智也は踵を返し、菜々子にはっきり聞くことにした。すでに全てを話し終えたと思っていた菜々子だったが、どうやらこの救いようのない男には伝わっていなかったようなので、もう一度はっきりと教えてやることにした。「谷口さん。あなたは他の女と浮気をしながら、自分の奥さんにはヨガだ、育児講座だ、栄養管理やメンタルヘルスだなんて、手当たり次第に講座を申し込みましたよね?そんな同時進行、本当に……」と、菜々子は露骨に嫌悪感を露わにする。「だから妊娠を望んでいない凛さんが、講座を別の誰かに譲るのなんて当たり前じゃないですか?それに、子供が生まれたら、あなたは子供を盾に凛さんを縛り付けますよね?ということで、私が講座に出ていたんです。それに、凛さんがあなたにこのことを伝えていないとなると、もうあなたへの愛情は冷めきってますね」感情をぶつけてくるうちはまだ挽回の余地がある。しかし、無言で去ってしまったとなれば、未来は絶望的だろう。菜々子は、表情を次々と変える智也を見つめながら続けた。「私も凛さんの活躍に関する記事を読みました。他の人がどう思うかは知りませんが、彼女にあなたは少し不釣り合いだと思います。育ってきた環境は違っても、28歳の今、彼女の未来はあなたのもの以上に明るいし、あなたの手の届かないところにいますよ。あなたが凛さんを妻にし、その愛を得られたのは、孤児として育った彼女の寂しさや家族を求めた心につけ込んだからにすぎません。あなたの存在は、単に彼女の心に空いていた穴を埋めただけ。凛さんは、やっと手に入れた家というものを失うまいと、必死にあなたとの結婚生活を守ろうとしたはずです。でも、残念です。壊れたものは接着剤で直しても亀裂が残るし、汚れたものは洗ったとしても、目にするたびに汚れていた事実を思い出す。かなりの苦しみですよね」菜々子は智也を、汚物であるかのように表現した。羞恥心と怒りで智也の顔が真っ赤になる。菜々子は智也に反論の隙も与えず、微笑んで言った。「でも、私は谷口さんに感謝すべきですよね。こんな何十万もする講座は、自分の経済力で受けることはできなかったし、今の言葉だって以前の私だったら言えませんでした。講師から教わったピアジェの発達段階とエリクソンの発達理論は、本当に実生活でも役に立ちました。子どもに限らず、人間の一生そのもの
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