予想通り、翌日からモンリーズ家には大量の求婚状が殺到した。花束やらプレゼントやらで、一部屋が埋まってしまう程だ。それを見ても、私の決意は変わらなかった。「本当に、大丈夫なのか?」さすがの量に困惑するシヴァを見て、私はそっと彼の手を握る。「大丈夫だよ。誰に何を言われたって、私は一人身でいるもん!」 「形だけでも婚約してみます? 男除けに」シヴァとの会話のわずか一時間後。我が家にやって来たヤコブは紅茶を片手に、冗談半分でそう言った。「……ご遠慮します」背後のシヴァが殺気をまき散らしているのは容易に想像できた。彼のいるところで、そんなこと言わないで欲しい。「そういうヤコブは、婚約とかしないんですか? 恋人とか」「いえ、全く。だから、別にいくら偽装婚約したって構いませんよ」朗らかに笑いながら言う彼に裏はなさそうだ。紅茶をもう一口飲んで喉を潤しながら、彼は小さく呟いていた。 「僕には、妻だけですから」 そうだ。彼は、前世の奥さんを大切にしている。この世界に来てから10年以上が経過しても、彼の奥さんを超えるような女性は現れなかったのだろう。そう考えると、少し同情してしまった。「それで、今日来た本題は何ですか?」カップを机に置いて、私は改めて姿勢を正す。真面目な話をしたいのだと察し、ヤコブも姿勢を正した。ちらりと視線がシヴァに向く。今、この応接間には私とシヴァとヤコブしかいない。人払いをするために下がらせた方が良いかと、シヴァのいる後ろを振り向こうとして、ヤコブに制止された。どうやらシヴァがいても問題ないらしい。「旧ソプレス王国の反乱の鎮圧、お疲れ様でした」「ありがとう。でも、言われるほど大したことはしていませんわ
Last Updated : 2026-04-07 Read more