凛は、今の状況をありのままに説明したつもりだった。だが、「あなたの愛する人」という言葉に、智也はひどく胸が痛んだ。それでも、添付されていた写真を拡大して見ると、確かに無様な様子をさらす、胡桃と柚葉が写っていた。すぐさま柚葉の携帯が鳴る。「胡桃がお前のところへ行ったのか?大丈夫?」「智也……」柚葉は涙で目を潤ませ、痛みを堪えながら鼻をすすった。「私は大丈夫。ただ体がちょっと痛いだけで……胡桃ちゃんも悪気はなかったはず。それに、凛さんも一緒にいるから」最後の一言は、今回の騒動を仕組んだのが凛だと言わんばかりだが、そもそも、凛から写真が送られてきた智也は、彼女が現場にいることは知っていた。最近、いくら電話番号を変えてもすぐに着信拒否される。今の番号もいつ繋がらなくなるか分からない、そんな状況だった。「すぐ行くよ」智也の声には、呆れと焦燥が混ざっている。電話を切ったあと、凛にウォーターフロント・コートから離れずに、待っていてほしい、とショートメッセージを送った。だがまたしても、受信拒否設定にされているようで、一向に返信が来ない。まだ凛との関係を修復できていないというのに、今度は胡桃までもが騒ぎを起こすなんて。それも、よりによって柚葉を殴ったというのだ。なぜ、こんなことを?智也が自分より先に柚葉へ電話をかけたのを見ていた胡桃は、自分も庇ってくれる人を呼ぶために、母親である梨花へと電話をかけていた。梨花と智也は、ほぼ同じタイミングで現場に到着した。しかし、柚葉と胡桃の姿しかなく、凛の姿は見当たらない。やはり会ってはもらえないのか……智也は心の中で深く溜め息をつく。柚葉は智也を見るなり泣き出し、彼の胸に飛び込もうとしたが、背後に立つ梨花の冷たい視線を感じて、寸前で足をとめた。智也がこれまで自分に多額の金を費やしてきたことを家族全員が知っている、と胡桃は言っていた。「どうしてこんな場所まで来て暴れたの?」梨花は胡桃に近づき、ただ一度睨みつけただけで、それ以上のことは言わなかった。胡桃が腰に手を当てて言う。「我慢できなかったの。だって、お兄ちゃんが毎月この女に6000万円渡してたんだよ?気が狂ってるとしか思えない!」智也の顔が険しくなった。「胡桃、言葉には気をつけろ」梨花はじろっと智也
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