私が戸惑っていると、笑顔でアレクサンド様は言葉を続ける。「前からステファンの婚約者として以外でも、君を評価はしていたんだ。魔法の技術が苦手でも、それ以外の能力でカバーして成績上位者に食い込む能力。特にレポートの出来は毎回私を凌ぐほどだと、教師陣からは聞いていたよ」まさか影でそんなに評価されているとは思わなかった。必死に学んだことも、全てが無駄なわけではなかったようだ。頑張りが認められていることは素直に嬉しい。「そんな文官に向いている君を手放すのは惜しい。ステファンとの婚約も解消になるだろうし、行く当てが無くなったら私の所に来なさい」アレクサンド様は私に手を差し出す。「学園にはいられなくなる可能性が高い。証拠を集めるだけ集めたら、学園に提出するレポートのことは考えずすぐに王城に来て欲しい。君の安全を確保しよう。その手筈は整っている」ステファン様のこと、セドリックのこと。両親のこと。色々考えすぎて頭が働かない。しかし、今この提案を飲まなければ、私は路頭に迷うことになる。本能的に、私はその手を握り返した。アレクサンド様の手にぎゅっと力が籠められる。黄金色の瞳がまっすぐ私を射抜いた。「交渉成立だ。君用に護衛も従者も準備してある。ぜひ連れ帰ってくれ」「……リリアンナ嬢も一緒のはずなんでス。それハ、どうすれバ」「手紙を用意してあるから渡しておいて欲しい。向こうでの宿泊はヴォルフガング殿がいるので問題ないだろう」ヴォルフガング殿って、旧ソプレス王国にいたあの大柄な人だろうか。確かにシルヴィア嬢の知人だとかで仲が良さそうだった。昨年のことを思い出し、私は深く頷いた。「お任せ下さイ。私ガ、両親の罪を暴いてみせまス!」そして、両親から解放され自由になるのだ。そう決意しアレクサンド様に宣言したものの、心は揺れる。チャロアイトの指輪が視界の端で輝いていた。&nbs
Last Updated : 2026-04-03 Read more