翔平はふと顔を上げ、美羽へ視線を向けた。美羽は彼を視界に入れないようにして、柚葉に尋ねた。「柚葉ちゃん、お腹いっぱいになった?」柚葉はこくりと頷いて言った。「うん、いっぱいだよ」美羽がティッシュで柚葉の口元を拭くと、柚葉は小さな首をかしげ、その小さな口をすぼめたままされるがままになっていた。柚葉の愛らしい姿を見て、美羽は思わず微笑んだ。今すぐこの可愛らしい子にキスをしたいほどだ。口元を綺麗に拭いてやると、不意に視線を感じて見上げた。目の前に座る翔平と目が合った瞬間、美羽から笑みが消える。彼女は立ち上がると、柚葉を抱き上げてそのままダイニングを出て行った。その様子を椅子に座ったまま見ていた翔平は、美羽の後ろ姿を見つめながら、冷めたような低い笑いを漏らした。昼食を終えて、3人は車に乗り、乗馬クラブへと向かった。柚葉はずっと上機嫌だった。美羽と翔平の険悪な関係は相変わらずだったが、柚葉の前では二人ともそれを見せないよう努めていた。車が出発して20分ほど経つと、柚葉はこっくりこっくりとうたた寝し始めた。翔平が柚葉を胸に抱き寄せ、背中をポンポンと叩くと、すぐに彼女は深い眠りに落ちた。車内には静寂が訪れた。美羽は窓の外へ目をやる。翔平は柚葉を片手で抱えたまま、反対側の窓の外へ顔を向けた。翔平と美羽は何も語らなかった。乗馬クラブは車で50分ほどの郊外にある。天気は穏やかで、心地よい風が吹いていた。曇り空のおかげで直射日光も強くなかった。乗馬クラブに到着すると、柚葉は更衣室で乗馬用ウェアに着替えることになった。翔平が美羽を見て、今日初めて彼から口を開いた。「女性用のウェアもあるけど、着替えないか?」美羽は冷ややかな目で翔平を見つめ、首を振った。「結構です。私は乗馬をしないので、柚葉ちゃんの側にいるだけで十分です」翔平はそれ以上しつこく勧めず、更衣室へ向かった。美羽は柚葉の着替えを手伝うため、一緒に更衣室に入った。小柄な柚葉が乗馬ウェアをまとい、帽子をかぶると、可愛らしさの中に凛々しさが漂っていた。着替えを終えて外へ出る。すると、翔平もすでに乗馬ウェアに着替えていた。クラシックな白黒コーデだ。190センチの長身で、鍛え上げられた均整の取れた体躯。広い肩から引き締まった腰へと流れる美
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