一度伸びをすると、いつもの表情に戻る。人を惹きつけるような、あの穏やかな笑みだ。「なるほどね。そこまで把握はしている、と」「ロミーナの件も全く進展していないようですしね。気になっていました」シヴァは拗ねてはいたが、いなくなる前にちゃんと私に情報はくれたのだ。手紙という形だったけど、それは手元に残っていた。彼が集めた情報は、もっと視野が広い。ギデオン・ナハル・ザハド。ライハラ連合国の首長国の1つ、サフィール貿易国の侯爵家次男の21歳。現在は商談のためにリヒハイム王国に来ているというのが表向きの話だ。だが、どうやら度々裏で怪しい人と会っていることが多いと言う。ここに、ライハラ連合国内の対立構造が入ってくる。サフィール貿易国は革新派で、大きな改革を狙っているという。そして、ドミニカ・レスピナス伯爵令嬢はシャムス首長国出身。革新派と対立する、保守派の筆頭国家だ。そんな敵対している家の情報を、ドミニカが知らないはずがない。「ドミニカ嬢はロミーナと仲が良く、そして、ザハト様のことはよく知らないと言う。敵対派閥なのに」「だから、意図的に情報を隠したと」「はい」合っているのか分からなかったが、シヴァがくれた情報に間違いはないはずだ。まっすぐドミニカを見つめていると、彼女はくすりと笑った。「……貴女は。モンリーズ家はどちらにつくつもり?」「保守派に」リヒハイム王国の王族は、特にライハラ連合国の保守派と親しくしている。王妃教育でこれくらいは学んだことだ。念のためお父様にも確認をしてある。「なるほどね」ドミニカは再びコーヒーを一口飲むと、ため息をついた。「リヒハイムの王族も公爵家も保守派についてくれる、と。……それなら、私がモンリーズ家と敵対関係になるよりも、協力関係になった方が利口ね」
Last Updated : 2026-04-13 Read more