馬車が停止した。外側からドアが開かれ、ユリウスは腰を上げる。「ビアンカ、その武器は私が持ちましょう」「あ、えっ?(重いけど!?)」 戸惑うビアンカをよそに、ユリウスは片手で軽々と大斧を持ち上げて、キャビンから出て行った。(ユリウス? ん?――――もしかして、父上の部下(文官)が非力なだけだったのか!? いや、手伝いに入ったもう一人は護衛だったぞ!!) ビアンカは首を捻ってしまう。どうして彼は平然と片手で大斧を持っていけるのだろうと……。 腰を上げ、キャビンから降りようとしたところで、ビアンカは息を呑んだ。「これは……」 赤褐色の岩で造られた城の正面玄関に、制服を着た人々が綺麗に整列していたのである。(手前は執事か? その隣は侍女頭と侍女、医師? 白い服は料理人だな。その隣はエプロンをしている庭師、警備兵……、こんなに多くの人が出迎えてくれるなんて感動した!! しかも、一糸乱れぬ隊列と、この馴染みのある空気感。ここは領主の城というよりも軍隊じゃないか!) ビアンカの直感は当たっていた。国防最前線のこの城の使用人は全員、それなりに戦える者が集められているのである。「ビアンカ、手を」 出迎えの人々に圧倒されているビアンカへユリウスが手を差し出す。勿論、もう片方の手は大斧を持っていた。(やっぱり軽々と持っている。ユリウス、ただの魔法使いではないのか?) ビアンカはユリウスの手を取り、慎重にステップを踏んで降りていく。彼女が地面にしっかりと降り立つまで、使用人たちはピクリとも動かずに見守る。――――ビアンカは破れた背中に気を付けながら、無事に馬車から降りることが出来た。 二人揃って職員たちの前に出る。「「「お帰りなさいませ」」」 一同は声を揃えて挨拶をした。そして、一呼吸置いて、一斉に礼の姿勢を取る。―――ここで使用人の集団から、一人の男性が一歩前に出た。「閣下、お帰りなさいませ。若奥様、お初にお目にかかります。わたくしは執事のセザンヌと申します。以後お見知りおきを……」(若奥様? あっ、私のことか!?)「初めまして執事どの、ビアンカです。よろしく」「――――ビアンカ、執事に『どの』は必要ありません・・・」 ユリウスは笑いをかみ殺したような声でビアンカに伝えて来る。「あ~、いつもの癖で……。失礼しました。執事、今日から世話に
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