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いきなり結婚!?結婚1日目・国家機密の謎 1

 各国の王族を部屋へ案内したものの、この城に滞在するのは不安だという声が噴出。 結局、ほとんどの王族が国王夫妻やピサロ侯爵一家と共に転移魔法陣で王都へ去り、数名だけがこの城に残ることになった。(王宮もあんな大人数で急に押しかけられて、ひっくり返っているだろうな。ただ、安全面を考えたら、文句なんか言えないか……) 今夜、この城に泊まる王族は王太子マクシム、サルバントーレ王国の王子フォンデ、ポリナン公国のビセンテ公子とその妻エスペランサ、ネーゼ王国の王女コルネリアの五名。 また、国内外の貴族たちについては転移魔法陣のキャパの問題もあり、辺境伯城に留まってもらっている。今後、数日に分けて、王都に移動させる予定とのこと。(この状況でここへ残ろうと思った王族メンバーはマクシムを除いて、危機感がない者や変わり者しかいなさそうだ~な~。ふぅ……) 今、ビアンカはぬるいお湯をたっぷりと入れた浴槽に浸かって疲れを取っている。朝から慣れない服を着せられ、訳の分からない状況に流され続けた。――――それなのに特別任務に関する情報は何も得られていない……。「マクシムのバーカ……、本当にムカつく野郎だ!」 ユリウスがベリータ嬢を床に沈めた後、ビアンカはマクシムに『王太子妃との間に何かあったのか?』とストレートに聞いた。 しかし、彼はビアンカの質問を無視して『本日発生した襲撃事件の捜査は打ち切ってくれ』とユリウスに命じたのである。 このやり取りはビアンカを猛烈にイラつかせた。(お蔵入りにするには目撃者が多過ぎる。それに敵が私を狙う理由くらいは知りたい。――――もしかして、原因を作ったのはあいつ(マクシム)なのではないか? あいつが度々私を王宮に呼び出すから、王太子妃が私達のことを男女の仲だと疑って……。しかし、変な勘繰りをされないよう、常日頃から私とマクシムは一定の距離を取っていた。――――と、考えるとこの嫉妬説は現実的ではないな……) ビアンカは前髪をかき上げる。美しいアメジスト色の瞳が露わになった。(他の可能性としては、王太子妃を誰かが唆したとか……。んっ
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いきなり結婚!?結婚1日目・国家機密の謎 2

 ユリウスは浴槽の奥にある窓を指差す。 ビアンカはお湯に浸かったまま窓の前に移動し、夜空へ目を向けた。最初は真っ暗で何も見えなかったが、慣れて来ると無数の星が視界に浮かび上がって来る。(うわ~、星の数が半端ない!! 凄く綺麗だ!!)「こうするともっと良く見えます」 パチン! ユリウスが指を鳴らすと浴室の明かりが消えた。――――漆黒の闇に星々が神々しく瞬いている。ビアンカは夜空へ吸い込まれそうな感覚がした。「ビアンカ、星の輝きに魅せられて遠くへ連れて行かれないように気を付けて」「はい、勝手な行動をしたりはしません」(野営で見た空も美しかったが、この城から見る夜空は格別だなぁ~。それに湯に浸かったまま見られるというのもポイントが高い!) ユリウスの甘い言葉もビアンカには上手く伝わらない。「毎晩、ここから星を眺めたいですね」 彼はもう一押ししてみる。(そう言えば、ユリウスと星空を毎晩一緒に眺めるという約束をしたな。しかし、ここから見るということは、毎晩一緒に風呂へ入ると言うことか? いや、本気か!?) ビアンカは今日一日、ユリウスに聞きたくて仕方なかった質問をとうとう口にした。「ユリウス、この結婚は本当の結婚じゃないですよね?」(マクシムは辺境伯の指示に従えと言った。だから、ユリウスの答えによって今後、私のすべきことが変わって来る) ビアンカは真っ暗闇でユリウスの答えを待つ。「本当の結婚以外に何があるというのでしょうか?」「……」 一番あり得ない答えが返って来た。ビアンカは絶句する。(この結婚が嘘ではないというのなら……) チュッ。 混乱しているビアンカの頬へ、ユリウスはキスをした。「!!!!!」 チュッ。 今度は反対の頬に……。「ま、待って! ちょっと頭を整理させて!!」 慌てふためくビアンカ。――――この場
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いきなり結婚!?結婚1日目・助言 1

 浴槽に沈んだまま、ビアンカはユリウスのことを考える。(私はユリウスと過去に会ったことがあったのだろうか。 うーん、全く覚えがないぞ。――――あの美しい顔を見て忘れる? いや、それは無いだろ。市井に現れただけで騒ぎを起こしそうな顔だ。やはり今日初めて会ったのではないか。結婚したかったとか好意を持っていたという話は、私を揶揄うつもりだったのかも知れない。そもそも、ヴィロラーナ公爵家とも……。うわああっ~」 ザバッ! ユリウスはなかなか水中から上がって来ないビアンカの腕を掴んで、湯の中から引き揚げた。 今、二人は真っ暗な浴室で浴槽の中に立っている。幸いなことに照明を落としているため、真っ裸を堂々と晒すような事態にはなっていない。 ビアンカはユリウスの腕を振り解いて、彼に背を向けた。――――見えていないとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしいのである。「ビアンカ、暗闇で湯の中に潜るのは危険ですから止めて下さい」「――――」 ユリウスはビアンカへ注意した。しかし、彼女は斜め上な受け取り方をしてしまう。(『危険です』と注意をされるのは久しぶりだな……。まぁ、真冬に川を渡れと言われた時に比べたら、ぬるいお湯に潜るくらいたいしたことじゃないと思うぞ。ユリウスは過保護なのかも知れないな。――――危険と言えば、冬場の山岳行軍訓練に勝るものはない。あれは本当に辛い。何日も携帯食しか食べられないし、勿論、風呂も無いから身体が冷えきってしまう。毎年、凍死する者も出ていることだし、速やかに防寒対策を考えた方が良いと思うぞ。――――しかし、もう、私は国軍の所属ではないのだった。もう少し早くマクシムに進言しておけば良かった……。で、私がリシュナ領へ転任したことで指揮官のポストに一つ空席が出来たが、次の指揮官はもしかしてマリオか? そういえば、あいつに嘘を吐いたんだった。夜が明けて、私が本当に結婚したことを知ったら、あいつ滅茶苦茶、驚くだろうなぁ~)「ビアンカ、もしかして具合が悪いのですか?――――そろそろ上がりましょう。私が来る前から湯に浸かっていたのでしょう?」 ユリウスは再び、ビアンカの腕を掴む。彼女が立ったまま黙り
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いきなり結婚!?結婚1日目・助言 2

「ああっ、大丈夫ですか? 慌てず、ゆっくりと呼吸を整えて」 ビアンカが突然むせたので、ユリウスは彼女の背中をさすった。(無許可で風呂へ一緒に入った挙句、裸(ら)で運んでおいて……。今更、面と向かって確認するだと!?)「――――それは拒否してもいいのですか」「出来ないかも知れないですね。普通は」「なら、聞かなくて良くない?」 ビアンカは口を尖らせている。―――彼女の様子を見て、ユリウスは先ほどマクシムに呼び止められた時のことを思い出す。「ユリウス、ちょっといいか」 大広間の処理を終え、ビアンカの元へ急いで移動しようとしたところでマクシムに声を掛けられた。「急いでいますので、失……」「いや、そこは立ち止まるところだろ」「手短にお願いします」 逃げようとしていることを隠さないユリウスに、マクシムは苦笑いを浮かべる。「大事なことだ。聞いていけ」「分かりました。簡潔にお願いします」「ビアンカの件だ。彼女と結婚して浮かれているのかもしれないが、一つ気を付けて欲しいことがある」 ユリウスはこの話は長くなるだろうなと、心の中でため息を吐く。「ビアンカはお前が思っている以上に初心だ。彼女は今まで男と付き合ったことがない」――――そんなことは言われなくても知っていると、ユリウスは心の中でマクシムへ言い返す。「そうですか」 ユリウスは感情のない相槌を打つ。「少女時代に国軍の宿舎へ入ったビアンカを心配したピサロ侯爵は、密かに彼女専用の護衛を付けて監視し、不埒な者が近づかないようにしてきた。だから、彼女は今まで男性と親しくなる機会がなかった」「なるほど」 返事は一応したが、ビアンカを監視していたのはピサロ侯爵だけでない。デイヴィス(ビアンカの兄)が彼女に色目を使った男たちを苛烈な方法で潰していたことをユリウスは知っている。 例えば、軍の中でビアンカに好意を持って近づいた奴は突然、戦闘の激しい秘境に飛ばされていたし、貴族男性の場合は男爵令嬢を使ってハニートラップを仕掛け、既成事実を作らせて結婚させるという恐ろしい作戦もあった。 女戦士ビアンカの軍人としての功績は華々しい。 だが、それ以前に彼女は名門侯爵家のお姫様で、一人娘で、兄の大切な妹なのである。「ここからが大切な話だ。ユリウス、事を早く進めようとするな。ビアンカは純粋だ。きちんと心
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いきなり結婚!?結婚1日目・薔薇の花びら

「私は隣の書斎で寝ます。ビアンカは寝室を使って下さい」 ユリウスは話しながら、ビアンカに三杯目の水を渡す。 グラスを受け取ったビアンカは彼に一つお願い事をした。「ユリウス、浴室の脱衣所に置かれたままになっている私の相棒……」 ドン。 二人の前に大斧が現れた。(迅速オブ迅速!!まだ、お願いしますとも言ってな~い!!)「配慮が足りませんでした。これで良いですか?」「――――はい、ありがとうございます」 ビアンカは大斧へ手を伸ばし、柄をギュッと握り込む。(やはり、これがあると心が落ち着く……) 自然に笑みがこぼれるビアンカ。ユリウスも目じりを緩める。「明日の朝、また会いましょう。この部屋にあるものは好きに使って下さい」「はい」「では、おやすみなさい」 チュッ。「!!!!」    ビアンカのくちびるを予告もなく奪ったユリウスは、そのままスッと姿を消した。「もう!! ビックリしたー!」 ビアンカは両手で顔を覆う。「隣の部屋なら、別に消えなくてもいいじゃないか~」 一日中一緒にいたので、急に消えられると何となく寂しい。(でも、同室じゃなくて良かった。このまま、朝まで一緒にと言われたらどうしようかと……) ビアンカは姿見に映っている自分の姿を見詰める。 白いバスローブを羽織っているだけで、下には何もつけていない。肩口で切り揃えられた黒髪はユリウスが乾かしてくれたお陰でサラサラだ。しっかりと施されていた化粧も落として、いつもの顔に戻っている。(うーん、父上似のこの顔、そんなに悪いつくりではないと思うが、美女といえるほどのものでもない。そして、彼は私を抱き上げた時、左胸に走る古傷も見たはず。――――ユリウスはこんな女の何処がいいのだろう。――――彼は自分が美し過ぎるが故、感性がおかしいのか? まぁ、それなら納得出来る。うーむ、もしそうなら、私にとって非常に都合の良い展開でしかないの
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秘密だらけ!?結婚2日目・お目覚め 1

「――――ビアンカ、ビアンカ」(今日は早番だった?いや、次の早番は二日後……)「朝です」(ん? やっぱり、今日は早番だったのか???)「マリオ……、もう少し寝させて……」「マリオって、誰ですか!!」 ユリウスの強い口調でビアンカは一気に覚醒した。目を開けると、至近距離からグレーの瞳がこちらを見ている。――――透明感が半端ない……。ビアンカは目の前にある美しい顔をジーッと眺めてしまう。「……」「ビアンカ?――――新婚一日目の朝に、他の男の名を聞くことになるなんて思いませんでした」 拗ねたような口ぶりだった。(な、なんて、あざとい顔をするんだ!! カッコいい、美しいに加えて、可愛い顔まで出来るのか!?ズルい……) ビアンカは胸がキュンとしてしまったことは隠し、彼が抱いた不満に対する言い訳を始める。「マリオは私の部下です。男と言えば男ですが、恋愛対象ではありません」「――――では、私がビアンカの隣に寝ていたとして、他の女の名前を寝起きに呼んだら、どういう気分ですか?」(ユリウスが私の隣で???) ビアンカは想像してみた。 自分の隣で、ユリウスが羽毛のようにフワフワの睫毛を震わせて『アリア……、もう少し眠らせて……』とかすれ声で甘ったるいセリフを吐くシーンを……。「ギャー!! 甘い!! 甘すぎるー!」 妄想が膨らませ過ぎて耳まで真っ赤になったビアンカは照れ隠しに掛け布団をギューッと抱き締めた。「あっ!!」「あああ~!!」 驚いたユリウスと失態に気付いてしまったビアンカの声が重なる。―――ビアンカが掛け布団を抱き込んだせいで、彼女の身体が露わになってしまったのだ
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秘密だらけ!?結婚2日目・お目覚め 2

 突然スンとしてしまったユリウスをどうしたらいいのか。ビアンカは何か明るい話題でもと考える……。――――コンコン。 ドアをノックする音がした。「アンナでございます。朝食をお持ちいたしました」「朝食?」「私が頼んでおきました」(いつの間に!? というか、今、部屋に入って来られたら……) ビアンカはゾッとする。(本当に初夜のアレコレで部屋に籠っていたと思われてしまうじゃないか~!!) ビアンカは両手で顔を覆った。ユリウスは彼女の懸念を何となく察する。「アンナ、少し待て」「承知いたしました」 ユリウスはベッドの天蓋カーテンをサッと引く。これでビアンカの姿をアンナに見られる心配はなくなった。(ユリウス、本当に気が利く……) ビアンカはホッとする。「よし、入っていいぞ」「はい、失礼いたします」 アンナがワゴンを押して部屋の中へ入ってきた。「あちらのテーブルが宜しいでしょうか? それとも、ベッドの上で召し上がられますか?」「配膳は不要だ。下がっていい」「承知いたしました」 アンナはワゴンをサイドチェストの前に置く。「では、ごゆっくりお召し上がりくださいませ。失礼いたします」 ユリウスに一礼して、アンナは去る。安堵したビアンカはフゥ~と一息ついた。ユリウスはカーテンを開いて、ビアンカに尋ねる。「ビアンカ、朝食にしましょう。何か羽織りますか?」「はい、欲しいです」 ユリウスはクローゼットルームに行って、シルクのガウンを取って来た。そして、それをビアンカの肩に掛ける。(スベスベサラサラだ! 色も私の好きなアイスブルー。良かった~、ピンクとかじゃなくて……。可愛い色は残念なくらい似合わないからな! そもそも、黒髪と紫色の瞳が良くないん……)「ビアンカ、パンケーキはお好きですか?」(うわっ、ビックリした!! あ~、甘い香り!!)「パンケーキは大好きです! え~っ、こ、これが、朝ご飯っ!?」 ユリウスがベッドに持って来た大きなトレーにはたっぷりの生クリームといちごがトッピングされたパンケーキ、ベーコンと目玉焼きと焼き野菜、生野菜サラダ、そして、カットフルーツの盛り合わせがのっていた。(国軍の食堂の朝食は固いパンとゴロゴロした肉と野菜のスープが定番だ。こんなにキラキラしている朝食なんて、絶対に出ない!!!) ビアンカは素敵な
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秘密だらけ!?結婚2日目・聞いてみたくなるのが人の性 1

「辺境伯ご夫妻、この度はご結婚おめでとうございます」 結婚のお祝いを述べたのはユリウスの父リカルドだった。 この御方は元王女(現国王の妹)レティアのハートを射止めたヴィロラーナ公爵だ。お二人の恋物語は歌劇にされ、王国で人気の演目となっている。―――――そして、元王女である母と兄もこの場に同席していた。 ユリウスがビアンカに手伝って欲しいことの一つ目は、ヴィロラーナ公爵家との顔合わせである。 花婿の親と顔合わせをするのは当たり前と、ビアンカは二つ返事で引き受けたのだが……。 (ユリウスが遠慮がちに顔合わせへ出て欲しいというから。何事かと思えば……。これは……うん、色々と想像してしまうな) 今、ビアンカが困惑しているのは、ユリウスの兄マリウスのことである。 ビアンカがマリウスと会うのは今回が初めてだ。 ―――で、そのマリウスなのだが、彼はビアンカの友人兼上司でもある王太子マクシムと瓜二つの姿をしていた。 そう、まるで、双子のように……。 (いや、従兄弟だからな。別に似ていてもおかしくはない。だが、それにしても……。これ、このままの姿で影武者が出来るレベルだぞ) 色々な疑惑がビアンカの脳裏に浮かんでくる。 (まさか……、マクシムと双子だとか言い出したりしないよな?――仮にそうだとして、何故、王家と公爵家で二人を分ける必要がある?―――いやいやいや、そこまで考えたら、ダメだ! 不敬どころじゃない。たまたま、二人が似ているだけ! きっと、そうだ!! 多分……) ビアンカは窓の外に目を向け、気持ちを整える。―――外は雲一つない良い天気だった。 「ビアンカさん、初めまして、レティアです」 ヴィロラーナ公爵夫人のレティアは優美なカーテシーをする。 (流石だ。品格がある) 「初めまして、ビアンカです」 ビアンカは利き手の拳を胸に当て、頭を垂れる。 これは軍人式の礼だ。ヴィロラーナ公爵家のメンバーは彼女が軍人だということを承知しているため、特に驚く様子は見られなかった。 「ヴィロラーナ公爵及び夫人、祝いの言葉を受け取る」 ユリウスは能面のような表情で、両親を相手に堅い言葉を投げかける。隣に立つビアンカはユリウスの言動に驚いた。 (何故、ユリウスは両親を相手にピリついた空気を出した?――――この場は公式なものではなく
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秘密だらけ!?結婚2日目・聞いてみたくなるのが人の性 2

 地団太を踏みたい気分だったが、何とか引き攣った笑顔を浮かべて耐えるビアンカ。勿論、顔は真っ赤のままである。「承知いたしました。私達はここで失礼いたします。本日はお時間をいただきありがとうございました」 三人を代表して、ヴィロラーナ公爵が挨拶を述べると、即座にアンナは出入口のドアを開く。(い、いや、アンナもそんな……、あからさまに追い出すようなことを……) あまりにも、歓迎していない雰囲気を醸し出そうとするユリウスや侍女の行動にビアンカは困惑してしまう。(ここまでしたら、失礼だろう。相手は親である前に元王女と公爵閣下だぞ!?) 部屋から出て行く直前、レティアはビアンカに声を掛けた。「ビアンカさん、子供たち共々、今後もどうぞよろしくお願いします」「――――いえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」 ビアンカは態度の悪いユリウスの代わりに、しっかりと笑顔で感謝の気持ちを伝える。レティアはビアンカに優しく微笑んだ後、ヴィロラーナ公爵たちと部屋から出て行った。♢♢♢♢♢♢♢ 二人だけになった部屋で、ビアンカは早速、彼を問い詰める。「ユリウス、どういうことですか!」「何のことですか?」(堂々と、とぼけるだと~!? また、何も教えてくれないつもりなのか!?) 平然と澄まし顔で答えるユリウスにビアンカはイラっとした。「色々と聞きたいことがありますが……。一番知りたいことから尋ねます。ユリウス、家族と仲が悪いのですか?」 ビアンカは彼の顔を覗き込んだ。素直に答えてくれない相手なので、少しでも表情から心を読み取ろうという作戦である。「そんなことはないです。どこのご家庭もこんなものでしょう」「いいえ、かなり冷めた関係に見えました」「そうですか。それは良くないですね」 ユリウスは他人事のような返事をしたあと、顎に手を置いて考え込む。 残念ながら、ここまでの発言と表情には全く隙がなかった。ビアンカは彼が何を考えているのか皆目見当も付かない、(うーん、ダメ元だけど、マリウス兄上のことでも聞いてみるか?)「あのう、少し突飛な質問をしても?」「どうぞ」「殿下と兄上が双子だなんてことは……?」「それは真の国家機密なので答えられません」 ニヤリと笑うユリウス。ビアンカは血の気がサーっと引いていく。(これ……、絶
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秘密だらけ!?結婚2日目・所属は? 1

大斧付きの仁王立ちで待っているビアンカの前に、ミッドナイトブルーのローブを羽織ったユリウスが現れた。 彼の二つ目の頼み事は、昨日の刺客の取り調べを一緒にして欲しいというもの。 マクシムはこの件に関する捜査の中止を命じた。だが、ユリウスは彼の命令を無視するつもりらしい。 正直なところ、ビアンカもこれを有耶無耶にして良いことなどひとつもないと思っている。だから、快く引き受けることにした。 (私は二度も命を狙われたし、爆発騒ぎまで発生した。これを『打ち切ってくれ』の一言で片付けようとするなんて、マクシムは虫が良すぎる。もう少し丁寧に経緯を説明してくれたら、また違ってくるのかも知れないが……。それでも打ち切るという選択肢はない!) 英雄ビアンカの辞書に罪人を見逃すという言葉はないのである。 (それはそうと、ユリウスはまた一段とカッコいい姿をしているじゃないか。で、あのローブは一体、何処の……) ローマリア王国では王国魔法師団は深紅のローブ、王宮魔法師団は漆黒のローブを纏う。 ――――イリィ帝国が滅びてから五百年。 昨今は魔法使いが一人生まれれば、その家門が繁栄すると言われるくらい魔法使いは希少な存在だ。そのため、ローマリア王国だけではなく諸外国も彼らをかなり大切にしている。 これは生を受けた時から魔法使いはエリート街道を約束されているということだ。 一方、特殊能力不要、根性があればオッケーの国軍に所属する軍人たち。彼らには地位も素晴らしい待遇も用意されていない。 ただ、その国軍にビアンカは少女時代から飛び込み、日々の努力と豪傑さで多くの武勲を積み上げ、英雄という称号を手にした。才能があったのだろうと言われてしまえばそれまでだが、誰よりも努力してきたという自負はある。 (ここは相手が超エリートの魔法使いだとしても、国軍の代表として堂々と聞かなければならない) ビアンカは質問をはぐらかされないよう、自然な感じで彼に尋ねてみた。 「ユリウス、所属は?」 (おそらく、私の知らない組織だろうけど……) 「私は魔塔に所属しています」 「――――まっ、魔塔!? 本当に!!!」 「はい」 魔塔というのは、イリィ帝国時代に存在していた魔法研究所のことである。 歴史書は帝国が解体された際に魔塔も消滅したとビアン
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