جميع فصول : الفصل -الفصل 50

164 فصول

秘密だらけ!?結婚2日目・心を通わせたい 2

ビアンカは慌てた。 今、ユリウスが口に出した者たちを知っているからだ。そして、彼らはここ数年の間に失踪した。 (一時、失踪者が私の顔見知りばかりだったから、マリオから『お前が犯人じゃないのか?』と疑われたりして、本当に迷惑だと思っていたのに……) 「かの者たちはあなたの兄上が再起不能にした者たちの一部です」 「兄上が?」 「はい、美しい兄妹愛です」 「気持ち悪っ」 ビアンカは顔を顰める。 (兄との間に良い思い出などひとつも無い。急に妹を大切にしていましたと聞いても、どうしていいのか分からないぞ) 「妹のことを想って守っているのに『気持ち悪っ』の一言。兄上に同情します」 ビアンカはユリウスから穏やかな口調で注意されてしまう。 「そうですね、言い過ぎました。反省します」 彼女は素直に謝った。 「兄上と次に会った時は少し優しくしてあげることをお勧めします。昨日もご心配されていたようですから」 「殺人鬼のような視線を送られましたけどね」 「兄上は……」 ユリウスは言葉を止めて、少し考えるような素振りをしてから、再び、言葉を紡ぐ。 「昨日のパーティーで、兄上はビアンカに的確な指示を出していましたよね? あれはずっとあなたを目で追っていたからだと思いますよ」 ユリウスの発言にビアンカは目をみはる。 「おおおお! 確かに! ボーッとしていたら怒号をうけましたからね。そうか~、兄上は私の粗探しをしていたのではなく、心配していたのか~」 「そうです」 「次に会った時は少し優しくしてあげようと思います」 「ええ、是非してあげて下さい」 二人はニッコリと微笑み合う。 「ビアンカ」 「はい」 「これを機に自覚して下さい。あなたはかなり魅力的です」 「そ、そうですか。 自覚出来そうな気がしないですけど……。ユリウス、しつこいようですが、無理して私と一緒にいる必要はないのですよ。あなたは私には勿体ない人なので……」 「……」 ユリウスは言葉で説得することを諦めた。 「触れていいですか?」 「へ?」 (触れるって、どこに!? 薔薇の花びらで隠れているけど、今、真っ裸だぞ! これ危険な状況なんじゃ……。男女のアレコレ的に~~~~!) ビアンカは狼狽えて、言葉が出てこない。 ――――ユリウスはビアンカの返事を待たず
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・ご褒美 1

浴槽で抱き締められてビアンカは頭がボーッとしてしまう。 「ユリウス、そろそろ(上がりませんか)?」 「分かりました」 (素肌が触れ合っているだけで、のぼせてしまう。――――ユリウスは平気なのか?) ザバッ。 二人は同時に浴槽から立ち上がった。何故かユリウスはビアンカに背を向けている。 (そんなあからさまに背を向けなくても……。もしかして、気を遣っているのか? いや、それはない。昨日も一緒に入ったし) 「ビアンカ、バスローブを使いますか?」 「はい、出来れば……」 彼は右手を横に伸ばし、宙からバスローブを取り出す。 そして、それを後ろにいるビアンカへ差し出した。勿論、顔は正面に向けたままである。 (フゥ~、相変わらず魔法は凄い……。私の大斧もあんな風に出し入れ出来たら便利だな。手ぶらで出かけても、いざという時にサッと取り出せるのだから) ビアンカは手を伸ばして、ユリウスからローブを受け取った。 「ありがとう、ユリウス」 「どういたしまして、ビアンカ」 「あのう、何故、私の方を見ようとしないのです。昨日も今日も一緒にお風呂へ入った仲じゃないですか」 ビアンカは昨日から散々、裸を晒してしまったため、今更ユリウスが彼女の身体を見ないようにしているこの行動が理解出来なかった。 「それは恋人の練習を止めて良いということですか?」 「恋人の練習? あ~、すっかり忘れていました!!」 ユリウスは大きなため息を吐く。 「私はあなたの裸体を堂々と眺めて平然としていられるほどの理性は持ち合わせていません」 そう告げると、ユリウスはその場から消えた。 「消えた……」 (ああああ~、ユリウスが何処かへ転移してしまった……。私が恋人の練習を忘れていたのが不味かったのか? どうも男女の話になるとダメだな。しかし、『毎日一緒に風呂から夜空を眺めましょう』と約束したのに、今になって裸を見るのは理性が云々といわれても……、どうしたらいいんだ!?) ビアンカは首を捻る。 (というか、抱きしめて来たよな? 肌が直接触れ合っている時点で見るとか見ないを超えていると思うのだが……。何か別の理論があるのか?) ――――色々と考えてはみたが、結局、答えは見つけられない。 (あとでユリウスの言い分を聞こう……) ビアンカは考えるのをスッパリ
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・ご褒美 2

「あんたスパイか?」 ビアンカはぶっきらぼうに言い放つ。 Xはユリウスに視線を流し、指示を待つ。 辺境伯夫人にどういう対応をしたら良いのか、判断に困ったからだ。 「X、ビアンカには隠し事をする必要は無い」 ユリウスの言葉を聞いて驚いたのはXではなく、ビアンカだった。 (隠し事をする必要は無い!? 秘密主義は止めて、もう何でも教えてくれるってことか? え~、それ、とても嬉しいのだけど!! この二日間、何も分からないまま状況に流され続け、ストレスが溜まって、溜まって~!! は~、やっと、特別任務のことも分かる~!!!!) 「そうッスか? じゃあ……、辺境伯夫人、初めまして! Xッス!!」 「あ、ああ、あんた軽いな! 私はビアンカだ。辺境伯夫人ではなく、名前で呼んでくれ」 「分かったッス! ビアンカ、よろしくッス!!」 ユリウスはここで笑ってはいけないと思いつつ、昼間、牢獄で見た女戦士ビアンカの恫喝が脳裏に浮かんで来て……、後ろを向いた。 「ユリウス、もしかして、笑っ……」 「ビアンカさぁ~ん。見逃してあげて~! 閣下は笑い上戸を隠したいんです~!!」 「いやいや、部下にしっかりバレてるじゃないか!!」 Xのツッコミにビアンカが対抗する。 それとほぼ同じタイミングで、ユリウスは膝から崩れ落ちてしまう。 (ユリウス……、ああ~、これは……、大笑いのスイッチが入った?) 「X、ユリウスが笑っている間に話を聞こう。あんたはどうしてここに居る?」 ビアンカはユリウスが使い物にならないので、先にXと話すことにした。 Xはビアンカがいきなりピリッとする空気を放ったので、背筋がピンと伸びる。 「俺がここに来たのはターゲットの居場所を掴んだからッス」 「王太子妃か?」 Xは頷く。 (マクシムは捜査を止めろと言ったが……。ユリウスは追手を止めなかったのだな) 「で、何処にいる?」 「ツィアベール公国との国境にあるチミテロ村ッス」 「チミテロか……」 そこでXがブッと笑う。 「夫婦で同じ反応ッスね!」 「ああ、ユリウスとは仲良しだからな。で、協力者は?」 ビアンカはサラッと受け流した。 「大公の右腕ッス」 Xはユリウスに伝えた内容と同じことを口にする。 (大公の側近が堂々と……。マクシムと彼女の関係は
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・完全なる失恋

「分かりました。ユリウス、詳細を教えて下さい」 「ビアンカ、私は一つの国を滅ぼそうとしています。反論したりしないのですか?」 「しません」 (軍人が上司の命令に従うのは当然のこと。まだ、計画が練れていない状態だったら、質問攻めくらいはするかも知れない。だが、ユリウスは迷いなく『消します』と言い切った。この案件は私達の結婚と同じように前々から計画されていたものだろう。ここで私がよけいな茶々を入れて、全てを台無しにするわけにはいかない) ユリウスはビアンカがこの計画に反対するかも知れないと案じていた。ところが、彼女は彼の計画をすんなりと受け入れ、一点の曇りもない瞳でユリウスを真っ直ぐ見つめている。 彼女のアメジストの瞳があまりに美しくて、ユリウスは密かに見惚れてしまった。 「―――では、作戦の詳細を説明していきます」 「はい、よろしくお願いします」 ♢♢♢♢♢♢ 同時刻、辺境伯城の一部屋にて。 マクシムは回想していた。 昨日、ローマリア王国のリシュナ領を治めるユリウス・フルゴル・コンストラーナ辺境伯が結婚した。 マクシムと彼の関係は王太子と辺境伯爵、もしくは従兄弟、または兄と弟のような間柄と言えばいいのだろうか……。 そんなユリウスの結婚式とお披露目パーティーで事件が発生。何者かの指示を受けた賊が、ビアンカを二度も襲撃し、王太子妃(リリアージュ)まで姿を消した。 何も知らぬ参列者たちはビアンカを襲撃した者に王太子妃が誘拐されたと思っており、心配を口にする。 一方、あの場にいた各国の王族たちは、誰も王太子妃を心配していない。 サルバントーレ王国のフォンデは『あ~、またツィアベール公国か、今度は何を企んでいるんだろうね』と軽い口調で言い放ち、ポリアン公国の公子は『おかしな魔法を使っていたようですね。かの国の公子は腕の良い魔法使いを手に入れたとアピールしたかったのでしょうか?』と首を傾げ、公子妃は『ビアンカ様が大斧を振るっている姿を始めて見ました!! 物凄くカッコ良かったです!!』と興奮していた。 ネーゼ王国のコルネリア王女に至っては『王太子妃はビアンカ様に辺境伯を取られて嫉妬したのかしら』と、あざ笑う始末。 コルネリアの言葉を聞いて、マクシムはゾッとした。 リリアージュがユリウスを狙っていたことをコ
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・作戦

 今回の作戦の目標は大公妃と彼女の逃走を手伝った貴族及び、ターキッシュ帝国の商人を捕縛すること。  相手に気取られないよう、少数精鋭で潜伏先へ突入する。彼らが雇った傭兵や破落戸は速やかに捕縛、巻き込まれた民は保護し、安全なところへ誘導。  負傷者、死者が出ないよう、最新の注意を払って作戦を遂行する……。 ―――ビアンカはユリウスの話を最後まで真剣に聞いた。そして、質問タイムになったので、要点を確認する。 「ユリウス、ターゲット以外が飛び掛かって来た場合は気を失わせるということでいいですか? 私も出来るだけ負傷者は出したくないので」 「はい、そうして下さい」  ユリウスはキリッとした声で答えた後、右手で髪をかき上げ……。 「あの人たちは本当に……。―――呑気ですよ。国(ツィアベール公国)を乗っ取られているのに気が付かないのですから」  今回のツィアベール公国を潰す計画は他国と連携して進めてきた。  昨日の事件は氷山の一角で、他にも沢山の問題を起こしていたからである。  しかしながら、ツィアベール公国出身の妃を持つマクシムはこの計画を知らない。国王が情報の漏洩を防ぐため、彼をこの計画から外すと決めたからだ。  今、ツィアベール公国は海を挟んだ隣国、ターキッシュ帝国の傀儡と化している。  イリィ大陸を手に入れたいターキッシュ帝国が、ツィアベール公国に命じて、定期的に各地で揉め事を勃発させていたのもその一つだ。  ところが、ツィアベール公国はターキッシュ帝国と自国は親しい関係にあり、彼の国はツィアベール公国がイリィ大陸で勢力を伸ばす手助けをしてくれていると勘違いしている。 (長年、疑問に感じていた謎の諍いの犯人はツィアベール公国だったということか。おかしいと思っていたんだ。友好条約を結んでいる国が小競り合いを仕掛けて来るなんて……) 「おバカ大公を動かしてイリィ大陸を混乱、疲弊? で、自分ら(ターキッシュ帝国)は後から堂々とやってきて、全てを奪うだと? ケッ! クッソ最悪だな! 反吐が出る!!」 「ビアンカ、戦士モードが表に出ています」 「うわ~!! 失礼しました」  ビアンカは両手で口を押える。 「いえ、どちらのビアンカも可愛いので大丈夫です」 「ふぉっ! 可愛い!? そんなことを言ってくれるのはユリウスだけですよ。もう、マクシムだ
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・ネグリジェ

 寝室のベッドの前でビアンカは決断を迫られていた。「アンナに用意して貰いました」 ビアンカはユリウスから受け取った手触りの良い布を広げてみる。(色は私好みのライトブルーだけど……。今まで着たことが無いタイプの……)「流石に裸のままで隣に居られると私も自信がないので、それを着て下さい」「自信がない?」「はい、遮るものがあった方が安全です」(安全?―――あ、あああ~、私の苦手な男女の話か……) ビアンカはユリウスが気まずそうにしているのを見て、ようやく、このやり取りの真意を悟る。「そういう、ユリウスこそ、薄いガウンを一枚羽織っているだけじゃないですか! そのままでは身の危険があるかも知れないですよ」「身の危険!?―――ブッ、クックック……」 ビアンカのおかしな発言は彼の笑いのツボを刺激した。ユリウスは声を出して笑う。部屋に居るのは二人だけなので遠慮はしない。「――――それは……、私がビアンカにフッフフフ、押し――――されるって、ことですか? アハハハ……」(はぁ~? 何ていった? 肝心なところが良く聞き取れなかったのだが……。それにしても、ユリウス、笑い過ぎじゃないか?)「――――そうそう、そう言うことです。気を付けて下さい」 いつまでも笑っているユリウスにビアンカは適当に返す。(明日の早朝に大きな任務が控えている。ベッドでユリウスがぐっすり眠れなかったら意味がない。よし、覚悟は決めた! アンナが用意してくれた可愛いネグリジェを着るぞ!!) ビアンカは笑いが止まらないユリウスを置いて、着替えをするために隣のクローゼットルームへ移動する。♢♢♢♢♢♢ ビアンカはブラウスとスラックス脱いで、ネグリジェを手に取った。目の前にある鏡に下着姿のビアンカが映る。(え~っ
اقرأ المزيد

秘密だらけ!?結婚2日目・美しい悪魔

 ビアンカはユリウスを起こさないように気をつけながら、彼の下にあるブランケットを横から引き抜いた。(よし、これをユリウスに掛けておけば、一先ず、安心!―――あっ~!)「ユリウス、ベッドのド真ん中に寝ている……」(まぁ~、かなり大きなベッドだから、私が端の方に寝たら何とかなるだろう、多分) 疲れ切っている彼を起こしてしまわないよう、ビアンカは部屋の明かりを消してから、ベッドの端の方へそそくさと身体を滑り込ませる。 ここで一つ問題が発生した。ビアンカがベッドの上で仰向けになろうとしたら、左肩でユリウスの右上半身を踏んでしまいそうになったのである。(あ~、これはいけない! うつ伏せで寝ているのに上から押したら危険だからな。う~ん、横を向いて寝るか? いや、ユリウスを少し向こう側にズラしたら、いいんじゃないか?) 彼女は左半身を使って、じわりとユリウスを押してみた。しかし、彼はうつ伏せで眠っているので、上手くシーツの上を滑ってくれない。(これ結構、難しいな~。って、おおっ!) 突然、ブランケットがフワリと持ち上がった……。―――ドスッ。「うううっ」(お、重っ~!! な、何がどうなっているんだ!??) ビアンカは右手をブランケットから出して、自分の上に乗っかっているものを手で探ってみた。(嘘だろ~、私の上にユリウスがあおむけで寝てる……。これ、起こしたら可哀想とか言っている場合じゃないぞ……)「ユリウス、ユリウス?」「――――」 優しく呼びかけてみたが、反応がない。「ユ~リ~ウ~ス~!!」  二度目は少し大きい声で呼んでみた。「―――スゥ、―――スゥ」 残念ながら、彼の規則正しい寝息しか聞こえて来なかった。(ええええっ~、こんなことってある? 寝る前にした色気のある会話は何だったんだ!? こんなに眠りが深いなら、私
اقرأ المزيد

初共闘!!結婚3日目・聞き方を間違えた

 光を感じて瞼を持ち上げると、鮮やかなグリーンが目に飛び込んでくる。(――――ここは庭園?) 足元の芝生は同じ高さに美しく切り揃えられ、低木も規則正しく配置されている。高い木はなく、少し離れた花畑の中心にはガゼボもあった。 ふわりと甘いバラの香りが背後から漂ってきて、ビアンカは振り返る。視線の先にフードを被った子供を見つけた。子供は芝生の上に座って、本を読んでいる。(あの子はネロ?―――いや、ユリウスだ!―――ここは何処なのだろう……) 彼女は首を傾げた。 すると、見覚えのある人物がガゼボから現れ、ゆっくりと花畑の間を通り抜けてユリウスの元へ歩いて行く。(マクシム? あれはマクシムだ!! 王立学園の制服を着ている……。あの髪型は入学したばかりの頃だな。ここは過去の世界?―――それとも夢の中?) マクシムはユリウスへ何か話し掛けた。ユリウスは視線を本からマクシムの方へ上げ、嬉しそうに笑っている。(あの二人の雰囲気、仲の良い兄弟にしか見えない。ユリウス、可愛いな……) ビアンカは二人の姿を見てなごむ。「―――ビアンカ、―――ビアンカ?」(ん? 近くから、ユリウスの声がする。あのユリウス坊やではなくて、今のユリウスの声だ……)「ビアンカ、起きて下さい」「―――ユリウス……?」 ビアンカは夢の中から現実の世界へ、一気に引き戻される。バチっと目を開けると、ユリウスの顔が目の前にあった。「おはようございます、ビアンカ」 チュッ。――――彼は朝の挨拶と共にビアンカへ口づけをした。彼女は現状をまだ把握出来ていない。(あ、え、ええっと、何だったかな? ん~、んんんっ~、よく寝た……) 覚醒したばかりで、ボーッとしていたビアンカは、いつもの癖で伸びをする。ユリウスは彼女の無防備な行動を可愛いと感じつつ、疑問に思っていたことを質問した。「ビアンカ何故、私たちはここで抱き合って寝ていたのでしょうか?」 ユリウスは狭い室内を見渡す。彼の視線の先を辿り、ビア
اقرأ المزيد

初共闘!!結婚3日目・悲しみ

 チミテロ村の運河沿いにある倉庫街。午前四時はまだ真っ暗だ。 このとても治安が良いとはいえない場所に王太子妃一行は潜んでいるらしい。ビアンカはリシュナ領軍の軍服を身に纏い、大斧を担いで運河の縁に立つ。 ユリウスから聞いた作戦は至ってシンプル。こちらは彼女たちの動向を完全に把握しており、ビアンカはユリウスの転移魔法で直接、王太子妃が隠れている場所へ突入する。(魔法使いが仲間にいるとこんなにスムーズなのか!! もっと国軍と国軍魔法師団は連携すべきだ。そうすれば、無駄な血を流さなくて済む) ユリウスはその場にいるサジェとXに簡潔な指示を告げるとビアンカの手を取った。「決行!」――――瞬く間に彼女の目に映っている風景は、夜明け前の運河から真っ暗な室内へと変わる。 到着と同時にサジェが魔法で明かりを灯す。それに反応して飛び起きた王太子妃の護衛たちのハムストリングス(太ももの筋肉)を、ビアンカが撫でるように大斧で斬っていく。これはビアンカお得意の相手の命を奪わずに、戦力を削ぐ戦い方だ。 その場にいた護衛はたったの五名。制圧という言葉を使う必要もないくらいあっけない戦いだった。 奥の部屋にいた王太子妃の側にはお付きの侍女が二名。ビアンカはサジェが魔法で彼女たちを拘束しているところを仁王立ちで見守る。その間、王太子妃リリアージュはずっとビアンカを鋭い視線で睨んでいた。(王太子妃……、その目、その表情。拘束しに来た私を恨んでいるのか? だが、罪を犯したのは、あなたの方じゃないか。私は数日前まで、あなたとマクシムが幸せな国を作ってくれると信じていた。なのに、あなたは……) ビアンカは王太子妃の本性を見抜けなかった無念さより、残念という気持ちの方が強い。(どうしてこんなことになった。マクシムとの仲睦まじい姿は全て偽りだったというのか……。―――こんな悲しい結末はないだろ……) ビアンカは今後、罪人となった王太子妃との離縁を国王から問答無用に言い渡されるマクシムのことを考えると胸が痛くなってくる。(昨日の茶会でマクシムは王太子妃のこ
اقرأ المزيد

初共闘!!結婚3日目・助っ人待ち

 このイリィ大陸でツィアベール公国の領土は二番目に小さい。―――ちなみに領土が一番広いのはローマリア王国で一番狭いのはサルバントーレ王国だ。 ただ、ツィアベール公国の都、ムラーノには大陸一の国際貿易港ベリードがある。 そのため、ツィアベール公国は他の大陸との交易で多額の利益を得ており、イリィ大陸の中で一番、裕福な国という印象が強かった。今までは……。 そのムラーノは急勾配の高い山々に囲まれていて、ローマリア王国から陸路で向かう際はいくつもの難所を越えなければならない。―――結果、ローマリア王国とツィアベール公国は運河を利用して、人や荷物を船で運ぶのが主流となっている。(ごく稀に馬で荷物を運ぶ猛者もいるらしいが……。運べる量も少ないし、険しい山々を超えるのは危険が伴う。どう考えても運河を利用した方が賢い) ビアンカはベリード港が良く見える岩山の展望台から、もうすぐ朝日が顔を出してきそうな水平線を眺めていた。―――彼女は十分ほど前にユリウスの転移魔法でここに辿り着き、今は彼の部下アントンがここへ到着するのを待っている。(ユリウスはチミテロ村を出た時に急遽、助っ人を手配したといったが……) ビアンカはユリウスがどのタイミングでアントンと連絡を取ったのか、全く分からなかった。(前々から気になっていたが、魔法使いたちには何か特別な連絡方法でもあるのだろうか?)「アントンは何処からこちらへ向かっているのですか?」「ポリナン公国の片田舎からです」(片田舎・・・。いや、ポリナン公国!? だいぶん離れているぞ!!) ビアンカはイリィ大陸の地図を頭に思い浮かべる。ツィアベール公国は北東、ポリナン公国は南西、言わずもがなイリィ大陸の端と端だ。「それはまた随分と遠くから……」「そうですね」 ユリウスはビアンカに一歩、近寄る。(他国の魔法使いがユリウスの指示に従って動くということが、国軍に所属していた私には信じられないのだが……。―――魔塔とは本当に国を超えた組織なんだな) ビアンカは魔塔のことに興味が無いわけではない。だが、必要以上に追求しようとは思っていないのである。あまり知り過ぎると碌なことにならないような気がしているからだ。「ビアンカ、大丈夫です」「―――何が?」 意味の分からない『大丈夫』を言い放ったユリウスに、ビアンカはツッコミを入れる。
اقرأ المزيد
السابق
1
...
34567
...
17
امسح الكود للقراءة على التطبيق
DMCA.com Protection Status