Todos los capítulos de 死神上司の危ない…キス💋私に魔力は効きませんが?: Capítulo 11 - Capítulo 20

33 Capítulos

11.キスの意味

こんな場所で…こんな場面で…気持ちいいと感じてしまうなんて…!神西の唇が、やわやわと自分の唇に触れ、擦れ…吸われ…舐められて…熱い吐息を漏らした次の瞬間、鼻を突く焦げ臭い匂いに気づいた。「ま、待って…」慌てて唇を離した凛花から、おとなしく離れた神西。「…消化器…!」鮫島が慌てて走ってきて、凛花はすぐそばにあった消化器に気づいた。店のスタッフがすぐにそれを持って走っていき、凛花もそれに続いた。「…どうして、こんなところで」それは、いくつかあるテーブルのうちのひとつ。火が上がったのは、比較的小さなテーブルだったという。「…誰も、タバコを吸ってた人はいなかったらしい」「このテーブルにいた人は…」青ざめる鮫島に確認すると、彼よりも早く、数人の社員が名乗りを上げてくれた。「…あと、神西課長もいたんだけど、いつの間にか姿を消してて」1人の女子社員がそう言って、あたりを見渡す。つられて同じように視線を彷徨わせた凛花の目に、神西が立っている姿が映った。「…神西課長〜どこに行っちゃったんですかぁ?私、怖かったですぅ…」両手を胸元で握り合わせ、内股で近づいてくる女子社員を、神西はスッと避ける。「…君、酒と男には注意して生きて行くといい」「…え?」一瞬、神西の目が金色に光った。それが見えたのは、凛花だけのようだが…「ずいぶん酒もすすんだだろう。そろそろ会はお開きにするぞ」社員たちを帰し、幹事の凛花と鮫島、そして神西が店に残った。「テーブルの代金はいくらになりますか?私が弁償します」真ん中あたりに焼け焦げた跡があり、確実に廃棄処分になると思われるテーブルを指し、神西が店のスタッフに言った。「いえ…他に被害はありませんでしたし、火が上がった理由もわからないので…」店のスタッフはこちらの責任ではないと言ってくれた。「ただ…このボヤ騒ぎのことを、SNSとかで拡散されると困るんですけど…」「それなら大丈夫です。すでに対応済みです」即答する神西を、鮫島と一緒に不思議に思いながら見つめる。…凛花には、先ほどからの神西の言葉の意味が想像出来た。「例えば…みんなの記憶からテーブルのボヤを消したとか」「まぁ、軽くな。なかったことは拡散もされないだろ?」マンションに帰り着き、背の高い後ろ姿に話しかけると、思った通りの答えが返ってきた。「あの
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12自分でもよくわからん、

「あの、神西課長…まだお酒が残ってるんですか?」「は…?これは、君が嬉しかったと言ったからだが?」口元に手をやり…無意識に赤い顔を隠そうとしている?…あ、あの死神上司の頬が、ハッキリと赤くなっているのだ。「なんというレアな…」思わず携帯を構えそうになって、さすがに写真は失礼だと思い直す。「俺だって、困っている。君が柔らかくて抱き心地がいいと知ってから、ちょっとおかしい」「え…」これは、神西のストレートな本音だと感じた。「それじゃ、さっきの…キスは?」焦げ臭い匂いに気づいて駆けつけようとしたのに、腕を引かれてキスをされた。あれは…忘却のキスでも操作のキスでもなかった。「鮫島が近づいているのが許せなかった。腹がたった。…気づいたら火を起こしていて、君にあんなキスをした」嫉妬の炎と本気のキスだとでも言うのか…?嘘でしょ?「自分のものだと思っていた食べ物を、誰かに奪われたような感覚だ。そう…俺の好きなクッキーやアイスクリームを知らないうちに食べられてしまって、思わぬ怒りで火を放ってしまった…」「それ…愛も恋もないということですな?」「…は?」妄想したようなことは何ひとつなかったようだ…「食べ物と一緒にされちゃあね…はいはい。課長にとってのおやつが、鮫島くんに食べられちゃって、残念でした!」「…おい!食べられたのか?鮫島に、いつ食べられたんだ?」ベーッと舌を出してやり、凛花はバスルームに向かった。「うるさいでーす」ひと言返してから、バタン…と脱衣室のドアを閉める。…ったく、『食べられる』のアダルトな意味を知ってるのかな…「…いったいいつ、私と鮫島くんが…そんな、いろいろするっていうのよ…」ほんっと、ドキドキして損した…翌朝、目を覚まして驚いた。死神のマントを羽織ったまま、神西がソファでぐったりしていて…背中のカマは床に放り出されている。「…え、あの…神西課長?…どうかしたんですか?」「…あぁ、大丈夫だ。ちょっと、ハードだっただけで」体を起こし、部屋に消えていく神西。ふと見ると、カマは床に置いたままだ。自分には触れることはできないと知りながら、つい鋭い刃に用心して、窓のカーテンをあけた。「ひゃっ…っ!」小さく悲鳴を上げたのは、カマの刃が赤黒く汚れていたから。これは仕事の後、ということなのか…ゴクリと唾を飲み込
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13.蓮とめぐみ

「…それで?その鮫島くんって社員に押し切られちゃって、面白くないわけ?それとも…」昼休み、社長秘書であるめぐみのオフィスに来た。…社長は今日、体調を崩して休んでいるという。「鈴原さんを、鮫島くんと一緒に社内コンペに出させたくないってこと?」「…わからん」「なによそれ…ちょっと、マズい症状かもよ?」めぐみは多くを語らなくとも、俺に起きているほとんどのことを把握する。彼女は同年代の容姿をしていながら、実は死神としては俺よりずっとベテランで優秀だ。付き合いが長いので、あんまり先輩扱いはしてやらないが。「どうマズいって言うんだ…」めぐみの言葉を聞いて、ソファから立ち上がった。大きな窓から、小さく見える人間を見下ろす。「だってこれまで…人間を好きになったことないでしょ?」「あるわけない。死神である俺を、人間は恐れるに決まってるからな」恐れて…きっと逃げまどうだろう。正体がバレる心配はしなかったが、交流を持つ必要を感じなかった。それなのに、鈴原は…俺の想像をはるかに超えてくる。「遊びで女と交わる事とは、大きく話が違うってことよ」「…バレてたのか」「もちろん。当然でしょ?死神でも、欲望を解放すると…少しイキイキするのよねぇ」神西はゴホン…と咳をして、話を戻した。「今朝、鈴原に…忘却のキスができなかった。そうかと思えば何の脈略もないキスをしたくなったり。…これはいったい何だ?」めぐみは少し困ったような笑顔になる。「鮫島くんに触れさせたくないと思ったり?」「それは当然だろ。鈴原とキスをされたら、俺の正体がバレるんだぞ?」「それだけじゃないのよ。…きっと」めぐみも神西の隣に来て、窓から人間を見下ろした。「恋愛感情。…これ、厄介なのよね。気づいたらもう始まってるし…自分の意思で終われないし消せないし…ただひたすら翻弄されるから」「………」…なんだそれ。自分からここへ来たくせに、神西は今日のめぐみの話をよく理解できない。恋愛感情というのは、人間の世界ではいったい何だ?製品として売ってるものか、食べ物…それともゲームか…?窓の外を見るめぐみの横顔を見て考える……そうだ!ゲームだ?!気づいたら始まってて、自分の意思で終われない、そして消せない。…ただひたすら翻弄される。…自分にも覚えがある。世間を賑わせたゲームが発売され、社内で
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14.トレンドを探しに…

「社内コンペかぁ…」「なに、まだ出たくないって駄々をこねる気?」今日こそは、鮫島とランチにやって来た。あの日行けなかったカフェのバゲットサンドは、ローストビーフがたくさん入っていて美味しい…「うちはマーケ部なんだからさ、独自の顧客分析データがあるじゃん。それを活用して、いろいろ考えられると思うんだよね!」「…鮫島くん、楽しそうだね?」「うん…俺、結構仕事が好きかも」嬉しそうに思いつくアイディアを話す彼の話を聞きながら、うなずくしかできない私は、あっという間にバゲットサンドを胃のなかに入れてしまった。「食べるの早いね?なんか甘いものでも食べなよ!」手持ち無沙汰に気付かれ、プリンをごちそうしてもらった。あぁ…なんたる無駄遣い…私も、余分な糖分を摂取してしまった。…これは、午後から本気で頭を使わないと太ってしまう…!爽やかな鮫島くんはあれから…私を好きだとか、そういう話は一切してこなかった。あれは、お酒を飲んだ上での口からの出任せ…突っかかってきた神西に突っかかり返しただけかもしれないと、思うようになった。自分のデスクに戻り、午後の仕事が始まって…コンペに出すアイディアを振り絞って出してみる。まさかこんなふうに担ぎ出されるとは、就活のときは思わなかった。こんなことなら、コンペとかプレゼンとか絶対にない職種を選べばよかったなー…例えば看護師さんとか。「鈴原」つい余計なことを考えてしまう自分を殴ろうかと思った瞬間、よく通る低い声に名前を呼ばれ、立ち上がった。「はい、何か…お呼びでしょうか?」ツカツカと、神西課長のデスクの前に行く。「コンペの件だが、市場トレンドに目をつけた内容を提案するといい」「市場…トレンド」言われたことをその場でメモして、自分のデスクに戻る。…ふと視線を感じて神西の席を振り返ると、不安そうな目で見られていると気づいた。…あ、何も言わないで戻ってきちゃった。凛花は慌てて立ち上がり、神西に向かって頭を下げた。「意味、わからなかっただろ?」「ひゃぁっ…!」マンションに帰り、パソコンに向き合う凛花の部屋をノックもなく開ける神西。「ノックしてくださいよぅ…!足音がしないから驚きます…!」床から足を浮かせて移動してるのだろうか…「市場トレンドに目をつける、というのは、今の世の中を注意深く見てみろということだ。今
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15.まるでデート…

「トレンドがもっとも現れるのは、食、そしてファッションだ」あんなキスをしといて、涼しい顔で雑踏に混ざり、解説する神西。凛花もキスなんて気にしていないふりをして、道行く人に目をやる。「パステルカラーが流行りなんですかね…それじゃ商品の色はその色を持ってくれば…」「アホか。商品のターゲットはどんな層だ?それによって流行の色など変わるだろ」「まだ、そこまで考えてませんので…」はぁ…とわかりやすいため息をつき、少し考えた神西は、意外な提案をしてきた。「今夜はもうやめよう。夕食がまだだろ?何か、食べたいものはあるか?」「え…」そんな事を言ってもらえるとは思わなかった。…死神とはそういうものなのか、神西はほとんど食事を取らない。だからそんな心配をしてもらえるとは意外だ。「それじゃ…いえ、あの…」1人で食べろというのだろうか。だとしたら少し味気ない…「どこでもいいなら、知ってる店に連れて行こうか」スッと腰に回る手は、絶対上司のやることではない。けれど嫌ではないので、文句を言わずついていくことにする。「ここだ。確か家畜の肉をいい感じに炙って食べさせる店だ。…他に土から出てきたものや木の枝にぶら下がったものも炙って食べるらしい」「あの…いわゆる焼肉屋さんですよね」「そうだったかな?」神西にクセのある説明をされたが…焼肉店とは思えないほどおしゃれな外観と内装だった。背中をそっと押されて中に入ってみると、お肉の焼けるいい匂いがしてくる。そしてお客さんが焼いているお肉を見て驚く…どれもぶ厚い。ここ、高級焼き肉店だぞ…?「君は食べることに集中しなさい。俺がどんどん焼いてあげる」神西は、やはり飲み物だけで済ますつもりらしいが、なぜか焼くことには積極的らしい。「わかりました。あの…お腹が弱いので、よく焼きでお願いします」「任せとけ」神西は皿の上の生肉を3つ、焼き網に乗せ、ひとつずつ丁寧に焼いてくれた。そして持ち替えた箸で焼き上がった肉をつまむと、ふぅふぅ…と冷ましてくれる。「はい、あーんしてごらん?」「…は」…なんと!食べさせてくれるというのか?それは想定外だった。「あーん…」言われるまま口を開けてみると、そっとお肉を入れてくれる。噛みしめるごとに溢れる肉汁…うまい!うますぎる…「焼き加減はいいか?」「はい!サイコーです!」「う
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16.親友にとんでも相談

「凛花?…仕事が大変でつらい思いをしている人には見えないよ?」「…それはまぁ…癒してくれる人がいるから、っていうか…」「なによ?!彼氏できたの?…いつの間に?」社内コンペを控えていることを神西に指摘されながら…休日のこの日、凛花は幸せ溢れる空間に遊びに来た。ここは郊外のファミリー向けの賃貸マンション。親友の清水絵里奈は、かつて男友達だった康太と生まれてくる子供と、幸せな家庭を築いたのだ。「…彼氏?」「なによ。癒してくれる人って聞けば、誰でも彼氏を想像するでしょ?」「待って…そういうこと、言われてないかも」「なにそれ?…まさか先にヤッちゃったの?」視線を彷徨わせる凛花に、2人しかいないのに声を潜ませる絵里奈。「えぇっ?!」「…その驚きは…どっちよ?!」ヤッちゃう…と言われ、忘れていた姿が脳裏に蘇る。先にお風呂に入ってもらって、スッポンポンで出てきた神西。芸術作品のような筋肉が美しい体だったけれど、モノのインパクトが大きくて…本当に、大きくて。「…やっ!?…いやいや!それはない!それは…だって上司だもん!職場の、上司っ」「…なに急に赤面してるのよ?」うっかりあの時のことを思い出して口まで滑らせた。絵里奈は嬉しそうな心配そうな、複雑な表情で凛花を見つめる。「上司って…まさかとは思うけど、不倫…じゃないよね?」「当然でしょ?!妻がいる男が誘ってきたら、ちゃんとグーパンチで殴れる私です!」「よろしい!…なら問題ないね!」問題、と言われてふと考えてしまった。神西との関係は、問題ではないのだろうか。独身だし他に恋人がいる気配はないし…最近はやたら甘いし恋人みたいなキスばかりするし、だからといって簡単にセックスに持ち込もうとはしない。誠実?…いやいや、神西は…死神。カマを背負っているのは今も見えるし、黒マントを羽織ってベランダから飛んでいくのも何度も見送った。「行ってらっしゃい」…と、投げキッス付きで。「問題は…あるというかないというか。あのさ、絵里奈だったらどうする?例えば……………………………好きになった人が地球外生命体だったら」「は?宇宙人?」「も…もしもの話だよ?…やっぱりそれって問題かなぁ…」「問題だろ。てか、問題しかないだろ。ある意味不倫以上だわ」やっぱりそうか。…気づかれないようにため息をつく。やはり打ち明
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17.再びの惨状?…そして

神西のマンションに帰り着き、ドアを開けるとキィ…っという金属音がする。「ただいま…」廊下の灯りは消され、リビングに続くドアから明かりが漏れていた。…神西は在宅しているようだ。「課長…っ」ドアを開けて名前を呼び、キッチンにいる神西を見て、自分でも驚くほどの叫び声が出た。「…そんなに驚くか?」「お…驚きますよ。…まさか、今度こそヤッちゃったんですか?」「あぁ。ヤッちまった。ひと思いに…グサリと…」神西は血のついた頬を拭い、不穏な笑みを浮かべる…床に点々と落ちている血、そして特有の生臭さ。シンクに無造作に落とされているいくつもの臓物…血のついたナイフが、床に転がっていた。「これは…自分で冥界に送った者たちですか?」片方だけ口角をつり上げ、不穏な笑みを浮かべていた表情を崩し、真顔になる神西。「アホくさ。…ただの魚だろ」ナイフを拾い上げ、鋭利な刃物を手にする神西は、ハッキリ言ってかなり怖い。「いただきます!」夕食は、神西がさばいた魚をフライにした。クセがなくてとても美味しい…「あのな?…俺はなんでもかんでも死に導くような、悪徳な死神とは違うからな?」「それは…わかってますよ」「だがな…人間にチャンスをやらないで、呆気なく命を奪う死神も存在する。…そういう奴が評価されるのは、人間界に似てるよな」どうしたのか、神西が憂い顔を見せた。「俺は…冥界では落ちこぼれでな。俺がこの人間界にいるのは、いわゆる罰というやつだ」「…え?罰を受けているんですか?」「まぁ、この世界で言う研修みたいなものだな」凛花はふと、絵里奈に話してきたことを思い出した。思い切って…聞いてみようか。「研修というのであれば、いずれ終えて冥界に戻る日が来るのですか?」「…あぁ」「それは、いつ頃?」時間の概念がないと聞いたが、ダメ元で聞いてみる。すると返事は予想通りだった。「いつになるかは、ハッキリわからない。ただ…実は間もなくであると、認識していた」「え…」予想外の答えに、つい前のめりになる凛花。「前触れは?急にいなくなってしまうんですか?…っていうか、」これ以上言ってもいいか、一瞬迷う。だって、別に愛を告白されたわけではない。…言い淀む凛花に、問いかけるまなざしを送る神西。「一緒に、いられないんですか?冥界に戻ったら、もう見えなくなるとか…記憶が
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18.めぐみの事情

「蓮…あなたには、ダメだって言ったばかりよね?」「…なんの話だ?」「言ったでしょ?愛しい気持ちを実感しても、見ないふり、気づかないふりをしろって」「…そうだったか?」「…キス以上のことはするなって言ったのに、あなたって人は本当に…」社内ですれ違って、すぐに変化に気づいた。…死神らしからぬバラ色の頬、全体的に軽やかに動く体。何より、目線が1点に集中している。鈴原凛花の後ろ姿を、彼は穴があくほど見つめていたのだ…私、深海めぐみは、神西蓮の指導お目付け役として…ほぼ同時期、人間界に落とされた死神。もうどれくらいここにいるのか…人間のような時間の感覚はないのでわからない。けれど蓮の研修もそろそろ終わって、冥界に戻る頃だと思っていたのに、まさかこんなことになるなんて。恋をした蓮。…そして私も。「深海さん、夜の予定なんだけど、明日にずらせないかな」秘書室と隣合わせた専務執務室のドアが開き、華やかな声が聞こえた。声の主は、わが社の代表取締役社長の息子、沖田雅臣。「…かしこまりました。先方に打診いたします」カタカタとキーボードを叩き、メールをしたうえで相手の秘書に電話連絡を入れる。「お世話になっております。ミー&ミージャパン専務取締役秘書の深海と申します…」いつの間にか、すぐ隣に移動してきた雅臣。電話している姿をそんなに見つめられたら、手が震えてしまいそうだ。…勘弁してほしい。そんな熱いまなざしを送るのは…「…明日の朝一番のお約束に変更ということで、ご了解いただけました」「ありがとう。…予定を変えたい理由を、聞かないんだね?」「それは…専務のプライベートでしょうから」社長秘書だっためぐみに「息子が専務として経営陣に入ってくる」と嬉しそうに伝えた社長。その上で、社長は自分の秘書からめぐみを解任した。「優秀でクールで、的確かつ信頼の置ける仕事をしてくれる君に、新米専務である息子を頼みたい」そう言われて専務専属秘書になっためぐみ。仕事は同じだと、簡単に引き受けたのが間違いだった…「はじめまして、深海さん」紹介された雅臣は、栗色の髪と薄茶色の瞳が印象的な人だった。「はじめまして…よろしくお願いいたします」驚いたのが分かったのだろう。彼は自分から教えてくれた。「28歳です。母親がフランス人で…僕はハーフなんですよ。だからこれ、地毛で、カ
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19.社内コンペ

ついに…社内コンペのプレゼンが行われる日がやって来た。和やかな笑い声が聞こえる会議室。発表しているのは鮫島だ。彼のことだからきっと…水を得た魚のように、ジョークを交えつつプレゼンをしているのだろう。なんだか、中の様子が見えるようだ。「…優秀だなぁ」落ち着きなくウロウロしながら…呟く凛花の隣に、甘い香り。「…可愛くないんだよ。人間のくせに」いつの間にか隣を歩く人に、そっと手を取られ、落ち着くよう促された。目の前に、腕を組んでいる蓮がいて驚く。「あ…お疲れさまです」「お疲れ。…いや、ほんっとにお疲れ…」「なんですか?失礼ですね…」私の顔を二度見して、お疲れさまを繰り返すなんて…まるで昨夜の徹夜が顔に出てるみたいじゃない。「…目の下が黒いぞ?死神も真っ青な顔色の悪さだ」「昨日寝てませんから。…課長が最終チェックしてくれると思ったのに、朝帰りでしたね」「まぁ…本業でな」蓮は甘い笑みを浮かべ、口を尖らす凛花の唇をキュッとつまんでやる。「俺に甘えてばかりじゃ、お前の身にならんだろ。…愛のムチだ」「そんな…」誰もいないのをいいことに、蓮の腕に触れようとしたところで、鮫島が会議室から出てきた。「ありがとうございました。失礼いたします」…スッと伸ばしかけた手を引っ込める凛花。「…神西課長、僕の番は終わりました。手応えはなかなか…」「鈴原、鮫島を引きずり落とす勢いでやって来い」「「…え?」」あからさまな態度の違いに、凛花は少し困ったように、鮫島は驚愕を隠さず聞き返す。その時、会議室のドアが開いた。「…マーケティング戦略部の鈴原さん、中へどうぞ?」「は…はい!」早速手と足が同時に出る凛花の後ろに、当たり前のようについていく蓮。「…………えぇ…?!w」扱いのあまりの違いに、鮫島も最後は笑ってしまった。「マーケティング戦略部、神西課長チームの、鈴原凛花です。…えっと、こ、今回私が提案いたすのは…」震える足で前に立ち、プロジェクターのリモコンを震える手で押した。カチ……カチ………………あれ?リモコンが反応しない。……………終わった……………一瞬で頭の中が真っ白になる。この日まで、蓮にお尻を叩かれながら、なんとかプレゼンまでは頑張ろうと準備してきたけど…プロジェクターが動かないなんてトラブル、想定してないもん。会議室
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20.鮫島とヤッちゃた…

「社内コンペに参加を表明した各部署の社員は、全部で12人だった。先ほどすべての発表を終え、これより審査に入る」終業直前、蓮は皆に声をかけ、社内コンペが無事に終了したことを伝えた。「我がマーケティング戦略部からは、鮫島と鈴原が参加し、それぞれ興味深いプレゼンをしてくれたと思う。…気になる結果だが…」「…なぁ〜にがそれぞれ興味深いプレゼンだよっ…………」ツツ…っと凛花の隣に来て、前で話す蓮をそっと指さしながら、鮫島が小声で文句を言った。「内容まで全部聞いたの、鈴原さんのプレゼンだけだよね?」「…私は、何をしでかすかわからないから…警戒されてたんだと思うけど」「だとしても、あからさまな贔屓、ムカつくなぁ…」確かにそう言われても仕方がない。そこで…都合のいい設定を引っ張り出すことにする。「私はほら、神西課長の親戚…従兄妹だから!」口元をひん曲げる鮫島にそっと言葉を添え、ポンっと肩を叩いた。するとその音が妙に響いて、気づいたときには他の社員の注目を集めていることに気づく。…もちろん蓮も話を中断し、腕組みをしてこちらを睨んでいる。「そこの2人…俺の話聞いてたか?」「は…はい。すみません…」「…僕はちゃんと聞いてました」慌てて謝る凛花に対し、鮫島はしれっと嘘をついた。ニヤッと意地悪な笑みを浮かべる蓮。「そうか。それじゃ鮫島、コンペの結果が出るのはいつなのか言ってみろ」「…はいっ!およそ1週間後、来週の今頃には社内一斉メールにて知らせが入ります」「…えっ?!」聞いていたはずのない鮫島が滑らかに言うのを聞いて驚いた。蓮が死神なら、彼は一度にたくさんの人の話を聞けるという…聖徳太子の生まれ変わりか?「残念ながら違うわ…!ふんっ」「…えぇっ?おかしいな、昨年も確か、プレゼンの1週間後が発表だったんですけど」「鮫島、お前聞いてなかったくせに、過去のデータで予想して答えたな?鈴原のように…素直に謝れないのか?まったく可愛くない奴だな。…鈴原と違って」ふと…こちらを見る他の社員の目つきが生温かくなった気がした。蓮が私を引き合いに出し過ぎて、あらゆる妄想をされていると気づく…「本当に、申し訳ありませんでした」とっさに隣にいる鮫島の頭を押さえて下げさせ、その腕を取ってその場から逃げる。「あんなこと言ったら火に油を注ぐようなものでしょう?!聞
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