聞き間違えるはずのない声だ。ずっと待っていた、彼の声。動きを止めて振り向くと、そこにはシヴァが立っていた。長いシルバーグレイの髪を、今は下ろしたままにしている。中性的な顔立ちから覗く空色の瞳は、今は冷たく鋭い。耳元で揺れる青いピアスがよく似合っている。同じく青を基調とした動きやすくも洗練された衣装が、明らかに彼らのリーダーであると言う雰囲気を作っていた。「殿下! この女が話があると言ってきかなくて……」見張りの話に、シヴァはこちらに近付いて私の顔を覗き込む。顔が近い。いつもの距離だ。いつも一緒にいた、あの時のシヴァの距離。私は見張りから手を離すと、そっと彼に手を伸ばした。指先が頬に触れそうになるが、その前に彼はすっと体を離した。なんで?ようやく会えたと思ったのに……呆然とする私に背を向けて、すぐにシヴァは離れてしまう。「オレに話すことは無い」「そんな……! 私よ! 分かるでしょ? シヴァ!」「分からない。知らない」そのまま背を向け、シヴァはどんどん先へ進んでいってしまう。慌てて私はその背を追いかけた。「おい、待て! これ以上入るなって」見張りの男達に拒まれてしまう。再び藻掻いていると、シヴァの冷たい声が響いた。「これ以上騒ぐようなら倉庫に入れておけ」「この護衛はどうします?」「二人で協力して騒がれても迷惑だ。別室で分けておく」言われた通り、見張りは私に押し寄せ、女護衛も押さえこまれる。いくら腕が立つとはいえ、多勢に無勢だ。ここで無暗に魔法を放ってしまえば、周囲に被害が出かねない。それに、シヴァに魔法が当たってしまうかもしれないのだ。周囲にいる十人以上お男達に囲まれ、もう私も女
Last Updated : 2026-04-16 Read more