「入りましょう」 「あっ、はい」 考え事をして警戒を緩めていたビアンカは、大きな深呼吸をひとつして気持ち落ち着かせる。そして、大斧の柄を固く握って気合を入れ直した。 ―――――牢の中はかなり広い。 魔法牢はビアンカの知る通常の牢とは違い、鉄格子は無く、天井から吊るされた六本の鎖に罪人は繋がれていた。この部屋には複数人の罪人を収容しており、互いに干渉しないよう、一定の距離が取られている。 「私はコントラーナ辺境伯爵だ。昨日、教会で襲撃事件を起こした五名と、パーティー会場で襲撃事件を起こした一名の取り調べをこれから行う。助手はリシュナ領軍所属のビアンカが務める」 ユリウスは淡々と彼らに向かって告げた。しかし、彼らは何の反応も示さない。――――ハッキリ言って、かなり態度が悪かった。 「返事をしろ!」 ビアンカは返事をしない六人を大声で怒鳴りつける。 「チッ」 六人のうちの一人がビアンカに向かって、舌打ちをした。次の瞬間、ビアンカの大斧がビュンと風を切る。 「ウギャー!」 その一振りは舌打ちをした男の額を横一文字に切り裂いた。血しぶきを派手に飛び散る。 血を浴びた罪人たちの顔は恐怖心で真っ青になった。場の空気が一気に重くなる。 (よし、良い顔になったじゃないか。しっかりと口を割れ) 「さあ、答えよ。お前たちの目的は何だ?」 ユリウスは懐から小さな杖を出し、一番右に吊るされている男へ突き付けた。 (おおお~、杖だ! 杖が出て来た!! エレガントな魔法をこんなに間近で見られるなんて、最高だ!―――ユリウスはどんな魔法を使うのだろう……) ワクワクしているビアンカの前で、ユリウスは罪人の足元に無数の蛇を出現させた。蛇はユラユラと罪人の身体を少しずつ這い上がっていく。 罪人は耐え切れずに絶叫した。 「う、うわぁ~!! 言います、言いますから〜、ぎゃあ~!」 (気持ち悪っ! 全然、エレガントな魔法じゃなかった!!) ――――ビアンカの期待はあっけなく裏切られてしまう。 「た、大公からあんたの女を始末しろと言われたんだ!!!」 「大公では分からぬ、首謀者の名を言え」 慌てふためく罪人に対し、ユリウスは冷ややかに返す。 (あれっ? 昨日、ユリウスはツィアベール公国の大公が首謀者だと話していたじゃないか。こいつらを取
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