に……) 「もう少し寝ますか? それなら、ベッド
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愛を育もう!!結婚6日目・主神ダイアは見た! 1

 辺境伯城の前に広がる美しい麦畑と繋がっている異次元の静かな神殿で、主神ダイアは苦悩していた。  ビアンカに神の力を与えたのに、彼女は何の力も感じないのだという。  その上、ビアンカは『神の力は無いなら無いでいいです。無くても全く困りませんし~』と、言い捨てるくらい、どうでも良さそうだった。 「神の力は要らないと言われても、やはり、私は……」  過去の後継者たちは神の力を与えた主神ダイアに感謝し、また国を治めるためにその力を存分に使っていた。  誤解のない様に言っておくと、別に感謝して欲しかったわけではない。少しでも子孫の役に立てるならと思って力を分け与えていたのだ。 「しかし……、面と向かって要らないと何度も言われたのは今回が初めてだな」  主神ダイアは顔を上げて、金色の穂が風に揺れる様子を眺める。  ビアンカの言葉は想像以上にダイアの心に刺さっていた。妃に逃げられても反省しなかったダイアが、己の考えを改めるべきかと悩むくらいに……。  ピチャン。  神殿の静寂を一滴のしずくが壊す。 「―――むむっ!? 何事だ?」  主神ダイアは壁際に置かれている水瓶に近づき、中を覗き込んだ。  この水瓶は主神ダイアの目として、ビアンカたちの住む世界を見守っている。  水面に映し出されたのは……。とある宮殿の一室だった。 ♢♢♢♢♢♢♢  ターキッシュ帝国の皇都オアートの宮殿の玉座の間で、皇太子カリームは静かに皇帝と側近達の様子を観察している。  パタパタパタ……。  中庭の方を見ると強い日光を遮るために軒下へ取り付けられた薄布が強風にあおられていた。 ---音の原因はこれか。  次に皇太子カリームは玉座で女を膝の上に乗せている皇帝(父)と、何の役にも立ちそうにないイエスマン揃いの側近をチラリとみる。 ―――あいつらを一掃したい……。  ここはイリィ大陸の東の海の先にあるシクス大陸だ。  別名、灼熱の大地。  その名の通り、シクス大陸の七十パーセント強は砂漠地帯だ。過酷な環境の下で、人々は水と緑のある場所を求めて、点々と移動しながら生活している。  そんなシクス大陸の最大都市、ターキッシュ帝国の首都オアート。  ここは別名、奇跡の街。  何が奇跡なのか?  それは大陸で唯一、広大な森と湖があるからだ。定住率の高さも大陸内で断
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愛を育もう!!結婚6日目・主神ダイアは見た! 2

 しかし……、それを実現したくても、このままでは難しい。その理由は至って簡単。トップ(皇帝)が驚くほど幼稚だからだ。 今も皇帝は息子のカリームよりも若い女とイチャついている。 もう一度言う。 ここは玉座の間だ。本来なら執務を行う場所である。なのに、側近達は皇帝に注意の一つもしない。愚かな皇帝はこの状況が普通だと思っている。 皇太子カリームは再び、揺れる薄布を目で追った。 風は更に強くなって来ている。―――やはり、あいつらを一掃したい。 特別な信仰心はないが、この状況をどうにかしてくれる神が居るなら、毎日祈りを捧げてもいい。 バタバタバタ……。 突然、伝令の男が玉座の間へ走り込んで来た。男は大宰相へ駆け寄り、懐から出した手紙を彼に渡す。「陛下、イリィ大陸に潜ませている鷹(密偵)から緊急の連絡が入りました」「―――はぁ?」 大宰相は中身を確認し、すぐに女と戯れている皇帝へ声を掛けた。 空気を読んだ女はスッと衝立の裏へ去る。 一方、女遊びの邪魔をされたことに腹を立てた皇帝ムガリ二世は不機嫌を隠さない。側近達に緊張が走る。彼の不機嫌は自分たちの首の皮と直結しているからだ。 皇太子カリームは部屋の片隅で状況を見守る。「テオドロス殿下が消息不明になっていらっしゃるとのことです」 第四皇子が消息不明と大宰相が口にした途端、場の空気が変わった。 大宰相は説明を続ける。「―――二日前に接触した鷹に殿下はローマリア王国へ向かうと告げたそうです」「ローマリアだと?」「はい。殿下はサルバントーレ王国のフォンデ王子を使って、ローマリア王国のリシュナ城へ入り、辺境伯の妻を略奪するという計画を鷹に共有したとのこと。ところがその後、殿下の消息は一切掴めなくなりました」「テオドロスはリシュナ城で拘束されたのか?」「その可能性が高いでしょう。陛下もご存じの通り、リシュナ城はイリィ大陸でもっとも難攻不落といわれている城塞です。また強力な結界魔法が張ってあり、簡単には……」―――テオロドスはイリィ大陸侵略の足掛かりにしていたツィアベール公国が潰されて、先走ったのだろう。それにしても他国の既婚女性を相手に略奪婚を試みるとは……。本当に愚かなことをしてくれる。 皇太子カリームは下を向いて、密かにため息を吐いた。「陛下!! 一刻も早く第四皇子を取り戻しましょう!
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 1

 オークの街路樹、オレンジ色の屋根、はちみつ色の壁、白い石畳。武骨な辺境伯城とは違い、バリードの街の景色は穏やかで優しい雰囲気だ。(初日に辺境伯城へ馬車で向かった時にも、同じ風景を見ているはずなのだが……。こんなに可愛らしい街だったのか!? それにゴミも落ちていないし、道の脇にある花壇もよく手入れされていて、治安の良さを感じる) 馬車の窓に張り付いて外を眺めているビアンカ。 これから二人はバリードの商業地区で街歩きデートをする予定だ。 ビアンカはユリウスのリクエストでドレスを着用。 ハイネックで特に大きな装飾もないシンプルなデザインのドレスだが、鮮やかなブルーのジャガード生地に銀色の緻密なレースが重ねられているため、一目で上質なものだと分かる。ビアンカの黒髪との相性も良い。 また今回もコルセットは無し、スカート部分は足を高く蹴り上げても下着を晒さない特殊構造になっているため、激しい動きをしても大丈夫! というわけで、ビアンカは太ももにナイフを二本、胸元にワイヤーフック、袖に毒針を数本仕込んだ。 抜け目のない彼女を見て、ユリウスの腹筋が無事だったかどうかは言うまでもない。「ビアンカ、ここで馬車を下りましょう」「えっ!? まだ商業区に入っていないですよね?」 ビアンカは窓の外を指差す。 街路樹のオークの葉が風で揺れていた。「あなたの好きそうなお店があるので……」「?」(私の好きそうな店? あまり出歩く方じゃないから、好きな店も何もないのだが……) 良く分からないまま、ビアンカはユリウスに手を取られ、木立の間にある芝生の上へ降りる。 顔を上げて前を向くと、少し先に白木のフェンスと金づちの形をした鉄看板が見えた。(金づち? もしかして、あの店は……)「鍛冶屋?」「正解です。リシュナ領軍の武器を作っている工房です」「あの、今日はデートに……」「何か問題でも?」(いや、デートで鍛冶屋は無い!! それくらい私でも
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート! 2

 挨拶を終えるとガストンは武器の見本を数点、奥から持って来た。 ユリウスに促されてビアンカは片手剣を手に取る。「これは……、スゴい!!」(重さが絶妙だ! 重過ぎず、軽すぎず) シュッと横へ一振りしてみると、何かが手元から刃の先端へ通り抜けていくような感じがした。(んんん? この感覚は何だ? 剣を振るスピードが上がったような気が……)「ユリウス、これ……」「振り易かったですか?」「はい、動かしたい方向へ重心が加速しながら移動していったような気がして……。それよりも、少し引っ張られたと言った方がいいのかなぁ~」「流石ですね。あなたの言う通り、その剣には魔法で重心が最適な方向へ移動する効果が付いています」「そ、そんなことが出来るのですか!?」(魔法ヤバッ!!)「はい」 ユリウスは人差し指をクルンと回して見せる。(しぐさも、何となくドヤ顔なのも、可愛いじゃないか! しかし、魔法は私の想像を遥かに超えていくなぁ~。もっとユリウスにいろいろなことを聞いてみたい。あ~、そういえばグラスに水の謎もまだ解けてな……)「ところで、この二日間、あなたはリシュナ領軍の兵士と対戦してどうでしたか。兵士たちのことを弱いと感じませんでしたか?」 ユリウスはいきなり真面目な質問を投げて来た。「ええ、確かに戦闘能力も防御能力も低いと感じました。ここは戦いの多い地域なのに何故なのだろうと疑問に思っていたところです」「その答えは魔法付与です。リシュナ領軍の武器や防具には必要な効果を付与し強化しています」(武器だけではなく、防具も強化しているだとー!?)「それは初耳です」「まあ、そうでしょう。国防の最重要機密ですから」「あ~、わわわわっ!!! ダメダメ!! ここで言ったらダメ!!」 ビアンカは慌てて彼の口を押える。 しかし、彼はビアンカの手を引き下げてこう言った。「心配いりません。魔法付与の出来る武器や鎧はこの工房で作成しているので、彼らは知っています」「あっ、なるほど!」「ついでにいうなら、魔法付与を出来るのは今、現在、私とモルテだけです」「二人だけ!?」「はい」(モルテって、あの魔法使いのことだよな) ビアンカは白い御髭がトレードマークの魔法使い、モルテを思い浮かべる。 同時に今朝、彼と話す機会を逃してしまったということも思い出した。「
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