凛はなかなか寝つけず、何度も寝返りを打っていた。どうしても眠れそうにない。日和を起こさないようそっと布団を抜け出し、彼女の掛け布団をかけ直してから、枕元の携帯を手に部屋を出た。リビングへ行くと、昨夜海斗が寝ていた場所に腰を下ろし、そのまま身体を横たえて頬を押しつける。眠気は相変わらず訪れなかったが、不思議と胸の空虚さは少しだけ薄れた。指が携帯に触れて画面が明るくなり、そのまま海斗とのメッセージを開く。最後に交わした言葉は【おやすみ】だった。時刻は午前3時。さすがに海斗も眠っているはずだから、こんな時間に連絡するべきではないと思いながらも、結局我慢できなかった。【海斗】名前だけ送る。返事を期待していたわけではない。凛は携帯を置き、画面の淡い光をぼんやり眺めていた。ところが3分ほど経ったころ、携帯が小さく震えた。【眠れないのか?】凛は驚いて身体を起こした。姿勢を正してソファに座り直す。【起こしちゃった?】【トイレに起きただけ】【お水、飲みすぎた?それともお腹の調子が悪い?】【水飲みすぎた。凛は?】【なんだか眠れないの】【ベッド?それともトイレ?】夜中に携帯を触るとしたら、大体そのどちらかだと思ったのだろう。【ソファ】既読がついた後、しばらく沈黙が続く。【暖房、ちゃんと効いてる?】【うん】【そうか。無理に寝ようとしなくていい】【うん】それきり返事が途絶えたので、海斗はまた眠ったのだろうと凛は思った。智也なら、こんな夜中に返事をくれることなどなかった。昼間でさえ2、3日放っておかれることも珍しくなかったのだから、それを思えば海斗は十分すぎるほど優しい。凛は携帯を置き、もう一度ソファに横になった。それから30分ほど経ったころ、静かになっていた携帯の画面が再び明るくなる。海斗からだった。【コートじゃなくて、一番厚いダウン着て。マフラーと手袋も忘れずに】【下りてきて】【日の出を見に行こう】胸が大きく跳ねた。さっきまで沈んでいた気持ちが嘘のように晴れ、凛は勢いよく起き上がった。開いたままリビングに置いてあったスーツケースから白いダウンと青いマフラー、青い手袋を引っ張り出し、慌ただしく身につける。携帯をポケットに入れ、そのまま玄関へ向かった。ところが扉を
Read more