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秘密だらけ!?結婚2日目・所属は? 2

「入りましょう」 「あっ、はい」 考え事をして警戒を緩めていたビアンカは、大きな深呼吸をひとつして気持ち落ち着かせる。そして、大斧の柄を固く握って気合を入れ直した。 ―――――牢の中はかなり広い。 魔法牢はビアンカの知る通常の牢とは違い、鉄格子は無く、天井から吊るされた六本の鎖に罪人は繋がれていた。この部屋には複数人の罪人を収容しており、互いに干渉しないよう、一定の距離が取られている。 「私はコントラーナ辺境伯爵だ。昨日、教会で襲撃事件を起こした五名と、パーティー会場で襲撃事件を起こした一名の取り調べをこれから行う。助手はリシュナ領軍所属のビアンカが務める」 ユリウスは淡々と彼らに向かって告げた。しかし、彼らは何の反応も示さない。――――ハッキリ言って、かなり態度が悪かった。 「返事をしろ!」 ビアンカは返事をしない六人を大声で怒鳴りつける。 「チッ」 六人のうちの一人がビアンカに向かって、舌打ちをした。次の瞬間、ビアンカの大斧がビュンと風を切る。 「ウギャー!」 その一振りは舌打ちをした男の額を横一文字に切り裂いた。血しぶきを派手に飛び散る。  血を浴びた罪人たちの顔は恐怖心で真っ青になった。場の空気が一気に重くなる。 (よし、良い顔になったじゃないか。しっかりと口を割れ) 「さあ、答えよ。お前たちの目的は何だ?」 ユリウスは懐から小さな杖を出し、一番右に吊るされている男へ突き付けた。 (おおお~、杖だ! 杖が出て来た!! エレガントな魔法をこんなに間近で見られるなんて、最高だ!―――ユリウスはどんな魔法を使うのだろう……) ワクワクしているビアンカの前で、ユリウスは罪人の足元に無数の蛇を出現させた。蛇はユラユラと罪人の身体を少しずつ這い上がっていく。 罪人は耐え切れずに絶叫した。 「う、うわぁ~!! 言います、言いますから〜、ぎゃあ~!」 (気持ち悪っ! 全然、エレガントな魔法じゃなかった!!) ――――ビアンカの期待はあっけなく裏切られてしまう。 「た、大公からあんたの女を始末しろと言われたんだ!!!」 「大公では分からぬ、首謀者の名を言え」 慌てふためく罪人に対し、ユリウスは冷ややかに返す。 (あれっ? 昨日、ユリウスはツィアベール公国の大公が首謀者だと話していたじゃないか。こいつらを取
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秘密だらけ!?結婚2日目・ギャップ

 金属製のドアを魔法で施錠した途端、ユリウスは膝から崩れ落ちた。「だ、大丈夫?」 咄嗟にビアンカは彼の腕を掴んでしまう。(うおっ、見た目よりも上腕二頭筋が逞しい。いやいや、そうじゃなくて!!――――俯いて肩を揺らしているようだが……)「もしかして……、笑っている?」 ビアンカは恐る恐るユリウスの顔を横から覗き込んでみる。一瞬だけ、ユリウスと目が合ったものの、勢いよく逸らされてしまった。(なっ!?) ビアンカは軽くショックを受ける。昨日から、ずっと優しくされていたからだ。しかし、その感傷はすぐに吹き飛ぶ。「ブッ、――――クックック・・・」 とうとう、ユリウスは声を上げて笑い始めたのである。それはもう盛大に……。(何をそんなに笑って……。今の取り調べに笑うポイントなんか無かったとおもうのだが? あいつら、安い金で雇われていた素人だったし、大した情報も持ってなかったし……) 眉間に皺を寄せたまま、ビアンカはまだ彼の腕を掴んでいる。離したら、ユリウスは床に転がったまま笑いそうだった。「すみません、取り乱して……。クッ、フフフッ……」「ユリウス、何がそんなに面白いのです?」 ビアンカはしつこく笑い続けている彼に呆れ半分で聞いてみる。――――ユリウスは口元を手で覆って顔を上げた。「すみません。ツボに入ってしまいました」「ツボ? 笑いのツボのこと? この取り調べで、そんなに笑うようなことはなかったような気がしますけど~」「……」 素朴な疑問を口にしてみたが、ユリウスは何も答えない。(さっき意地悪されたから、私も彼が答えるまで待ってみるか~) ジーッとユリウスを凝視して、ビアンカは彼の答えを待つ。「――――ビアンカが悪いのです
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秘密だらけ!?結婚2日目・茶会のお誘い

「あ~、張本人がいる!!」 ビアンカは隣のユリウスにしか聞こえないくらいの小声で囁く。 ミッドナイトブルーのローブを羽織ったユリウスと大斧を担いだビアンカが牢屋から、温室のある中庭に出てくると、小路の向こうからマクシムが歩いて来たのである。 ユリウスはビアンカの腕を掴んで、踵を返そうとした。「おい、待て!! 逃げようとするな!!」「チッ」(は? 舌打ちした!? 相手は王太子なのに……。ユリウス、それは流石に不遜過ぎるぞ!) 成り行きで巻き込まれてしまったビアンカと不機嫌な顔を隠そうともしないユリウスは温室の方へ向き直る。―――マクシムは走ってやって来た。「ちょうど良かった。今からこの城に残っている他国の王族と温室で茶会を始める。お前たちも一緒に来い」「……」 来いと言われたのに、ユリウスは無表情で何も答えようとしない。ビアンカは険悪な雰囲気になりそうだと焦る。(これ、誰がこの場を取り持つの?――――私? 私なのか!? はぁ~、面倒クサ~!)「ユリウス、甘いものが食べたいです」「分かりました。兄さん、温室に行きましょう」「お、お前……。まぁいい、行くぞ」♢♢♢♢♢♢♢ ビアンカは温室といっても、庭にある小屋のようなものだろうと甘く見ていた。ところが、コントラーナ辺境伯爵家の温室はとても立派な建物だったので度肝を抜かれてしまう。(これ、夜会が開催出来そうな広さだよな~) 温室の真ん中にはグランドピアノがポツンと置いてある。天井から降り注ぐいい感じの光がスポットライトのように当たっていた。 他国の王族の顔と名前は頭に入っているビアンカだが、直接、彼らと話しをするのは今回が初めてだ。だというのに、ビアンカもユリウスも制服を着ていて、お茶会で人をもてなすような恰好をしていないのが少々気になる。(こんな姿で良いのだろうか? 私たちは一応、この城の主とその夫人なのだが……)「待たせて済まない。辺境伯と夫人がそこにいたから連れて来た。服装は声を突然かけたという都合上、許して欲しい」 ビアンカの心中を察したかのようにマクシムが先手を打つ。王太子が了解を取れば、他国の王族もきっと許してくれるだろう。(思いの外、残っている王族は若い方ばかりだな) ビアノの前に円形のテーブルが二つ用意されていた。右のテーブルにポリナン公国の公子夫妻が、左の
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秘密だらけ!?結婚2日目・ポリナン公国の公子夫妻 1

「そうなの?特別に注文した大斧ではないの?」「ええ、特注品でしか力を出せない戦士など、戦場では役に立ちませんから」「なるほど!」 ビアンカの隣の座っているポリナン公国の公子夫人は目を輝かせる。彼女はビアンカを質問攻めにし、その返事を聞く度に感激している。(公子夫人、初対面の相手に対して質問攻め。これはマナー違反じゃないのか? 国防に関すること以外は答えているが……。もしや、―――この場合、バカ正直に答えるのではなく、笑顔で受け流した方が良かったのだろうか!? ただ、今のところ、ユリウスは優雅にお茶を飲んでいるし、公子も穏やかに微笑んでいるから、特に問題は起きてないはず??――――後でユリウスに怒られたらどうしよう。急に不安になって来た。――――この二人、本当にポリナン公国のイメージと全く違っていて、対応に困る……) これまでのビアンカが持っていたポリナン公国のイメージは野心的・卑怯者・策士という悪いものばかり。だからこそ、気を抜いて対峙してはいけない相手だと考えていた。しかし、同じテーブルにいるこの二人からはそういう黒い部分が微塵も感じられない。それどころか場の空気を読まず、お喋りに歯止めが聞かない公子夫人と、それを止めようともしない公子……。――――もしかして、お二人はおバカなのか? と、密かに不敬なことを考えてしまったのも事実。(これが偽りの姿だとしたら、かなりの曲者……) ビアンカはテーブルに用意されたブルーベリータルトを皿に取った。(お菓子を食べて、一旦、落ち着こう) ナイフとフォークでタルトを一口分の大きさに切って、口の中へ放り込む。「うっま!」(ああああ~! この場にふさわしくない言葉を発してしまった!! ジューシーで甘いブルーベリーに感動して、つい……) 慌てて口を押えたものの、テーブルを囲んでいる三人はしっかり彼女の口走った言葉を聞いていた。「そのタルト、そんなに美味しいのですか?」 公子は興味津々の様子。 ビアンカは口を手で覆ったまま頷く。 すると、公子はブルーベリータルトを手に取って、パクっと齧った。(手づかみ!?)「!!」 彼はとてもいい表情を見せる。――――彼に続いて公子夫人とユリウスもブルーベリータルトへ手を伸ばした。 結局、ユリウスもブルーベリータルトへ手を伸ばし、四人で頷き合いながらタルトを味
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秘密だらけ!?結婚2日目・ポリナン公国の公子夫妻 2

 ビアンカは相手が公子夫妻ということを一瞬忘れ、眉間に皺を寄せた。それに気付いた公子が口を開く。「それは私がご説明いたしましょう。お恥ずかしながら、昨年まで我が国は軍が国を掌握しており……」「待って!! 待って下さい! それはここで口にされない方が……」 ビアンカは公子の話を遮った後、チラリとユリウスを見た。彼は我関せずといった感じで、ティーカップを口へ運んでいる。―――とても優雅な所作だった。(もう!! ユリウス! こんな状態なのに知らないフリをするつもりか!? 絶対、聞いていたクセに~!!)「辺境伯夫人、ご心配ありがとうございます。しかし、王族同志で集まると皆さん意外と軽いノリで、自国内でマル秘とされている話を語られたりしますよ。―――それで先ほどの続きですが、我が国は最近まで政治の中心を軍部に握られていたのです。そのため近年、他国へご迷惑ばかりお掛けしてしまい大変申し訳なく思っておりました」(いや、もう、どうやって止めたらいいんだ!? 素直に聞いていいのか!?)「――――どのように対処すべきか困っていたところ、辺境伯夫人が将軍を倒して下さり、軍部にダメージを与えることが出来ました。おかげさまで国内の権力構造も本来の姿に戻りつつあります。――――ビアンカ様、大公の名代として厚く御礼申し上げます」「そ、それは……、どういたしまして?」 ビアンカはどういう顔をしていいのか分からなくなってしまう。(――――これ以上、政治絡みの話へ巻き込むのは勘弁して欲しい。私は一軍人であり、政治家ではない。だから、こういう場合も何と返事をすればいいのか分からない)「公子、妻(ビアンカ)は戦場において、自己判断で行動しているわけではありません。あちらにいる元帥(マクシム)の指示に従っているだけです。過分な賞賛は御遠慮下さい」「おおっと、これは失礼いたしました。大変申し訳ございません」「ええ、今後お気を付けて下されば、それでいいです」 沈黙を貫いていたユリウスは絶妙なタイミングで公子の行き過ぎた賛辞に釘を刺した。ビアンカは国軍に所属する軍人の一人に過ぎないと強調したのである。(ユリウスは私の心の中を覗いているのか? だが、公子を止めてくれて助かった。危うく、私が軍を率いてポリナン公国を救ったという美談にされてしまうところだった。褒められて調子にのったら大変
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秘密だらけ!?結婚2日目・コルネリア王女

「さあ、ここへ座れ!」 マクシムは自分たちのテーブルへやって来た二人を歓迎した。「私はユリウスとビアンカの席が隣同士になるよう、ひとつ右の席へ移動する」 マクシムが立ち上がったタイミングと合わせて、同じテーブルにいた他の二人もスッと立ち上がる。「初めまして、コントラーナ辺境伯夫人。僕はサルバントーレ王国の王子フォンデです」「――――わたくしはネーゼ王国の王女コルネリアですわ。ご結婚おめでとうございます」 ビアンカがチラリとマクシムの様子を窺うと、彼も立ったまま他の人の挨拶を聞いていた。全員がそのままの状態で挨拶を交わし始める。(あちらのテーブルとは全然雰囲気が違う。挨拶をするためにわざわざ立ち上がってくれるなんて、このテーブルにいるメンバーは律儀だな)「彼女が私の妻、ビアンカです」 ユリウスは挨拶を省き、ビアンカの紹介だけをした。「ビアンカと申します。この度は私たちの結婚式にご参列下さり、ありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」 手抜き気味のユリウスを補うように、ビアンカはフォンデ王子とコルネリア王女へお礼の言葉を伝える。(ユリウスはマクシムだけではなく、他国の王族にも塩対応なのか? このメンバーの関係性が良く分からない。――――取り敢えず慎重に対応しよう) ビアンカは隣に立つユリウスをジ~ッと見つめた。色々と確認しておきたいことがあるからである。しかし、彼は彼女の方を見ようとはしない。(いやいや~絶対、私の視線に気付いているくせに!! 無視か~!?)「では、着席して、皆で茶を楽しもう」 マクシムの声掛けで、一同は着席する。「この二人に聞きたいことがあれば、遠慮なく聞いていいぞ!」 軽いノリで口を開いたのはマクシムだった。彼はフォンデとコルネリアへ視線を向けている。(――――砕けた話し方。マクシムはこの二人と親しいのか?) ビアンカは驚いた。マクシムは王太子という立場に誇りを持っており、人前では完璧な王太子を演じている。
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秘密だらけ!?結婚2日目・出会い 1

――――今から遡ること、七年。 ユリウスの元に一通の招待状が宙から舞い降りた。――――あろうことか、それは遥か昔に滅びたとされる魔塔からの招待状で『貴殿を魔塔へご招待する。指定した日時にこちらが指定した場所へ一人で向かい、魔塔からの使者を待て』とのこと。 ユリウスはまだ十歳になったばかりだった。一人で外出するには親の許可が必要とされる年齢である。その上、ユリウスは王位継承権を持つ尊い身。そんな彼が護衛も付けずに一人で外出するなど到底、許されることではない。 それを重々分かっていたにもかかわらず、彼は魔塔からの手紙という誘惑に勝てなかった。―――だから、このことを誰にも告げず、一人で指定された場所へ向おうと決意したのだ。 予め、目立たないようなマント、鞄、靴を準備しておいた。そして、当日は早めに就寝するといって侍女たちを部屋から追い出し、ベッドに細工を施す。これで、明日の朝まで不在を勘づかれることはない。 指定された村までは私室から転移魔法で移動。この魔法は最近、友人から見せてもらった王宮魔法師団の教本を読んで習得したばかりだ。――――辿り着いたのはチミテロという小さな村。ここはツィアベール公国との国境地帯。友好国と言いながら、度々、小競り合いを起こす地域である。 時刻は七時を少し過ぎたところだった。小さいながらも村の繁華街には人出があり、飲食店からは楽しそうな笑い声が聞こえて来る。 ユリウスは明らかに子供なので、街をパトロールしている大人に出会わないよう細心の注意を払う。――――魔塔の使者はこの町の聖堂の裏で待っていると招待状に書かれていた。聖堂の場所が分からないユリウスは、街角に立っていた女性に聖堂への道を尋ねる。「お姉さん、聖堂はどこにありますか?」「ん? 聖堂? この町の者なら聖堂の場所を知らないはずがない……。――――君、もしかして、迷子!?――――ああ、絶対、迷子だ! 迷子に違いない!!」 女性はユリウスのことを迷子だと勘違いした。ユリウスは聖堂に連れて行ってもらえるのなら、他のことはどうでも良いと考えていたので、彼女の勘違いに口を挟まない。「もう夜になる。早くご家族を見つけないとマズイぞ。ここはそんなに治安が良くないんだ」 女性は心配そうにユリウスの手を握る。彼は突然、知らない女性から手を握られて動揺した。勝手に彼の身体へ
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秘密だらけ!?結婚2日目・出会い 2

 ユリウスが屈んでいると間近から激しく金属がぶつかり合う音が聞こえ始める。顔を上げたい。でも、上げることが出来なかった。――――ビアンカから屈めと強く命令されていたからだ。 状況は何一つ分からないが、今は辺りが静かになるまで待つしかない。――――ユリウスの脳裏には帝王学の教師が何度も口にした言葉が浮かぶ。『護衛される者は護衛の指示に従うこと。――――あなたが勝手な行動をすれば、その場にいる全員の命が揺らぐ。彼らはあなたを守るために命を掛けているのです』 だが、ここにユリウスの護衛は居ない。それはユリウスが密かに転移魔法を使って、チミテロ村へ来たからだ。 彼が私室に居ないと護衛達が気付いても、ここまで追跡するにはかなり時間を要するだろう。 その護衛達の代わりに自分を守ってくれているのは、先ほど出会ったばかりの見習い戦士ビアンカだ。彼女はユリウスの正体も知らないのに、彼を守ろうとしてくれている。ユリウスは急に自分の行動が愚かなものに思えて来た。「(私は魔塔の招待状というものに浮かれていたのではないか?)」 ビアンカは平服で武器も所持していなかった。恐らく、何かの見張り役でもしていたのだろう。なのに、ユリウスが現れたせいで、彼女は襲撃を受ける羽目になった。今となってはこの招待状が本物かどうかも怪しい。―――そう、これは罠だったのかも知れない。「お姉さん、大丈夫ですか?」 ユリウスは屈んで目を瞑ったまま、ビアンカへ話しかけた。辺りに多くの気配を感じ、恐怖心が募る。「大丈夫だ。そのまま、動くなよ!!」「はい」 大きな音や振動を感じつつ、ユリウスはビアンカの言い付けを守る。「襲撃を受けてから、どのくらい時間が経った? 五分、十分? それよりも……)」――――ユリウスは極度の緊張で、時間の感覚を失いそうになっていた……。「ネロ、もう大丈夫だ。顔を上げていいぞ」 両肩を優しく掴まれた。ビアンカの手からぬくもりが伝わってくる。 ユリウスはゆっくりと目を開いた。「!?―――お姉さん!!」 ユリウスはゾッとしてしまう。 ビアンカが返り血を浴びて、悲惨な状態になっていたからだ。 また、辺りを見回してみると、彼女が倒したであろう死屍累々……。「――――ビアンカ~!!大丈夫か!!」 ユリウスがあまりの惨状に絶句していると、少し離れたところから彼
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秘密だらけ!?結婚2日目・出会い 3

 続けて、ユリウスは襲撃現場から立ち去った後のことを話していく。「あの後、護衛と共に王宮へ戻ると、父が私を待ち構えていて、厳しく叱られました。その場に宰相も同席していたので、一部始終を話し、ビアンカが欲しいとお願いしたのです」(迎えが来て、王宮に戻った!? 宰相が隣に居る父親って……。まさか……)「七年間もビアンカ様を思い続けていらしたのね……」「ええ、そうです。宰相は子供の戯言だと最初は相手にしてくれませんでしたが、私はビアンカが欲しいと言い続けました」 ユリウスはビアンカの方を向いて、優しく微笑む。(話を作ってくれとは言ったが、ここまで完璧に作り上げるとは……。しかも、これは結構……、というか、まさかの実話……)「花嫁の父というのは花婿に厳しいと良く聞きますけど……、辺境伯は努力なさったのね」 コルネリアの目じりには涙が浮かんでいる。――――ビアンカは隣にいるユリウスが、あの時の少年という事実をまだ受け止め切れていない。(ユリウスがネロ……。本当に? だけど、確かにあの襲撃事件で私は……。ユリウス、あなたはどれだけ沢山の秘密を抱えているんだ!? 王宮で待っていた父とは国王のことだろう? だったら、ユリウスは国王の子で、双子は公爵の子……。―――いや、これは……、ダメだ、口にしたら首が飛ぶ! 真実を暴きたいけど、暴いたら私まで大変になりそうで、暴きたくないというか、何というか……。ああああ~!!) ビアンカの心中は荒れていた。昨日、結婚した夫がヘビーな秘密を多く抱えていると知ってしまったからだ。「で、夫人はユールをどう思ってるの?」 軽い口調で聞いて来る、フォンデ。「それは私も聞きたいですね」 あろうことか、フォンデの質問にユリウスが同調した。(いや、フォンデ王子と仲が悪いんじゃなかったのか!?)「わたくしも~」 そして、コルネリアも期待の眼差しでビアンカを見つめて来る。ただ、マクシムだけは険しい顔をして口を閉ざしていた。 ビアンカはマクシムを見て、ここが公の
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秘密だらけ!?結婚2日目・心を通わせたい 1

「今日は雲が多いですね」とユリウスが言い、「確かに」とビアンカが相槌を打つ。 約束通り、今夜は薔薇の花びらを浮かべた浴槽に二人で浸かっている。――――昼下がりに突然、招かれた茶会も何とか無事に終えることが出来た。(いや~、今までないくらい気を遣った~!! いきなり他国の王族と茶を飲むなんて、三日前には想像もしてなかったからな。――――いやいや、結婚することさえ知らなかったのだから、当たり前だ! しかし……、流石に結婚したという実感が湧いて来たぞ。―――それにしても、ユリウスがあの時の少年だったなんて、いや~、衝撃だな……。そんな重要なことを後出しにして来るユリウスは、やはり曲者……)「この様子なら明日は雨が降るでしょう。ビアンカ、残念ですが朝の訓練は中止です」(そんなの初めて聞いた。寧ろ、荒れた天気の方が訓練日和……)「雨天中止なんて、軟弱過ぎる……」 呆れた声を出すビアンカ。そんな彼女を諭すようにユリウスはリシュナ領軍の事情を話し始めた。「ビアンカ、リシュナ領軍が雨天時、訓練を中止にするのは軟弱だからではありません。この城の立地を考えてみてください。リシュナ領の大半は峡谷と言われる険しい地形です。このあたりの岩場は長年、雨風に晒されて侵食が進み、崩れ易いのです。そのため、雨天時はリシュナ領軍の団員たちが手分けをして領内の見回りをするのです」「―――なるほど……」(言われてみれば、確かにこの城も峡谷の上に聳えているし、下に見えている川は幅も狭く、雨が降ったら直ぐに暴れ出しそうだ。―――リシュナ領は訓練よりも領民を守ることを優先する。これは素晴らしいことだ。――――馬鹿にした態度を取った私の方が馬鹿だった……。日々、訓練ばかりしていて、何を大切にするのかということを見失っていたかも知れない)「考えが足りなくて、不快な発言をしてしまいました。申し訳ありません」「いえ、分かっていただけ
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