「今日から皆さんと一緒に働かせていただくことになりました。中村と申します」……華やかな美人だった。年齢はめぐみさんと同じくらいか、少し下。確実に自分より年上には見えるけど……そもそもめぐみさんはいくつなのだろう。「……原」いや、年齢という概念がないのだった。死神には……ふと視線を上げた先に、美人を伴ってこちらに歩いてくる蓮が目に入る。「……お前、名前変わったのか?」「は……」名前が変わったって?……なにそれ、結婚したって思われてる?「まさか……!私、結婚なんてしてません。こんな気持ちのまま、結婚に逃げるように見えますかっ?」「……なにを言ってるんだ?」切れ長の瞳の奥に「心配」という文字が見える。「……何度も名前を呼んだのにボケっとしてるから……お前、本当に大丈夫なのか?」「はぁ、大丈夫です」ここはオフィスで、蓮が皆を集め、女子社員を紹介したところだと思い出した。……皆が自分に注目していることにも気づく。蓮の少し後ろで、何が面白いのか、ニコニコしている美人。「今日入社した、中村さんだ。社内のことと、仕事について教えてやれ」「よろしくお願いします!凛花さん」綺麗な姿勢でお辞儀され、凛花も慌てて頭を下げながら、ふと抱く違和感。凛花って……どうして下の名前を知っているのだろう。「じゃ、頼んだぞ?」瞳の奥の「心配」が消えないまま、蓮は踵を返し、行ってしまう。同時に中村さんもくるりと後ろを向いて、蓮の後に続いた。……後ろで束ねた彼女の長い髪が、動くたびに甘やかな香りを漂わせる。「……え、あのぉ、ちょっと」自分に任されたというのに、中村さんは席に戻る蓮について行こうとしている。「あ、ごめんなさい!間違えちゃった」ニコッと笑った彼女に、男性社員が注目しているのがわかった。鼻の下を伸ばした顔、顔、顔。……きっと中村さんは、我がマーケティング部の人気者になるのだろう。「早速なんですけど、お手洗いってどこにあるんですか?」「あぁ…こちらです」廊下を少し歩き、角を曲がったところにWCの文字。案内しながら、つい一緒に入ってしまった。「ありがとうございます。ちょっと鏡を見たかったんですよね」そう言って鏡を覗き込む中村さん。……髪1本乱れていないけどな。そういえば私は、鏡なんてずっと見てない。そう気がついて、何気なく前
Dernière mise à jour : 2026-05-10 Read More