こんな場所で…こんな場面で…気持ちいいと感じてしまうなんて…!神西の唇が、やわやわと自分の唇に触れ、擦れ…吸われ…舐められて…熱い吐息を漏らした次の瞬間、鼻を突く焦げ臭い匂いに気づいた。「ま、待って…」慌てて唇を離した凛花から、おとなしく離れた神西。「…消化器…!」鮫島が慌てて走ってきて、凛花はすぐそばにあった消化器に気づいた。店のスタッフがすぐにそれを持って走っていき、凛花もそれに続いた。「…どうして、こんなところで」それは、いくつかあるテーブルのうちのひとつ。火が上がったのは、比較的小さなテーブルだったという。「…誰も、タバコを吸ってた人はいなかったらしい」「このテーブルにいた人は…」青ざめる鮫島に確認すると、彼よりも早く、数人の社員が名乗りを上げてくれた。「…あと、神西課長もいたんだけど、いつの間にか姿を消してて」1人の女子社員がそう言って、あたりを見渡す。つられて同じように視線を彷徨わせた凛花の目に、神西が立っている姿が映った。「…神西課長〜どこに行っちゃったんですかぁ?私、怖かったですぅ…」両手を胸元で握り合わせ、内股で近づいてくる女子社員を、神西はスッと避ける。「…君、酒と男には注意して生きて行くといい」「…え?」一瞬、神西の目が金色に光った。それが見えたのは、凛花だけのようだが…「ずいぶん酒もすすんだだろう。そろそろ会はお開きにするぞ」社員たちを帰し、幹事の凛花と鮫島、そして神西が店に残った。「テーブルの代金はいくらになりますか?私が弁償します」真ん中あたりに焼け焦げた跡があり、確実に廃棄処分になると思われるテーブルを指し、神西が店のスタッフに言った。「いえ…他に被害はありませんでしたし、火が上がった理由もわからないので…」店のスタッフはこちらの責任ではないと言ってくれた。「ただ…このボヤ騒ぎのことを、SNSとかで拡散されると困るんですけど…」「それなら大丈夫です。すでに対応済みです」即答する神西を、鮫島と一緒に不思議に思いながら見つめる。…凛花には、先ほどからの神西の言葉の意味が想像出来た。「例えば…みんなの記憶からテーブルのボヤを消したとか」「まぁ、軽くな。なかったことは拡散もされないだろ?」マンションに帰り着き、背の高い後ろ姿に話しかけると、思った通りの答えが返ってきた。「あの
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