驚いた顔をしている私達を見て、ヴォルフガングは首を傾げた。「……なんだ。当時のことは覚えていないのか?」「ああ……はっきり記憶してはいないが、夜寝てた間に襲撃されてたとしか聞いてない。それ以外は何も」シヴァの当時の年齢で言えば5、6歳程度。逃げるのに夢中で、救助した大人も子供であるシヴァには何も見せずに逃げ出した、と言う事だろうか。「ワシも詳細は知らないがな、城が襲撃されたと聞いて駆け付けた時には全てが終わっていたよ。あまりにも早い決着だった。当時は休みで、この屋敷にいたんだ。城まではここから1時間もかからないが、着いた時には終わっていたんだ」伝令の移動も考えると、襲撃から二時間。そんな短時間で、内乱って終わるものなの?それに、意見の対立でギスギスしていたなら、城は警戒していたはず。それなのに二時間以内で決着するほど、警備が緩かったとは到底思えない。ヤコブの言うように、これは確実に何かがある。私が考え込んでいる間に、ヴォルフガングは優し気にシヴァを見つめた。フライパンみたいな大きくて硬そうな手で、彼の頬を優しく撫でる。「姿が見えないから、どうしているのかと思ったはいたんだがなぁ。こんなに大きくなって……元気そうで良かったなぁ」その手のぬくもりと彼の優しさに、シヴァが涙目になるのが分かる。それを振り払うように、シヴァは私の方を向いた。私の手を引いて、どんどん屋敷の方へ歩いてしまう。「もう寝るぞ。風邪をひく」それは、泣き顔を見られたくない強がりなのか。それとも、私に素の状態でヴォルフガングと一緒にいるところを見られたくないのか。戸惑いながら振り向くと、庭の中央でしゃがんだままのヴォルフガングが、やれやれと言った様子で笑っていた。「おやすみなさい」私が声を掛けると、ヴォルフガングはひらひらと手を振って見送ってくれる。またど
Last Updated : 2026-03-23 Read more