「…そう、不意を突かれてキスをされて、背中のカマが見える人間が増えてしまったと…」「あぁ。こういう場合どうしたらいい?」「そうねぇ…こんな場面に直面した死神、初めて見るから…困ったわ」「お前、俺の指導係だろ、何とかしろ」めぐみのオフィスに押しかけ、事態を説明する蓮。腕組みをして立ちながら、つま先をイライラと鳴らす足を、めぐみがピンヒールの踵でギュッと止めた。「…いってっ…!」「こんな出来の悪い死神は初めてでね?すぐに対処法が思いつかないわよ」慌てて靴を脱いでつま先を確認する蓮。…まだ謝罪の言葉を言わない彼に、めぐみは白けた顔で言う。「とりあえずキスしなさいよ。忘却のキス」「男に…?冗談だろ?」「だったらそうねぇ…凛花さんにさせてみたら?」「…は?」背中にカマが見える、と言い出した鮫島を、とっさに連れ去った凛花。とりあえず酒を飲ませてうやむやにすると、連絡をもらったばかりだ。「あの…ごめんなさい」「やっとわかった?少しは学習しなさいよ?」人にものを聞く態度がなっていないと、めぐみがブチ切れてそう言ったのだと気づく蓮。「まぁ…知られたけれどキスができないなら、仲間に引き入れるしかないわよね」「仲間?」「そうねぇ…見えたことについて、第三者に言おうとした瞬間、命が消える…とか何とか言って」「それは、本当にそうなる可能性があるってことか?」めぐみは少し考え…思いついたように言う。「確か、聞いたことがあるわ。あなたみたいに、キスの連鎖で正体がバレた死神が、3人目以降はカマを振り下ろしたって」「それは、鮫島が秘密を口外したら…俺が、カマを振るということか?」「そうなるわね」これまで…人間界で知り合った者を冥界に送ったことはなかった。どの死神が、誰に命を断ち切るカマを振るのかは…直前までわからない。…呼ばれるまま赴き、死に際にいる者にカマを下ろす。死神の仕事とは、そういうものだった。「もし鮫島が秘密を誰かに喋ったら、その瞬間、あいつの寿命が急変する…」死に際…俺が見える人間には、頭を下げられたことが何度もある。今はまだ死ねない…子供が大きくなるまでは、先に親を見送るまでは…夢を叶えるまでは…人間は、さまざまなことを言って命の期限を延ばそうと足掻いた。「そのくせ、時間を無駄に使うくせに…」「人間も、それを歯がゆいと思
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