All Chapters of 女装メイドと婚約破棄された悪役令嬢は、幸せな結末を目指します: Chapter 331 - Chapter 340

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第241話

それから数日。なんとか動けるようになったものの、まだ外出をするほどの元気は私には無かった。学園の授業は進んでいるようで、イザベラやメロディが時折来ては授業の話をしてくれる。マルグリータは学年が違うため教えるまではいかないが、レオナルド達の様子をよく話してくれていた。学園での生活を楽しそうだと思う反面、皆に会えばよりシヴァのことを思い出してしまいそうで辛かった。二年以上、シヴァと一緒に学園に通っていたから。それに、セドリックと顔を合わせるのも気まずい。目の前でシヴァを倒し、連れて行ってしまったのは彼だ。セドリックに罪は無いが、会ったら何か言ってしまいそうで怖い。そんなある日。突然、予想外の人物が尋ねてくることになった。 「アレクサンド様がですか?」モンリーズ家の屋敷に来た先触れによると、アレクサンドが我が家に来るらしい。婚約者同士だった時ですら、数えるほどしか彼は家に来ていない。基本的には、王城で会うのが定番だった。そんな彼が、わざわざ家に来る。しかも、もう婚約解消したのに。どういうことか分からないが、とりあえず急いで身支度を整える。仲は良くても相手は王族。気は抜けない。アレクサンドが来る頃には、私はすっかり身綺麗に整えられていた。エメラルドグリーンにパールがあしらわれたドレスは、色味は派手だが布の量が控えめになっている。パーティに出るわけでもないので華美にさせすぎないためだ。しかし、肩にはショールを羽織り、露出を減らし気品を漂わせることは忘れない。髪もシンプルなハーフアップにしつつ、ゆるく編み込みが入れられていた。シヴァがいなくなってからの期間で、すっかり痩せてしまったのかドレスが少し緩い。コルセットをきつく締め上げてちょうどくらいだ。「こんにちは、リリアンナ嬢」屋敷にやって来たアレクサンドを玄関ホールでお迎え
last updateLast Updated : 2026-04-17
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第242話

「色々言われましたガ、どうしようもないことだと諦めてもらいまス。この後、彼に会うんでス」苦笑いしながら、ロミーナはそう言った。彼女の笑顔は明るいが、瞳の奥は鋭い。もうとっくに、覚悟は決めてあったんだろう。「調べていく内にもっと色々なことが分かりましタ。両親の不正ハ、決して許されることじゃありませン。それは娘である私も同じことでしょウ」そう言ってくれるが、私にはまだまだ迷いがあった。だって、幸せになれたはずなのだ。もしも私が場を引っ掻き回さなければ、ロミーナも両親の不正に気付かず、普通にセドリックと婚約して結婚して、穏やかに家を出られたかもしれない。そんなストーリーがあったって良かったはずなのに、彼女は両親の罪を一緒に被る選択をした。「……そんな風二、泣かないで下さいヨ」ロミーナに言われて、ハンカチで顔をこする。涙が溢れてしょうがない。シヴァのことがあってから、どうにも涙もろくなってしまっているようだ。シヴァもロミーナも、仲良くなった大事な人達が、いなくなろうとしている。それをどうにかしたくても、結局何もできなかった無念と悔しさが溢れてくる。「明日、裁判が開かれまス。絶対二、来て下さいネ。その時には直接お別れは言えないのデ、今言いに来ましタ」「うん……」ずっと心のどこかで、一生ロミーナはこのまま王宮で保護されて、いつでも会える友人だと思っていた。でも、現実はそうはいかない。時は進み、物事は進行し、こうして別れなきゃいけない時が来る。「さようなら、ロミーナ……元気でね」「はイ。リリアンナも、お元気デ」最後に抱きしめてくれたロミーナの体温は、温かかった。  ***  ロミーナとアレクサンドが帰宅した後、私
last updateLast Updated : 2026-04-17
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第243話

目線を上の方に移動させると、濃い茶色の髪と無精髭に覆われた顔が見えた。私の視線に気づいたのか、紫色の人懐っこそうな垂れ目が私を見る。「ヴォルフガング様⁉」「よう、モンリーズ家のお嬢さん」何故、彼がここにいるのか分からない。てっきり、反乱の時に彼も参加していたのかと思っていたが、この場にいると言うことはそうでもないようだ。「私が呼んだんだ」お父様にそう言われると、ヴォルフガングはぺこりとお辞儀をする。お父様は親しい友人を見るような目で彼を見ていた。冷静に考えれば当然だが、二人が知り合いでこんなに仲が良いとは思わなかった。ヴォルフガングが椅子に座ると、その巨体のせいで後ろの人々は何も見えないのだろう。ブーイングが聞こえてきて、彼は慌てて椅子を係りの人に預けて床に座り込んだ。相変わらず、見た目に似合わず温厚な人だ。「何故、裁判に……? 旧ソプレス王国の方は」「信頼しているやつに任せてある。ワシは、ちゃんとけじめを付けないといかんからなぁ」「けじめ……?」私の疑問に、彼は遠くを見ながらふっと笑った。「友人の結末を見届けんといかんからな。……あいつは、手遅れなほど狂いすぎた」その友人と言うのは、シヴァのことだろうか。それとも、また別の誰か?そんな疑問を口にする前に、裁判官のガベルが鳴らされた。裁判を開始する合図に、一斉に人々が口を閉ざす。「それでは、旧ソプレス王国の反乱に関する裁判を行います」静かな裁判所の中に、裁判官の低い声が響いた。反乱についての内容が語られ、今回の事件に対しての概要が語られる。その直後、真っ先に出てきたのはロミーナだった。髪を一纏めにし、シンプルな白いワンピースを着た彼女は証言台に立った。手に紙束を持ち、まっすぐに前を見つめるその姿は、凛とし
last updateLast Updated : 2026-04-17
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第244話

お祖父様って、先代のアマトリアン辺境伯のこと?確か、彼が早世したために急遽世継ぎを決めることになり、結局嫡男だった現アマトリアン辺境伯が家督を継いだんだっけ。でも、彼が家督を継ぐのを先代は嫌がっていたとルネから聞いた覚えがある。「特に私の両親ハ、家督を継ぐ前から今回の件に関わっていましタ」ロミーナは前を向き、証言台に立つと再び話し始めた。「他国の間者に甘い言葉で惑わさレ、先代辺境伯であるお祖父様を亡き者にシ、強引に家督を継ぎましタ」彼女のその言葉に、辺境伯夫妻は目を泳がせる。その表情からも、この話が真実なのだと分かった。「そしテ、辺境伯として領地を治めながラ、間者とずっと情報共有をしていたんでス」その証拠はあると、ロミーナは手に持っていた紙の束を見せた。裁判員がそれを受け取り、裁判長へ提示する。裁判長がまじまじとそれを眺めて頷いた。「……確かに、アマトリアン辺境伯が何者かとやり取りをしている手紙ですね」「一番古い物は、前辺境伯が亡くなる前のものでス。そこに間者からの暗殺の指示が書かれていまス」薄々ヤバい人達だとは思っていたが、まさか自分の親を殺してまで地位を手に入れていたとは思わなかった。裁判所に集まった人々の視線が、一斉に辺境伯夫妻へ向かう。周囲の圧に耐え切れなかったのだろうか。二人共何も言えずに俯くことしかできない。「なるほど……分かりました。この件も踏まえて判決を出しましょう」裁判長が頷き、ロミーナは彼にカーテシーを披露すると証言台から降りた。そのまま一度退席しようとする彼女を、夫妻は黙って見送りはしない。横を通り過ぎようとする彼女の足を、拘束された腕で払ったのだ。「え」予想外の行動に、ロミーナは体勢を崩す。前に転びそうになった時、控室のドアから誰かが走り出してきた。そのまま彼女の体を受け止める。
last updateLast Updated : 2026-04-17
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第245話

澄んだ声が響く。その声に導かれるように、人々の視線が一人の少女に集まっていた。褐色の肌に長いライムグリーンの髪。大人しめのクリーム色のワンピースを着た彼女は、周囲を見渡して優しく微笑んだ。その笑みに、人々は言葉を無くしてしまう。「ドミニカ・レスピナス!?」彼女の登場に、余裕ぶっていたギデオンが驚いた表情を見せた。私だってびっくりだ。ドミニカが何故ここに⁉驚く私達をよそに彼女は証言台に立ち、懐から一通の手紙を取り出した。明るいオレンジの封筒に金の蜜蝋は、ライハラ連合国総会の正式な封書のはずだ。「ザハト侯爵家は取り潰しになりましタ。もう貴族ではありませんのデ、どうぞお好き二」ドミニカは柔和な笑顔でとんでもないことを言う。笑顔の奥の冷たい視線を受けて、ギデオンは顔を青くした。「どういうことだ⁉ 家が取り潰し!? 俺がいない間に何が……」「無暗に動きすぎたということですヨ」可愛らしくドミニカは小首を傾げる。それだけなのに、圧が凄い。「私的な会話は最小限に。必要なことのみ証言して下さい」しばしの沈黙の後、裁判官が声をかけた。その指示を受けて、ドミニカは微笑み、失礼しましたと言うようにお辞儀をする。そんな様子を見て、口を開いた者がいた。 「そこは、私の方から説明を入れようか」 皆の視線が裁判官の横を通り過ぎ、並んでいる王族の一人に向かう。視線を受けた彼は徐に立ち上がると、優雅に微笑んでみせた。 前に出たアレクサンドは、優雅に微笑んで周囲を見渡した。次期国王である彼の発言を、皆が固唾を飲んで見守っている。「発端は、アマトリアン辺境伯令嬢の告発だった。彼女を保護した私は、アマトリアン辺境伯を調査したが、彼らに指示している黒幕は誰か分からなかった」
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第246話

「残念だったね。小国であるソプレス王国で上手くいったから、リヒハイムでも上手く出来ると油断していたんだろう」図星を突かれて、ギデオンはアレクサンドを睨みつけた。今までの偉そうな態度を考えると、この状況は彼にとっては屈辱でしかないだろう。「手っ取り早く、ギデオン・ナハル・ザハドの判決を決めてしまおうか」アレクサンドの言葉に、裁判官は頷く。ここは外交問題もあるので、リヒハイム王国の裁判だけでどうこうはできない。ライハラ連合国と協議し、きっと裏で判決は決定済みなのだ。「ギデオン・ナハル・ザハド。貴殿を含め、ザハド家とそれに連なる商人は生涯リヒハイム王国への入国を禁止する。もし国内で存在が確認された場合は、その場で殺処分されることを覚悟して欲しい」つまりは国外追放。後はライハラ連合国で裁きを受けろと言うことだ。「ふざけるな! 我が家が潰れたはずはない! ザハド家との商売が滞れば、そちらだって困るはずだ!」「残念ながら、他にも良い取引先はあるんだ。それに、トップとの話し合いは終わっているしね」兵に引きずられ、連れていかれようとしているギデオンが最後のあがきとして騒ぎ立てる。そんな彼をアレクサンドは冷たく見下ろしていた。片手にはライハラ連合国の封書を持ってひらひらと見せびらかしている。今にも相手を殺しそうなほどの殺気を放った視線を受けても、アレクサンドは平気そうだ。騎士に連行され重厚なドアが閉められると、もうギデオンの声は聞こえなくなっていた。アレクサンドは一礼して席に座る。その姿を見て、傍聴席からは拍手が巻き起こった。私もつられて一緒に拍手をする。裏で手を回し、事前に国の崩壊を阻止したというわけだ。次期国王であるアレクサンドの有能さに、皆が感服したことだろう。新聞記者達も熱心にメモを取っているのが見える。明日の朝刊はこれで決まりだ。 拍手が収まってきたところで、再び裁
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第247話

ちらっと横目で見ると苦虫を噛み潰したような顔をしている。彼のこんな表情を見るのは始めてかもしれない。いつも温和な笑顔を浮かべている人だったから。魔導士団団長なら、騎士団団長だったヴォルフガングとは旧知の仲だったんだろう。彼らがどんな仲だったのかは、私には分からない。『友人の結末を見届けんといかんからな。……あいつは、手遅れなほど狂いすぎた』裁判が始まる前に呟いていた言葉の意味が、今になって分かる気がした。ヴォルフガングは、きっと彼に会いに来たんだ。「ソプレス王国の滅亡後、情報による国民の心理操作、リヒハイム王国への反抗心、反発心の誘導を行った。そして、決定的なのが今回の反乱。ザハド家及び、彼らの参下にある貴族を利用し、ザハド家と共に反乱を先導した」読み上げられていく罪状は、リヒハイム王国からしたら大罪だ。しかし、彼の心境を考えるとしょうがないような気もする。ザハド家とリヒハイム王国の一部貴族の策略とはいえ、国を滅ぼされ恨みを抱き復讐を誓った男。王位継承権第一位だったシヴァを連れ、いつか国の再興をとでも考えていたのだろう。そのために、裏で動きリヒハイム王国への犯行をずっと一人で行っていた。十年以上、ずっと一人で。「罪状は以上です」一通り読み上げられた罪状に、空気が冷たくなった。ここにいる皆が、以前行ったディトリヒとアルベリヒの裁判のことを知っている。ソプレス王国の悲劇を分かっているのだ。その結果の復讐だ。そんな彼を、責め切ることができない。「ふふふっ」不意に、オスカーが笑い始めた。目は宙を泳ぎ、どこを見ているのか分からない。そのまま髪を振り乱すと、がくりと項垂れた。突然のことに、慌てて控えていた兵が彼の腕を掴む。しかし、それよりも彼が何か魔術を放つのが先だった。赤い光がはじけて宙を舞う。線のよう
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第248話

なんでシヴァが騎士の服装をしていたのか。何故、反乱軍の指導者として罰せられていないのか。疑問はいくつもある。でも、そんなことよりも、彼が五体満足で生きていてくれたことが嬉しくてたまらなかった。「シヴァ……良かった……」ボロボロと涙が溢れてくる。柵のせいで傍聴席からこれ以上前には進めない。それがもどかしいけど、今この柵が無かったらシヴァに抱き着いてしまいそうだ。頭では分かっている。公爵令嬢が急に現れた正体不明の騎士に抱き着くのは不自然だ。そうやって柵の前で立ちすくんでいる私を、後から追いついたお父様が抱きしめてくれた。温かな体温に包まれて安心する。「お父様……シヴァが」「ああ、良かったな。だが、とりあえずここは引こう」お父様に連れられて席に戻る。後ろを振り返ると、シヴァはまだ私を見つめていた。 「後で登場してもらおうと思っていたけど、今紹介するのが一番良いかな」 席に座る直前、アレクサンドの声が響く。騒ぎがあったため席を立ってしまった人々が大半だ。そんな中、皆が各々の席に戻ろうとしていた。そんな中響いた声に、耳を澄ませる。「皆も新聞で目にしたと思う。彼がソプレス王国の第一位王位継承者。ユリフィース・ソプレスだよ」その言葉に周囲はざわめいた。結局、シヴァを直接目にした貴族はほとんどいない。しかも、表向きの反乱の指導者は彼だったんだから。よく知らなかったオスカーが指導者として裁かれ、表に出ていたシヴァは拘束すらされていない。この状況は酷く奇妙に映るだろう。「皆が疑問に思うのは分かる。ただ、はっきり伝えておくと彼と私は協力関係にあった。全ては、そこにいる反乱分子。オスカー・ヴァルシュを捕らえるためのお芝居さ」
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第249話

裁かれるべき人々が全員揃った。その罪も全て告発され、証拠もそろっているので反論のしようがない。裁判官から一人一人の判決が読み上げられていった。反乱軍に加担した貴族は全員貴族籍を剥奪。財産から賠償金を支払うことになった。これで全員が平民落ちだ。その中でも、アマトリアン辺境伯夫妻の罪は重い。だって、先代を殺害してまでザハド家と共謀していたんだから。そこまでくると根が深い話だ。「アマトリアン辺境伯。二人には貴族性の剥奪と賠償金の請求。また、他よりも賠償金が多く財産の差し押さえでは賄えないことは分かっています。そのため犯罪者収容施設での強制労働を行い、一生涯かけて賠償金を支払うこと」他は平民落ちの中、収容施設にまで入れられるのだ。今までの中では一番罪が重い。その判決を受けて、夫妻はがっくりと肩を落とした。拘束され床に座り込んでいる人々の中、ロミーナは一人立ったままだった。両手を胸の前で組み、祈るようにまっすぐ裁判官を見る姿は神に祈るシスターのよう。裁判官は一瞬彼女を見ると、すぐに視線を手元の書類に移した。そのまま、ロミーナに対する判決を告げる。「ロミーナ・アマトリアンに関しては彼女の告発により今回の件が発覚したことを重く見て、貴族籍の剥奪のみとします。国から報奨金も出すため、今後の身の振り方は考えておくこと」随分と軽い判決だ。両親が裁かれたのだから貴族籍の剥奪はしょうがないとしても、財産の差し押さえでは今後の生活に困る。しかし、それは報奨金で相殺され、なんとか今すぐ生活に困ることにはならないだろう。まだ良かった。そう私は胸を撫で下ろすしかなかった。正直に言えば、彼女にはセドリックと幸せになってもらいたかった。でも、貴族では無くなる以上、これ以上の譲歩はできない。判決を告げられたロミーナはほっと溜息をついていた。振り返った彼女は、魔導士団団長の横で控えているセド
last updateLast Updated : 2026-04-18
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第250話

当然これで終わると思われた裁判所内に響き渡る声。人々の視線は、一人の少女に向けられていた。控室へつながる扉の前にいる彼女は、そこで話を聞いていたのだろう。視線を一身に浴びながら、証言台の前までつかつかと歩いてきた。褐色の肌に長いライムグリーンの髪が舞う。テラコッタ色の瞳で傍聴席を見渡すと、その色香に一部頬を染める男性がいる。それくらい魅力的な彼女を見て、傍聴席の端にいたヤコブが呆れたようにため息をついた。「発言を許します」「ありがとうございまス。ドミニカ・レスピナスと申しまス」改めて挨拶をしたドミニカは綺麗なカーテシーを披露した。そのまま手に持っていた封筒から手紙を取り出す。「これハ、我がレスピナス家の当主直筆の手紙でス。これにハ、こう書かれていまス」黄緑色の封筒は、どうやらレスピナス家特有のものだったらしい。隣国であるライハラ連合国のものは、まだまだ覚えきれない。一息つくと、ドミニカは声を張り上げた。その声は傍聴席の端まで響き渡る。 「ロミーナ・アマトリアン嬢を、ぜひ我が家の養子に欲しイ」 突然名前を呼ばれ、端で控えていたロミーナが目を見開いた。周囲の視線も、一斉に彼女に集中する。「エ?」彼女も何も聞かされていなかったのだろう。あわあわしながら、ぶんぶんと首を横に振っている。そんな彼女の様子を見て微笑むと、ドミニカは手紙の続きを読んでいく。「ロミーナ嬢ハ、学園でも大変優秀な成績を修めていると伺っていまス。そんな彼女が平民になってしまうのは惜しイ。リヒハイム王国に居場所がないならバ、ぜひ我が家にいらして下さイ」会ったこともない家の当主に手放しで褒められ、どんな顔をしたらいいのか分からないのだろう。ロミーナは頬を赤らめつつ、俯く。そんな彼女の傍に、セドリックが近寄った。彼女に何かを囁いて
last updateLast Updated : 2026-04-18
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