裁判が終わり、人々が次々と立ち去っていく。罪人たちも連れて行かれ、人がまばらになった中、私はまだ裁判所の中に残っていた。「シヴァ!」傍聴席の人々がほとんどいなくなった頃を見計らって、私は柵を開けて中に入っていった。シヴァは何か打ち合わせでもあったのか、他の騎士?魔導士?の人と何か話している。その話も終わった頃、とうとう私はシヴァに抱き着いた。鎧のせいか、彼の体温を感じられないのが残念ではある。しかし、間近にある彼の顔を見上げるだけで気持ちが安らぐ。急に抱き着かれても、シヴァは動じない。ゆっくり私の方を見て、表情を緩ませた。「リリー」作っている女性声で花はない、低い声が耳に心地良い。手甲を外して私の頬にそっと触れてくる手に、私も手を重ねた。相変わらず付けている黒い手袋。その下に感じる細く長い指と、ピンキーリングの感触。何もかもが懐かしい。「リリー、オレ……」シヴァが何かを言おうとしたところで、私は彼の鼻を摘まんだ。急なことに驚き、シヴァの動きが止まる。目を見開いている彼に、私は頬を膨らませてみせた。「全部説明してもらいましょうか? 急にいなくなったことも、私に黙っていたことも全部」そう。嬉しくはあるが許したわけではないのだ。何も言わずにいなくなって、いつの間にかこんな騒ぎになっていて。でも、私だけ何も知らされていなくって。心配したし、無視されて悲しかったし、シヴァが捕まって処刑されてしまうと考えた時は絶望した。今まで離れていた分、その間に味わった私の不安も絶望も悲しみも、全部彼にぶつけてやる。「わ、悪かった……」私の睨んでいる視線に耐えられなかったのかシヴァが謝ってくる。こんなしょげた表情ははじめて見るかもしれない。そんな表情をする彼も
Last Updated : 2026-04-18 Read more