隆の後ろ姿を追い、デイビッドは隣にいた翔平に問いかける。「彼はイヴリンのことが好きだと思うか?」翔平が聞き返す。「そっちはどう思う?」デイビッドは言った。「男の直感だと好意を感じるけれど、イヴリンの方はあくまで『社長』だと言っている。脈なし、ってことかな?」翔平はかすかに笑う。「もしくは、好きな男が多すぎて誰にも絞り込めていないのかもな」デイビッドは首を傾げて、訝しげに翔平を見た。「でも、イヴリンがそんな人間には見えない。ただ瑠衣さんと揉めたからって、そんな風に言うのか?」翔平は言った。「俺が評価するに値する相手じゃない。ただ、お前は騙されて痛い目を見ないようにな」デイビッドは笑った。「翔平はイヴリンに対して当たりが強すぎるよ。女性にはもう少し優しくした方がいい。それに、万が一イヴリンに嵌められたとしても、それでもいいと思ってる」「いつからそんなお人好しになったんだ?」「いつだって善人でありたいのさ」翔平は答えず、薄く笑って言った。「忠告しておく。あの女は、独身じゃないぞ」デイビッドはそれを聞いても驚いた様子はなく、こう言った。「僕がアプローチした時、確かにイヴリンは既婚だと言ったよ。でも、その旦那さんがろくでもない男だと聞いたんだ。イヴリンほど美しく魅力的な女性をないがしろにするなんて、よっぽど目も頭もイカれてるんだろう」デイビッドはそう言ってのけたが、目の前に立つ翔平の表情が冷めきっていることには全く気づいていなかった。デイビッドが少しばかり内情を知っているのは紗良のおかげだった。美羽を通じて紗良と知り合い、紗良に美羽のことを尋ねる中で、紗良が溜息混じりにこぼした愚痴を聞いていたのだ。「もっと早くイヴリンと出会っていればよかった。そしたらクズ男と苦労することもなく、あんなに傷つかずに済んだかもしれない。傷ついた女性ほど守ってあげなくちゃね」話しながらデイビッドが横を向くと、翔平の異変に気づいた。「翔平、どうした?」翔平は冷たくせせら笑うと、大股で立ち去ってしまった。デイビッドはポカンとするしかなかった。隆が部屋の前に着くと、美羽がドアを開けた。隆は美羽の顔色が悪いことに気づき、慌ててベッドへと連れていくと、コップに水を用意した。「医者を呼ぶ」美羽は水を受け取ったものの、ひどく憔悴しており
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