「私ハ、両親が辺境伯として跡を継ぐことが決定するまデ、ずっとライハラ連合国の親戚に預けられていましタ」それから、ロミーナはぽつりぽつりとライハラ連合国での思い出を話してくれた。暖かい地域であるライハラ連合国で、日焼けしながら外で遊んだこと。木に登って、原産地の果物を食べて、釣りをして、毎日楽しかったこと。ライハラ連合国では貴族と平民の垣根が低く、当たり前のように子供達は貴族と平民が混じって遊んでいた。そこでできた友人、兄や姉代わりの少し年上の人々。人情味のある温かな生活。「本当ハ、今でも大好きなんでス。でモ、両親が辺境伯を継いデ、後継者争いが落ち着いたからト、この国に連れ戻されテ……」アマトリアン辺境伯夫妻を思い出す。体面のみを大事にする、底意地の悪そうな彼らならば、ロミーナの意思などお構いなしに連れ戻したことは想像できる。「ライハラの物を見るたビ、懐かしくテ……良くないですネ。私はリヒハイム王国の民なの二」そう言うと、また少ししゅんと落ち込んでしまう。私は彼女を励まそうと、その手を取った。「大丈夫ですよ。この国の民でも、ロミーナ嬢にとってはライハラ連合国が故郷。懐かしくなって当然です」私が笑顔を見せると、彼女は安心したように微笑み返してくれた。それにしても、婚約者であるステファンは何をしているのだろう。こういう時に慰めてあげるのが婚約者という物だと思っていたのだが。「ロミーナ嬢。こういうお話、婚約者のステファン様には……」「申し訳ありません! 二学年の方で揉め事が起きまして」私が言いかけたところで、ドアをノックしてすぐに職員が駆け込んでくる。その言葉で、ロミーナはすぐに立ち上がった。「現場ハ?」「今は警備が間に入って沈静化していますが、念のため報告と現場の確認を」私の方は見ずに、あっという間に職員と部屋を出てしまう
Last Updated : 2026-03-21 Read more