Semua Bab 大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました): Bab 131 - Bab 140

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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 3

 正論を返されてしまい、ビアンカは口を閉じる。  それを了解の意と受け取ったユリウスは楽しげにチュッ、チュッと彼女の鼻の先やおでこへキスをしていく。 (まさか……、移動中、ずっとキスし続ける気なのか~~~!?)  不意にユリウスは手を伸ばして、窓のカーテンを閉めた。 (はっ!?)  野生の勘が危険を察知する。  ビアンカは即座に手を伸ばし、カーテンを開けた。 「なっ、何を考えているんですか!?」  上ずった声で彼に聞くと破壊力のある笑みを返されてしまう。 (怖っ!! 絶対、ロクでもないことを考えていただろ!! くぅ~~、綺麗な顔で誤魔化そうとしやがって!!) 「ビアンカ」 「はい?」 「心を育むプログラムを開始しましょう」 「は?」  突然、プログラムと言われ、ビアンカは唖然とする。 (ああ~、完全に油断していた……。やっぱり何かしらの課題をしなければならないのか~)  今し方、ユリウスの行動を疑っていたのに、ビアンカは流されてしまう、上手く話題を切り替えたユリウスに……。 「お互いの好きなところを言い合うというのはどうですか?」 「すっ、好きなところ!? えっ~、どうして、そんなお題に……」 「今日は心を育てる日ですから、ちょうど良いと思います」 (言葉で伝える……。ユリウスに面と向かって、どこが好きかを言うのか~。というか、これ……、愛の告白をするのと同じなのでは? そう考えると身体の触れ合いより難易度が高そうだぞ。恐ろしいな、心を育むプログラム……)  心を育もうと自分が言い出したくせに、早速、怯んでしまう、ビアンカ。 「どちらから言います?」 「え、じゃあ、後が良いです」  ビアンカは即答した。相手の出方を見てから作戦を考えようという分かり易い戦法である。 「分かりました。では、私から……」  ユリウスはビアンカの瞳を覗き込む。 「私はビアンカの心の清らかさを感じる瞳が好きです。どんな時も星の瞬きのように煌めいていて……。ああ~、すごく綺麗だ。知っていますか? あなたの瞳は普段、青みの強いバイオレットサファイアですが、気持ちが昂ると赤みが増してグレープガーネットになります」 (へぇ~、瞳の色が感情で変化するのか!? それは全然知らなかった。まぁ、ユリウスも普段はライトグレイ、切れている時はギラギラな銀色
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 4

 商業区リンクへ到着した。「ここからは馬車を降りて散策しましょう」 ユリウスはビアンカの手を引いて、白い石畳の上へ下りる。 ビアンカは辺りをぐるりと見回した。(ここも街路樹はオークで統一されている。至るところに置かれている陶器製の白いプランターには可愛い花を寄せ植えしてあるし、建物も看板も統一感があって……)「この地区は街並みが美しいですね」「ええ、この地区は建物に使用する石材や屋根の色に厳しい規制がありますから」「この綺麗に咲いている花々も?」 ビアンカは陶器製の白いプランターを指差す。 王都でも陶器製のプランターを街角に置いているところはあまりない。ワイン樽の再利用とか、木製のものばかりである。「はい、そのプランターはこの地区の商工会が設置したものです。この通りにはサルバントーレ王国の高級ブティックや宝飾店が建ち並んでいるので、美意識が他のところよりも高いのでしょう」「なるほど……」 サルバントーレ王国は芸術だけではなく、服飾品、宝石加工、革製品の分野でも世界に名を馳せている。―――ファッションに疎いビアンカでも知っているくらいだ。(有名店の支店がこの通りにズラ~ッと並んでいるなんて、凄いよなぁ~。もしかすると私が知らなかっただけで、領都バリードは王都サンタマリアに匹敵するくらいの経済規模を持っているのか? 目につく高級店の看板も王都とほぼ同じだし、通りを行き交う人も馬車も多い。―――ああ~、そう言えば、私達が結婚式をしたあの教会もかなりデカかったな……) この時、ビアンカは失念していた。 バリードがイリィ帝国の最初の首都だったということを……。「ビアンカ、次は靴屋へ行きましょう」「靴屋?」「はい、あの店です」 ユリウスは二軒先の看板を指差した。靴の形をした鉄の看板が店頭に下がっている。「え~っと、あの靴の看板のところですよね?」「はい」 ユリウスはビアンカの手をスッとすくい上げる。
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 5

「まあまあ、素敵なことでございますね~!! では、早速、ビアンカ様の足の型を作成いたしましょう!」「ああ、頼む」(武器の次は靴~っ!? そんなに色々と買って貰うのは申し訳な……。いや、ちょっと待て! これから辺境伯夫人として社交の場に出ることが増えるかもしれない。いつものブーツと結婚式の時にユリウスがくれたこの靴だけでは正直、無理がある。ここは素直に受け取っておくべきなのでは……) 実は寝室の隣にあるクローゼットルームには、各種ドレスに合わせて、靴も用意されていたのだが、残念なことにビアンカの足と合わなかったのである。 だから、ビアンカはこの六日間、手持ちの二足(国軍のブーツと結婚披露パーティーの時にユリウスがプレゼントしてくれた靴)を履き回して凌いでいた。(幸い、ドレスは裾が長いから、毎回、同じ靴を履いていても気づかれないと思うが……。ただ、夜会でダンスを踊れとか言われたら、流石にアウトだし……)「では、こちらへどうぞ~」 クララベルの誘導で、ユリウスとビアンカは二階のサロンへ。 サロンには毛足の長いフカフカの絨毯が敷かれていた。 部屋の中心に革張りの一人がけのソファーが一脚。 壁沿いに三人がけのベンチが一台。 その横にはアンティークのチェストが一棹。 チェストの上の細長い花瓶には深紅のバラが一輪。 とてもお洒落な雰囲気だ。―――ユリウスはビアンカを一人がけのソファーへ座らせて、その横に立つ。「ユリウスも座ったら?」 ビアンカは壁際のベンチを指差した。彼は一応、頷いたが座ろうとはしない。 クララベルはビアンカの足元へ四角いクッションを一つ置いた。「ビアンカ様、わたくしは採寸の道具を用意して参ります。靴をお脱ぎになり、こちらへ足を乗せてお待ちください」「分かりました」「では、一旦下がらせていただきます。失礼いたします」 
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 6

「クララベルです。お待たせいたしました~」 ユリウスはスッと立ち上がり、最初に立っていた場所へ戻った。「―――どうぞ」 彼は落ち着いた声でドアの向こうへ返事をする。(くぅ~!! ユリウスのバカ!! こ、これ以上暴走するのは止めてくれ~、ドキドキし過ぎて心臓が破れそうだ!!) ビアンカは乱れている心に蓋をして、クララベルに悟られないよう穏やかな笑みを必死に作った。 クララベルは大きな木箱を抱えて部屋に入ってくる。 彼女は音を立てないようにカーベットの上へ木箱を降ろし、小道具の入っているカゴを取り出した。「では、採寸を初めていきましょう」 クララベルは木箱を裏返す。「ビアンカ様、この木箱の上に紙を敷きますので、その上に立っていただけますか?」「いや、私は結構(体重があるのだけど)……、大丈夫だろうか?」(もし、破壊してしまったら、地味に凹む……)「ご心配なく! この木箱は頑丈ですから」 その言葉を聞いてビアンカはホッとする。 そこへ、ユリウスがスッと手を差し出した。 ビアンカは彼のスマートなエスコートで、ソファーから難なく立ち上がる。(ドレスを着ていると、どうしても動きにくい。ユリウスのエスコートが無かったら、かなり無様な姿を晒すことになったかも知れない) ビアンカがなぜ、簡単に立ち上がれないと感じたのか……。 それは彼女が背もたれに体重を預けて座っていたからだ。 幼少期にマナー教師から『淑女はソファーの背もたれに寄り掛かってはダメです』と言われたことをビアンカはすっかり忘れていたのである。―――ビアンカはソファーの両方の肘掛けに手をのせて、身体を持ち上げる姿を想像してみた。(何というか……、ひじ掛けで筋トレ? お上品とは程遠い……)「ありがとう! ユリウス」
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 7

 明後日の方向を見ているユリウスをビアンカはジーッと見つめる。 (―――耳から顎に続くライン、首筋も綺麗だなぁ……。えっ、嘘!! 耳たぶの上の方にピアス~!? 髪で隠れていて、全然、気付かなかった!!)  ビアンカはユリウスの耳にピアスがついていることに気付く。ピアスは金色で丸い形のシンプルなものだった。 (同じものを反対側にも付けているのか? 今は壁の方を向いているから、上手く確認出来ないけど……。ん~、後で聞いてみよう)  数分後、足の計測が終わり、ビアンカはユリウスのエスコートで再び、ソファーへ。 「お疲れさまでございました。計測は完了いたしました」  クララベルは一冊のスケッチブックをビアンカへ渡した。 「こちらは靴のデザイン画集です。どうぞご覧ください。また、ここに載っていないものもお作り出来ます。用途や素材、色など……、ご希望がございましたら、遠慮なくおっしゃってください」 「分かりました」  ビアンカはパラパラとページを捲る。  スケッチブックの中には靴の絵が描かれていた。ユリウスも横から覗き込む。 (ユリウス~、近い、近い!! クララベルが居るのに!!)  ユリウスが必要以上に近づいてきて、ビアンカはハラハラ、ドキドキしてしまう。 (これ、少し動いたら頬が触れ合うのでは!?―――ん? ワザと? ああ、絶対にワザとしている!! ちょいちょい意地悪なことをして来るのは何なんだ~!?) 「では、冷たいお飲み物をご用意しておりますので、持ってまいりますね」  クララベルは大きな木箱を抱えて、また部屋から出て行った。 「二人しかいないから、大変そうですね」  ビアンカはクララベルの背中を見送ったあとに、ボソッと呟く。 「ええ、そうですね」  ユリウスも同意する。  ビアンカはノートに視線を移した。一つ一つの靴の絵がとても素敵で、つい見入ってしまう。 「ビアンカ、気に入ったものはありましたか?」 「う~ん、どれも素敵ですね~」  ビアンカはページを捲っていく。 (とりあえず、走れないデザインはダメだ! ヒールが太くて脱げにくいものがいい。―――と、すると……) 「これはどう思います?」  ファッションセンスに自信の無いビアンカはユリウスへ尋ねる。  ちょうど、彼はビアンカの足にレースの靴下を履かせているところ
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 8

「本日はご来店いただき誠にありがとうございます。―――ですが、閣下……、御用がある時は私どもをお呼び下さいませ。いつでも参上いたしますので……」 (ジェームスは私たちが突然、店に現れたから驚いたのだろう。王族や高位貴族は店には行かず、邸宅に業者を呼んで買い物をするのが一般的だからな!) 「分かった」  アポなしで突撃した張本人の返事はあっさりとしたものだった。ビアンカは本当に分かっているのか~と怪しむ。 「二人でしておりますので、至らぬ点もあるかと存じますが、今後ともよろしくお願いいたします。―――では、クララベル、後はよろしく」  ジェームスは深々と礼をして去っていった。  クララベルは夫を見送った後、下から持って来たトレイをチェストの上に置き、グラスをひとつ持ち上げる。 「ビアンカ様、こちらを……」  クララベルはクランベリーの入っているソーダ―をビアンカへ手渡した。続けて、ユリウスにも。 「このクランベリーは私の実家で採れたものです。お口に合うかどうか分かりませんが、そろそろ、喉もお渇きになっているのではないかと思いまして……。宜しければ、どうぞ~」  ビアンカとユリウスは迷うことなく、クランベリーソーダをゴクリと一口飲んだ。 「想像していたよりも甘い!! でも、美味しい……」 「後味がいいですね」  二人の感想を聞いて、クララベルは嬉しそうに微笑む。 (ユリウスが毒見なしで飲むとは思わなかったな……。余り気にしないタイプなのか?)  ビアンカが少しずつ味わいながら飲んでいる横で、ユリウスは一気にソーダを飲み干した。そして、トレイの上にグラスを戻すと……。 「クララベル、注文を……」 「はい、閣下」  ユリウスの言葉を聞いて、クララベルは伝票とペンを手に持った。 「―――では、お願いいたします」 「デザイン十二番のパンプス、黒を三足、白を三足、紫を三足、銀を三足。デザイン三十番のルームシューズ、白と黒を各三足。リシュナ領軍のブーツ五足。以上、合計二十三足」 (えっ、えええっ? 一気に二十三足!? オーダー靴って、一足いくらだ?―――いや、世の中には知らない方が良いこともある。余計な詮索は止めておこう……) 「承知いたしました。では、お先に十二番の黒を一足、三十番の白を一足、
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 9

サワサワサワと街路樹の葉と一緒に木洩れ日も風に撫でられて、揺らめく。 ビアンカとユリウスはタラリア靴店を出て、商業区リンクのお洒落な通りをのんびりと歩いていた。 ショウウインドーに映るユリウスをビアンカはこっそりと眺めている。 (いや~、本当に……、絵本の中から飛び出して来た王子様みたいだ。―――所作も本物の王子様だから美しいし……、この素敵な街並みも彼の雰囲気と合っている。ユリウスの美貌は奇跡だな。陛下にも王妃様にも似ていないという謎はまだ解けていないけれど……。―――眼福っ!!) ビアンカはうっとりとした表情を浮かべてしまう。ちょうど、その時、ガラスに映ったビアンカが、ユリウスの目に入った。 彼はビアンカの視線の先が、ショウウインドーに並んでいるアクセサリーに向かっていたため、彼女の好むものが目の前の店にあるのだと勘違いしてしまう。 「ビアンカ、この店に入りましょう」 「はい」 ここは何のお店だろうと彼女はショウウインドーの奥を覗く。 (―――取り扱っているのは、ネックレス、ブレスレット、ピアス……) 店内に置いてある物をビアンカが心の中で呟いていると……。 「あっ!!」 ビアンカはピンと閃いて、彼と繋いでいる手をギュッと引っ張った。 「ビアンカ?」 どうしたのだろう……と、ユリウスはビアンカの顔を覗き込む。 しかし、ビアンカは無言で繋いでいない方の手をユリウスの頭の方に伸ばした。そして、彼の耳たぶを……。 「!!!!」 ―――前置きもなく突然、耳たぶを掴まれたユリウスは目を大きく見開く。 「あ~、すみません。え~っと、これが少し前から気になっていて……」 ビアンカは人差し指で、トントンと金色の小さな玉に触れる。 「ああ、ピアス……」 ユリウスは耳を触られた原因が判明し、ホッとした。 無意識のうちに彼女を怒らせてしまったのだろうか……と、心配したからだ。 「―――いつも付けているのですか?」 「ええ、つけています」 「ユリウスはオシャレですね」 「残念ながら、これはファッションでつけているのではありません。―――裏を見てみて下さい」 ビアンカは親指と人差し指でユリウスの耳をフニッと曲げ、裏側を確認する。 (おっ、耳たぶが柔らか~い! じゃなくて、ん、んんん~、これは……) ピア
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 10

 ビアンカは彼の持つ美しい姿とこの街の雰囲気が相まって、まるで絵本から出て来た王子様のようだったので、こっそり眺めていたと話した。「―――それはどうもありがとうございます。絵本の王子様……、初めて言われました」 彼女に容姿を褒められて、ユリウスはついつい表情が緩んでしまう。 嬉しい感情がプラスされた彼の微笑みは攻撃力が半端なかった。(うお~っ、その表情は危険だー!! いや、これ、誰にも見せたくない~)「そんな顔を見せられたら……、独り占めしたくなりますね」「ええ、いくらでも独り占めしてください」 ユリウスはビアンカへ一歩、近づいて彼女の腰へ腕を回す。 二人は顔を見合わせてクスッと笑った後、チュッ、チュッと啄むようなキスを数回した。 近くを通り過ぎていく人々は温かな視線を二人へ向けている。 皆、この二人が辺境伯夫妻だと気付いているからだ。 王族で切れ者のコンストラーナ辺境伯爵とその妻でこの国の英雄ビアンカのことを知らない領民など、バリードの街には居ないのである。「ユリウス、ピアスの代金は私が払います」「なぜ?」「今日は武器や靴を沢山買ってもらったので、ピアスは私からあなたへプレゼントしたいです」「―――分かりました」 彼女の申し出をユリウスは快く受け入れた。 ちなみにビアンカは国軍で活躍する英雄なので、資産はしっかりと持っている。(豪華な石がついているのもいいな。石の色はどうしようかな……)―――結局、二人は目の前の店に入った。「こんにちは」 ビアンカは店内にいた女性店員へ声を掛ける。「こんにちは~!! アクセサリーショップ・ポースへようこそ!―――辺境伯ご夫妻、今日は仲良くデートですか?良いお天気ですよね~、ウフフフ……」 若い女性店員は明るい声で話し掛けてきた。彼女は物怖じしないタイプの
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 11

「ユリウス、それだけで大丈夫ですか?」「はい」(本当に一つだけで大丈夫なのか!? かなりお腹が空いていたようだったが……。遠慮しなくてもいいのに~。しかし、無理強いするのは良くないな。―――仕方がない、足りないようだったら、私のパイを分けてやろう。それでも足りなかったら、追加注文だ!!) 二人が入ったパイ専門店ピタピタは、店頭のショーケースの中にある商品を選んでから店内に入るスタイルだった。 建物は石造りのため、年代を感じるが、内装はスカイブルーの壁に白木の家具、カーテンとテーブルクロスは赤と白のギンガムチェックといった感じで、とても可愛らしい雰囲気だ。 また、店内は意外と広く、テラス席もある。(思っていたよりも客席が多いな~。だから、少し待つだけで入れたのか……)―――今から十五分くらい前に二人はパイ専門店ピタピタへ到着した。 すでに入店待ちの行列が出来ていたため、ユリウスとビアンカは列の最後尾に並んだ。そして、自分たちの順番が回って来るまで待っていたのである。 この辺境伯夫妻の行動はその場に居合わせた人々の心に染みた。 貴族は特別扱いを好む。しかも、現辺境伯爵は王位継承権を持つ王族なのである。 しかし、目の前に現れた辺境伯夫妻は楽しそうにお喋りをしながら列の最後尾に並んだ。我先に店へ入れろというようなことも言わなかったし、突然、通り掛けの人から声を掛けられた時も笑顔で対応していた。『平民風情が気安く話しかけるな!』と怒鳴ることもなく……。 この日のことは今までの常識を覆した出来事として、後世へ語り継がれていくだろう。当の本人たちは無自覚だったとしても……。「ビアンカ、ここに座りましょう」「はい」 ユリウスはテラスの二人席を選んだ。 彼はビアンカがドレスを着用しているため椅子へ座らせる際、細心の注意を払う。(ユリウスのエスコートは完璧だな!! 背中に手を添えてくれた
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愛を育もう!!結婚6日目・レッツ・デート 12

「お待たせしました~」 二人の間にある小さなテーブルに店員はアイスティーとミントティーをササッと置いて去った。(―――店員がキビキビしている。これだけ客が多ければ、まぁ、鍛えられるだろうな……)「ビアンカ、どうぞ」 ユリウスはアイスティーをビアンカに手渡す。「ありがとうございます」 ビアンカは彼にお礼を告げて、アイスティーを一口飲んだ。 しっかりと冷えていて身体にしみる。(思っていたより、喉が渇いていたようだ。―――このアイスティー、とてもいい香りがする……。飲み物の美味しい店というのはだいたい料理も美味しいからな~。これは期待出来そうだ!!) 注文したパイが来るまでのひととき、二人は通りを歩いて行く人々や、雲一つない青い空を眺めていた。(大きな鳥が風に流されている……。上空は強風が吹いているのか? ここはそよ風程度だが……)「ユリウス、バリードは快晴の日が多いですよね~」「ええ、ビアンカがここに嫁いで来たので、神様が喜んでいるのかも知れませんね~」「ブッ」(もの凄く甘い顔で何を言うのかと思ったら……。神様? ほぼ実話じゃないか! というか、この街で神様という言葉を口にしていいのか? 遥か昔とはいえ、かなり揉めたんだろ!? タブーじゃないのか?) 色々と疑問が湧いて来たが、彼のことを眺めていたら別件が思い浮かんだので、この件は一旦、置いておく。 本日、ビアンカはユリウスと一緒に心を育てるプログラムというのをしている。これはデートの途中で、互いの好きなところを見つけて言い合おうというものだ。 だから、何か思いついたら、忘れてしまう前に口にしなければならない。「ユリウス」「はい」「可愛いです」「え?」 ユリウスは突然、妻から可愛いと言われて困惑する。 そして、何が可
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